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【noteコンテスト】#はたらいて笑顔になれた瞬間

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2022年3月18日~4月17日まで開催の投稿コンテスト「#はたらいて笑顔になれた瞬間」についての投稿をご紹介するマガジンです。お手本クリエイターの方の記事などもご紹介していきま…
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#エッセイ

ずっと「書く人」になりたかった

以前書いたnoteがコンテストで賞をいただいた。 仕事で半年以上担当していた、だいすきな患者さんのことを書いたnoteだった。次の行き先へ送り出した今でも、声や表情、歯並びや手足の冷たさ平たさまで鮮明に覚えている。すこしでもこの人が良くなればと、身体のあちこちに触れたことを思い出す。その方が使っていた病床のベッドを見ると、今でもそこにいらっしゃるような気がするのだ。何年経てどもご一緒した患者さんのことは担当/代行にかかわらず覚えているけれど、担当した患者さんの中でもとりわけ

#はたらいて笑顔になれた瞬間 の入賞作品に選んでいただきました!

3月にパーソルホールディングスとnoteがコラボして開催された「#はたらいて笑顔になれた瞬間」投稿コンテストで、合計1,926件の投稿の中から、入賞作品に選んでいただきました。 接客をするのもされるのもちょっと苦手な私が、学生時代に経験したアミューズメント施設でのアルバイト。 私はそこで一風変わった色々な体験をしながらも、その中で出会ったとあるおばあちゃんとの思い出を投稿させていただきました。 はたらいていて笑顔になれる瞬間というのは、たくさんあります。(はたらいてしょん

それでも街に、企画書を。

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彼女のおなかの虫に感謝した日。

仕事終わりに入った店のカレーは、 いつもよりやけに美味しかった。 そのことを今も覚えている。 『ちょっとした嬉しいこと』は、 食べるものにも 魔法のスパイスをかけてくれるらしい。 ♧ 大学卒業後に就職した職場での話だ。 私はまだ若く、至らないことばかりの日々だった。 そこでのことをここに綴ろうと思う。 ♧ 気の合わない人と仕事をともにすることになった。 さあどうする。 私より二年あとに入社してきた白石さん(仮名)は、 性格も思考回路も物事の好みも 私とはまるで違って

仕事のためにチームでいたんじゃなくて、チームでいるために仕事をしていた

この春で、社会人5年目になる。まだまだ心持ちは若手でいたけれど、気づいたら後輩が増えていた。 職場で後輩から、仕事の質問や相談されることも日常的になってきた。 その度に、思い出す。あの2人のことを。 ぼくはあなたたちみたいに、はたらく意味を与える先輩になれているのだろうか。 🌸 3年前、ぼくは社会人2年目となり、担当企業を持たせてもらった。いわゆる営業デビューだ。ドキドキしたけど、早く一人前になりたくて、より一層仕事に打ち込もうと拳に力を込めた。 けれど、そのタイ

雇用形態関係なく働けたのは、この会社が初めてでした

せっかく関わってくださったのであれば、その人らしさを大事にして、一緒に働いて笑いたい。 #はたらいて笑顔になれた瞬間 課題しかない「これだから派遣はイヤなんだよ!」 その言葉に私は思わずギョッとした。 以前勤めていた会社で、私が人事部に異動したてのころの話だ。 私のデスクの前で、営業チームのリーダーが苛立ちを露わにしている。聞くところによると、出勤予定の派遣社員の方が三日連続で遅刻をし、そしてとうとう無断欠勤をしてしまっているとのことだった。 当時の社内では半ば「ある

一期一会で終わらせたくなかったから

「工藤さんが違うところでも頑張るって言ってくれたこと、嬉しかった。 大変だろうけど、頑張ってね!またお邪魔しにいくからね」 そう電話で伝えてくれたお客様の言葉に、わたしは気づいたら涙を流していた。 働くことで辛くて涙を流すことはあると思っていたけど、嬉しくて涙を流すこともあるのだと。 このとき初めて知った。 わたしは今年で社会人7年目になる、 お菓子の販売員だ。 入社して配属になった店舗では5年半ほど勤めていた。 そのお客様とは新入社員のときに出逢った。 1年の中

