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【薄い本】Eine kleine Nachtmusik
Eine kleine Nachtmusik (アイネ・クライネ・ナハトムジーク)
『小さな夜の歌』
・・・
『セミってさ、昼しか鳴かないらしいよ。夜はどこかで寝てるのかなぁ。』
彼女が急にそんなことを言い出した。既に夜の帳は下りている。夜風で揺れるカーテンの間から、気だるげなネオンが見え隠れする。彼女の服を脱がせ、ブラジャーのホックに指を掛けたところだった。
『なんで急にセミが出てくんだ
繊細な僕は鈍感なフリをして逃げてしまった。
『ピロリってほんとに鈍いよね』
友達からたまに言われる。意外と僕は違う自分を演じるのが上手いらしい。
申し訳ないが僕は本当は鈍くない。むしろ繊細な方で、会話している相手の心が動いた時は大体感じとれる。人の心に寄り添うのが上手いと心理学部の友達も言ってたから間違いないだろうたぶん。
かなり仲のいい友達にもなるとさすがに気づくが、そこそこ友達ってぐらいの人は僕を鈍感だと思っている。
僕はいつもとぼ
純粋な恋愛は美しく、切なく、大人になればなるほど手に入らなくなる。
とある曲のミュージックビデオを見ていた。
高校生たちのさまざまな姿を映していて、まさにザ・青春ソングという雰囲気。
出てくる子たちも美男美女だけではなく、お世辞にも顔がいいとは言えない子もたくさん出ているあたり、妙にリアリティを感じる。
・・・
僕は中学・高校と男子校に通っていた。
女子がいなかったから、恋愛ごととはほとんど無縁な時代を送った。一度だけ同じ塾の女の子を気になったことがあったが
恋人同士で服なんかシェアできたら最高だよねって話。
『おつかれさまです!』
後ろから聞こえてくる元気な声
振り向くと、後輩カップルがいた。
このカップルとは普段から仲良くさせてもらっていて、僕を含めた3人で遊んだりすることもある。
実はこのカップル、僕が理想とするカップル像でひそかに羨ましく思っている。
とにかくなんでもシェアしているのだ。
ほぼ同棲していて、食事も趣味も服もシェアしている。
見ていてとてもハートフルなヤツらだ。
特に彼女の方