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文を読み解く | それはどこまで言っているのか?

 自分で意図していなくても、勝手に文章を解釈してしまうことがあります。

 例えば、「今年は景気が悪い」と聞けば、この文では今年のことしか言っていないのに、「去年より景気が悪い」と解釈してしまうことがありますね。

 「今月になって事故が多発している」と聞けば、先月より今月のほうが事故が多く発生しているように思えてしまう。

 「昨日、失敗しました。今日も失敗しました。だから明日…」と聞いたら、「…」には、どんな言葉が来るでしょう?

「だから明日(も失敗するに違いない)」なのか、「だから明日(は失敗しないように気をつけよう)」なのか、受けとる側の心理状態によって変わってくるでしょう。


10枚の札をひく


 今、目の前に「赤い札」と「白い札」がそれぞれ五枚ずつ、合わせて10枚置いてあります。

 いちばん最初に「赤い札」を五枚連続でひきました。
 1枚目の赤い札は「3」でした。
 2枚目の赤い札は「7」でした。
 3枚目の赤い札は「1」でした。
 4枚目の赤い札は「9」でした。
 
 …と来れば、5枚目の赤い札は「5」になることでしょう。実際にひいてみたら、やっぱり「5」でした。

 次に白い札をひきました。
 1枚目の白い札は「10」でした。
 2枚目の白い札は「4」でした。
 3枚目の白い札は「6」でした。
 4枚目の白い札は「2」でした。

…じゃあ5枚目の白い札は何でしょう?

 「8」かなぁ、と思ったら「101」でした😄。

 こんなことだってあり得ますね。

 誰も1から10までの数字が書いてあって、赤い札が一桁の奇数で、白い札が一桁の偶数だなんていう保証は何もないわけですから。

 ところで、この例で私が言いたいのは、札に書いてある数字のことではありません。

 ここまで読んだ方の中には、もしかしたら、「札には裏にだけに数字が書いてある」とか「札を裏返して調べた」とか、勝手に解釈する人がいるかもしれませんね。

 つまり、そういうことなんです。
 カードがあって数字が書いてあるのは、両面かもしれませんし、数字を見ないでカードを裏返しながら調べたとか、勝手に解釈する習性が人間にはあります。すでに見えている札を1枚ずつ引いただけかもしれない。

 書いてあることを文字通り解釈することは、簡単そうでありながら、結構難しい
 
 ある程度、人の話を聴くときは予測して聴くものですが、あなたの前提を勝手に使って、勝手に解釈してしまうことは、よくあることです。

 翻って自分が話したり、書いたりするとき、相手に誤解を与える隙のない文章を書くことも、極めて難しいことです。

 ちょっと記事を書くときに、気をつけようと思っています。

 推理小説を書くのなら、こういう人間の習性を逆手にとるのもいいかもしれません。


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