長瀬ほのか

主にエッセイ書いてます。 スキを押すと私の好きな酒の肴が出ます。

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マガジン

  • お通しです。

    とりあえずの気持ちで読んでほしい文章をまとめました。

  • ゾロメ日記

    日記です。毎月11日、22日、33日(と見なされる日)に更新します。

  • ロサンゼルス紀行

    2023年9月、新婚旅行という名目で6泊8日のロサンゼルス旅行に行きました。大谷翔平を見るために行ったのに見られませんでした。可哀想なので読んでください。

  • 関根の話

    関根(うさぎ・享年10歳10ヶ月)の話をまとめました。

  • メディア寄稿まとめ

    ウェブメディアに寄稿した文章をまとめました。リンクからご覧ください!

最近の記事

  • 固定された記事

酒を飲み過ぎたおかげで天皇陛下からレスを頂戴した話

時は2018年8月5日。北海道の短い夏、真っ只中の日曜日のこと。目を覚ますと、それはそれは酷い二日酔いであった。 前日、私は結婚式に出席し、素敵な女性とゴールインした友人を祝い、ワインをたくさん飲んだ。そのまま二次会にも出席し、ビールをたくさん飲んだ。更にみんなと別れたあと一人で寄り道をし、日本酒を飲んだ。そして帰った。おそらく帰った。記憶はないが、こうして無事に自室のベッドにいることが何よりの証拠と言えるだろう。そう、これは納得の二日酔い。ただ楽しい夜があった、それだけの

    • note創作大賞2024の中間選考通過しました。読んでくださった皆さん、ありがとうございました。 古生物学者の夫|長瀬ほのか https://note.com/nghngh/n/n79916a672ba9

      • 【9月11日】 どうりで急成長なわけだ

        某日 側溝に煙草の吸い殻を捨てる爺がいた。朝、駅に向かっているときだった。大きい通りを歩いて、路地の角に差し掛かったところで、爺が前屈みになり、周囲を見回しながら吸い殻を捨てるのを目撃した。側溝の網目に向けて降ろした腕の先端に白い煙を見た。爺は私の存在を認識していたが、すでにポイ捨てのモーションに入っていたのでそのまま吸い殻を指から放った。つまり、私の存在によってポイ捨てを中断する選択もあったはずなのに、そのまま犯行に及んだのである。周囲を見回していたということは、爺はそれ

        • 【8月33日】 飛行石のくだらない奇跡

          某日 とにかく暑かった8月。夏は好きだが、ここまで暑いとエアコンの効いた自宅に引きこもる日がどうしても多くなる。何もしなかった春、何もしなかった秋、何もしなかった冬、に比べて、何もしなかった夏は格段に虚しく感じられるのはなぜなのか。何もしなかったわけでなくても、夏が終わる時はいつも何かやり残しているような気分になるから厄介だ。 何か夏らしいお出かけをしようというテーマで、夫とよみうりランドのプールに行くことになった。私は泳ぐのが苦手なのでプールが特別好きというわけではない

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        酒を飲み過ぎたおかげで天皇陛下からレスを頂戴した話

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        • 【8月33日】 飛行石のくだらない奇跡

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        記事

          カリフォルニア・ディズニーで消えたことあるよ (アドベンチャー編)

          【ロサンゼルス紀行#10】 「ディズニーランド・パーク」から、隣の「ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー」へ移動してきたところで、私はディズニーランドならではの2択を迫られた。そう、耳を購入するか否かである。 学生時代、恋人にねだられ興味もないのに大枚はたいてディズニーランドへ行く羽目になったと酒の席で愚痴っていた友人が、後日写真でいかにも有頂天という顔面でその頭にしっかり耳を装着していたのを私は散々嘲笑った。奴は夢の国に取り込まれたのだ。耳の装着は籠絡の証である。

          カリフォルニア・ディズニーで消えたことあるよ (アドベンチャー編)

          【8月22日】 おこげをください

          某日 「noteをはじめて5周年記念!」というお知らせが出た。5年前、私はどうしてこのお盆の真っ只中にnoteを登録するに至ったのだろう。経緯が全く思い出せない。しかも、遡ってみたところ、はじめて記事をあげたのは10月である。この2ヶ月のタイムラグは一体何だ。 そういえば、noteの前に「はてなブログ」に登録したこともあった。確か、ブログタイトルをああでもないこうでもないと考えているうちにモチベーションを失い、そのまま何も書かずに終わった気がする。今、私がこうして文章を書

          【8月22日】 おこげをください

          カリフォルニア・ディズニーなら行ったことあるよ (パーク編)

          【ロサンゼルス紀行#9】 ディズニーランドに行ったことがない。 そう告げると、「おまえはシーに行くべきだ」と言われる。まるで朗報とばかりに、「シーは酒が飲める」と言われる。私が酒に釣られてディズニーシーに行く未来しか見えない、という顔で言われる。確かに酒が飲めなくて何が夢の国だ、と思わなくもないが、そういう話ではない。 いつだったか、友人からディズニーランドのシンデレラ城の前で恋人にプロポーズした、という実にめでたい報告を受けた時、私は思った。 「他の女の城でプロポー

