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小さな一歩に震えるけど、進みたい【後編】

無職の時期が長くなってきているけれど、集団の中に入ることが怖くなってきている自分に危機感を覚えている鬱病人間が、サポステにて進もうとしている話。

後編。
サポステの活動の中でPCと一対一の世界にしかいなかった私が、いよいよ初めての”講座”に参加してみたときの、自分の状況を書いてみる。

人生、トライ&エラーだと思ってのチャレンジ。



この日、サポステに行って、講座が始まるまでは1時間あったので、それまでPCで文書作成の練習。
それが、思ったより講座の時間ギリギリになってしまった。
あたふたして、PCの片付けを全て担当のMさんにお任せするハメに。

おろおろしながらYさんを探し、講座の部屋まで連れて行ってもらった。
場所の名前を聞いても、どの部屋かわからなかったのだ。

ざわざわしながら、連れていかれたのは開いているところをみたこともない部屋。
中の様子をみるとOさんが。安心しつつも、部屋に入るのが怖い。
必要以上に背中を丸めて低姿勢になって入ろうとする私にOさんが
「怖くないよー笑」と言ってくれるが、
Oさんと、向こうにいる講師の方のどちらに挨拶をしたらいいかわからない。

”どうしようどうしよう”が止まらない。

そこへ、
Oさんより年上のおばさま(おそらく理事長)の声がして。
「ほら、先生に挨拶」
と。
はっ、と思い急いで挨拶をする。

その講師は明るい方で、書をやっている。
「感謝」
と素敵な字体で書いたハガキを、最初の挨拶がてら参加者ひとりひとりに手渡してくれる。ちゃんと、宛先面に大きく、参加者の名前をきれいに書いてくれている。

その行為を素敵だと思いつつも、それに浸る余裕がはく
Oさん「どこでも、すきなところに」
と。自分の座る席を決めなければならない。
もう、7割ほどの参加者がきていて、ぽつぽつと空いている席がある感じだった。

講師の方をみんなで、同じ方向で見る体制になっていると思っていたら、
参加者が向かい合わせな形式。

しかも、講師と反対側に、理事長らしき方ともうひとりの同年代のおばさまが、2人で席を確保していらっしゃる、、、、、、

え、この2人がいることは聞いていない。

(予想外のことは全て苦手)


私は、正直に
「決められない、、、、、、」
と言った。
おろおろ状態であればあるほど、”選ぶ”ということができないのだ。

Oさんは、講師の方からいちばん遠い席を選んでくれた。
そこは、ふたりのおばさまたちが近い場所。

そのおばさまたちが、発言が結構。
「いちばん目立つ席だ」
と、私に?言ったのだ。
Oさんが「いやみんな同じだから、講師の先生がいちばん目立つから」
と笑いながらいうのだが、
「いや、私たちからしたらいちばん目立つ席だ」

、、、、、、、、え?

私は、もう目をガン開きでそのひとたちを見てしまった。
Oさんが「誰が目立つとかないから!」
と笑いながらフォローするが、
私は、もう、その方々を見ながら硬直してしまった。

いつも、こんな感じの雰囲気なのだろうか。
参加者の方は、これにどう対応しているのだろうか。
いつも参加しているひとたちは、もうそういう冗談とか言える関係性なのだろうか。

手描きであれだが、部屋、席の様子。
●が私、◎がOさん。
最終的な参加者の人数なんて把握できていない。

とにかく、そのあおりのようなおばさまたちの冗談に恐れおののいた。
ただ、Oさんがいつも近くにいてくれるという安心感のある席だったのでよかった。

今回は宛名書きの講座だったが、机の上にある資料や練習用の白紙、鉛筆と油性ペン。
消しゴムは、どうやら隣のひとと2人で1個使うみたいだ。

それらを、どうやって机に並べ、使うのかも選べない。
どこになにをおいていいかわからない。

手は震えるし、
いざ講座が始まっても、頭が半分ぼーっとして、思考能力がない。内容が頭に入ってこない。息が苦しい。呼吸ができているのかわからない。
30分くらいはその状況が続いた。

でも、それ以降はだんだん、講師が話す内容に興味が出てきて、集中できるようになってくる。
内容も、文字を書くことはすきなほうだし、この講師の方、書のお仕事とアートのようなこともやっている方で、もともとこの方に興味があった。

ひとりひとりが字を書いているのを、その先生がみて回り始めた。

キレイに字を書く方法を学ぶものだったが、多分たくさん書いていくのがこの時間の使い方だったのだろう。でも私はとにかく、ポイントをまとめたくて大きく字を書いて、それを忘れないようまとめていた。
そこに、

