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ベッド

あの子が、いる。僕の横に。

窓ガラスにふと映ったもの。僕はうつ伏せで携帯をいじり、あの子は僕の隣で横向きになってほっぺたを膨らませている。なんの変哲も無い幸せ。ずっと僕にもたれかかってくれると思っていた温もり。
今窓に映っているのは、うつ伏せで携帯をいじる、ひとりぼっちの僕。また、記憶に微かに残る温もりに逃げ込もうとしている。



妙に広く感じる。あの子が来た日はいつもとっても狭くて、暑くて、寝苦しかった。今は1人でのびのびと手足を大の字にして眠れる。暑くない。寝苦しくもない。
でも朝は、決まって壁際で縮こまって目がさめる。まるで居ない誰かの為に場所を空けるように。
狭くて、暑くて、寝苦しくて、ウトウトしているあの子をキスで無理やり起こして、愛し合って。起きた時の身体の重さがどうしようもなく愛おしかった。
こうして時折こぼれる思い出は、結晶のように美しく、鉛のように重い。



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