「うめえ」が聞きたくて

言語聴覚士、というマイナーにもほどがある仕事に就いて、もう次で4回目の春を迎えようとしている。コミュニケーションと食事のリハビリという側面から誰かと関わるこの生活は大変だけど、うんと好きだ。 そんな中であるとき担当することになったのは、お酒とタバコとギャンブルがお好きで陽気な患者さんだった。目を開けてすぐのとき「わたしのこと、見えてますか?」と尋ねたら「見えてるよ!目の前に美人!サイコーの景色!!」と返してくださるような、そんな方。 それだけ元気なお返事をくださる方だけど、

「あなたが店員さんでよかったわ。ありがとう。」

大学時代にアルバイトをしていた場所は、なんというか、魑魅魍魎が集まるものすごい所だった。 そこは、ラウンドワンのようにビリヤードやダーツ、卓球、カラオケなんかができるのに加え、かなり古いものではあったがアーケードゲームなんかも設置されていて、ネット席と呼ばれるインターネットができるブースもあれば漫画も置いてあるという、いわゆる複合型アミューズメント施設というような場所だった。 そこで起こった出来事や、来店した摩訶不思議なお客さんの話はこれまでにも何度かここに書き記したことが

アパレル店員の「アドレナ売リン」の正体

アパレル店員が苦手だ。 人と喋るのは得意な方なのに、場所がアパレルショップ、相手がアパレル店員になると、途端にうまく話せなくなる。飲み屋のカウンターで初対面の人と酒を酌み交わしながら無駄話に興じる私と同一人物だとは、自分でも信じ難い。 お店に行く際は、極力気配を消す。常に店員の位置を把握し、店員から死角になるよう陳列棚やマネキンで自分の存在を隠し、こそこそと商品を物色する。ただ、私がいくら必死に隠れようとも店員は目を光らせている、というか、そんな不審者はむしろ見張られて当

失ったものを数えもせずに

新年度2日目は出社だった。在宅勤務が中心の生活もまる2年が経ち、予定が無ければ家族以外と話さない日は当たり前になった。それでも、出社をするといつも気持ちが前を向く。 時計の針が20時半を回った頃、ある後輩が別のメンバーに「〇〇さん、ハンバーガー食いたくないですか」と声を掛けた。二つ返事で飛んでくる「いいね」のひと言。「行くしかないな」と続くもう一人の声。最後にぼくも「薫さんもどうですか」と声を掛けられ、「行こうか」と答えた。帰り際だった隣の部署の後輩とエレベーターで乗り合わ

働くが、続かなかったわたしを、もう一度信じてくれた人。

長いよりは、どちらかというと短い方が好き。 長編より短編。 長いものを読むよりは、歌詞を読みたい。 文学が好きだったことも殆どないのに 文芸学科に入ってしまってどうしようかと 迷っていた。 思えばわたしは幼稚園の時から、ここは わたしがいる場所ではないという強い自覚 だけがあった。 場所を間違えましたと。 小中高とほとんど無欠席で通っていたけれど、 いつも所在なげに暮らして来たから、進学も 就職することもとても怖かった。 働かないで暮したい。 それ

「編集者」になるのに10年かかった話

「風、あったかくなってきたなー!」 この風、めっちゃいいな。 サブスクにして売ってくれたら月額980円くらい払うんだけどな。 なんて春の風を楽しみながら駅まで歩き、改札を抜け、すぐに来た電車に乗って、つり革をつかんで。 ふと目の前に座ってる人のスマホを見たら、その人。 私が書いたnoteを読んでいた。 「ぴょ!?」って思った。 変な声出そうになった。 読んでいたのはロングヘアの若い女性だった。 背中を丸めて、スマホをのぞき込んで、 左手の親指でスクロールして私のno

お客さまに「誰も見ていませんよ」と言ってしまった話💦

お客様が洋服を選んでいるところを見るのが好きです。どちらがいいかしらと聞かれれば喜んでお答えします。違う商品も提案します。お手伝いできるのが楽しい♡ 「どっちの色が似合うかしら」 そう聞いて下さったのが始まりです。 背筋のすっとしたショートヘアの方です。背が低いのとウエスト周りにボリュームがあるのがお悩みだと察しました。お持ちになったのは紺とカーキの二色。リネン混のワイドパンツです。上には白のドレープブラウス襟付きをお持ちでした。 試着して頂くと紺もカーキもお似合いで