「いいですね!」

と、いきなり先生が。

びっくりし、”ガタン!”とひっくり返りそうになったのが申し訳なかったが(びっくりしやすい)、
大きく字を書く私を褒めてくれた。
そして、その字の左上に花丸をくれた。

近くに来て話しかけてくれることで、
私からも自然と話ができた。
「字だけは大きいんです」
「字の主張だけ強いんです」
と、思い返せば”褒められたときにネガティブで返す”という、なんとも失礼なことをしてしまっていたが、それより、一対一の状態だと自分からも話せるのだ。

そして、単純に、ボードに書いて教えてくれる、様々な字のきれいな書き方のポイントをきいて
「へー!」
と、目からうろこが落ちることもたくさんあった。
だんだんと、話も前のめりで聞けるほど集中できるようになっていた。
また、たまたま自分の名前の中にある字が課題の中にあって、そのバランスを知りたくて、私のところに来たタイミングで自分から質問して教えてもらった。

前のめりすぎて、お腹で机を動かしてしまったときには、
「すみません、、、」
とお隣さんに謝ることもできた。
消しゴムも、お隣さんと一緒に使えた。

そんな私だったが、時間内に終わらせる課題は、結構危なかった。
白い封筒に、清書をする自信がなくて。

先生が「これだけ書けてるから、あとこのまま書けば大丈夫、間に合うよ」
と言ってくれたからようやく安心できたけれど、
できたのは参加者の中でいちばん最後だったと思う。


全て終わって、アンケートを書いたりなんだりしているとき、
Oさんとも話せた。
最初30分のことを話すと、Oさんは、
「調子悪いかな―大丈夫かなーと思ったったー」
と。様子がおかしいのを気付いてくれていた。

でも、気づいたら
「たのしかったです!」
と、私はOさんに話していた。

Oさんが私(pizza)にどうだろうか?と声をかけてくれたことで参加する運びとなった、今回の講座。
Oさん、そしてYさんが私のことを気にかけてくれていることがまず何よりうれしかったし、ここを一回経験してみようとも思えた。

自分が、今どうなるのかがわかった。

内容は、本当にたのしかったし、
褒めまくってくれる先生で、大人になっても褒められるとうれしいなと。
「書道やってました?」と全くやっていない私に言ってくれたり、
”はらい”がうまくいかなくてイライラしている私にそこを褒めてくれたり。
「力が入るとそうなってしまうだけで実はすごくいい」と。

PCをがんばりながらのアナログの”書く”作業だったが、今後何かにいかす、というよりは
「たのしかった」
という今の気持ちをちゃんと抱きしめてあげよう。

そして、緊張すると選択ができない。
何からやっていいかわからない、どこに座ればよいか決められない。
8人前後の集団の中では、心を整えるのに30分必要。
把握していない存在、予想外の状況が苦手。
そして、みんなが私に対し気を遣ってくれるとは限らない。それが社会。

これは、だからこうしようという課題というより、現状の把握。


ただ、
私の中でクリアできたこと。

集団の中で、誰かに迷惑をかけることなくその時間を過ごす。

これは、できた!

そして、何よりその中で、
たのしめた!


もう、十分じゃないかな。


ただ、関係性のあるYさんやOさんが必ずついていてくれる体制にしてくれるという配慮がなければ、もしかしたら苦しいだけだったかもしれない。

感謝しかない。


サポステにはまだ、私の知らない利用者さんも、職員の方もいるけれど、
常に私に寄り添ってくれる、理解してくれようとするひとがいて。
だから私は、家以外の場所で唯一、安心できる場所だと思えている。

今のいちばんの目標はWordの検定1級を受けることだけれど、
おろおろしていて自己肯定感の低い鬱病人間pizzaは、
不思議と向上心だけはものすごくあるのだ。

家庭の状況などによって鬱症状が増したりなんだりするけれど、家のことも聞いてくれ、他の就職支援機関のように2年以内にどうの、ということもなく、長いこと通わせてもらっている(※居座ろうとしているわけではない)。
もうしばらく、お世話になろうと思っている。
(49歳までという年齢制限はあるが)

お世話になっているひとたちのためにも、進みたい。

とりあえず、今こうして書いている間も、タイピングの手の矯正を意識してがんばっている。


ひととは違うペースではあるけれど、
これからもトライ&エラーで少しずつ、進んでいけますように。

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pizza
未熟ですががんばっております。治療費にあてさせていただきたいです。よろしくお願いします。