          カリフォルニア・ディズニーなら行ったことあるよ (パーク編)

          【8月11日】 半透明の子どもが走り回っている

          某日 キングオブコントの2回戦を観に行った。決勝は毎年テレビで欠かさず観ているが、予選会場に行くのは初めてだった。漫才はノリが合わないと途中で飽きてしまうこともあるが、コントはどんなものでも不思議と最後まで入り込める。笑えるかどうかとは別軸の部分を楽しんでいる自分が裏側にいる。一つの作品として見ているところがあるのかもしれない。2回戦は3分のコントが次々と連続で繰り広げられ、ちょうどいい見応えの「爆笑レッドカーペット」という感じで、2時間があっという間に過ぎた。 夜、飲み

          【8月11日】 半透明の子どもが走り回っている

          フォロワー2,000人到達記念といたしまして、スキを押すと出る酒の肴をリニューアルしました。今後ともよろしくお願いいたします。 (画像は初期の肴と1,000人記念の肴)

          フォロワー2,000人到達記念といたしまして、スキを押すと出る酒の肴をリニューアルしました。今後ともよろしくお願いいたします。 (画像は初期の肴と1,000人記念の肴)

          【7月33日】 副流煙を浴びせてしまった

          某日 夫がiPhoneをアスファルトに落下させて、角が白く傷になった。「大事に使っていたのに」と落胆していたが、なぜかスマホケースは装着していなかった。「体調には気をつけていたのに」と言いながら全裸で寝て風邪ひいた、みたいな話ではある。 夫が、マニキュアで塗りつぶしたらどうか、と閃く。私は爪に色をつけておくのが好きでネイルカラーは多数所持しているが、黒いiPhoneの傷を誤魔化せそうな濃ゆい色は持っていない。「いや、無理じゃん?」と言いながら、一応ネイルカラーを保管してい

          【7月33日】 副流煙を浴びせてしまった

          それでも私は『インスタント沼』が好きだと言い続けよう

          その昔、街コンに参加したときのこと。 参加者に配られたプロフィールシートの中に「好きな映画」という項目があった。私は正直に『インスタント沼』と書いた。いや、正直に、というのは若干白々しかったかもしれない。 私にとって『インスタント沼』は何十回も繰り返し観るほどに好きな映画であるが、このプロフィールシートが参加者同士の会話を円滑にする目的で用意されたものであることを考えると、共通の話題として盛り上がれる可能性の高い有名作品を書いておく、という選択肢も当然頭に浮かんだ中で、ち

          それでも私は『インスタント沼』が好きだと言い続けよう

          創作大賞2024応募作 ◆古生物学者の夫 https://note.com/nghngh/n/n79916a672ba9 ◆セーラー戦士が月にかわってしまった事件 https://note.com/nghngh/n/nd425b4455a39 ◆大谷はエンジェルで、ユニコーンで、オーロラだった https://note.com/nghngh/n/n5f2a1d014440

          創作大賞2024応募作 ◆古生物学者の夫 https://note.com/nghngh/n/n79916a672ba9 ◆セーラー戦士が月にかわってしまった事件 https://note.com/nghngh/n/nd425b4455a39 ◆大谷はエンジェルで、ユニコーンで、オーロラだった https://note.com/nghngh/n/n5f2a1d014440

          【7月22日】 人間が落ちこぼれている

          某日 バイト先の物品庫に、届いた郵便物を仕分けするコンテナがある。案件は時期により入れ替わるので、適当な紙に案件名を書いたものが簡易的なラベルとしてコンテナに貼りつけられるのだが、そのうちの一つに、ドラえもんが描いてある。「〇〇に届いた郵便はこちら」の横に、ドラえもん。この案件を担当している社員さんが描いたらしい。郵便を仕分ける時、そこにドラえもんがいるだけでなんだか妙に癒される。そんな自分に驚く。昔の私はどちらかと言うと、こういう素朴な遊び心を野暮ったく感じる方だった。こ

          【7月22日】 人間が落ちこぼれている

          新訳 関根という名のうさぎ

          わたしは今、牧草を食べています。牧草はいつもプラスチックケースの中にたっぷりこんもり盛られていて、時間無制限の食べ放題です。ケースのふちに前足をのせて、牧草の中に顔面を突っ込むと、わさわさ乾いた音が耳に触れ、すんすんほのかな香りに包まれ、得も言われぬ心地です。この瞬間は、わたしにとって最上のひとときと言ってよいでしょう。寂しくて死ぬことはありませんが、牧草がなければきっと生きてはいけません。 わたしはうさぎ。関根という名のうさぎです。 牧草と一口に言っても、柔らかい葉、ふ

          新訳 関根という名のうさぎ

          【7月11日】 本をちゃんと読まない

          某日 歯医者にはもう慣れてしまった。昔から割と世話の焼ける口内環境で、磨けども磨けども、虫歯だ歯周病だ親知らずだと、次々問題が発生し、歯医者に通い詰める人生である。 歯科治療に対する恐怖はもはやないに等しい。歯科医師と歯科助手に全幅の信頼を置いている。というか、置くしかないとわかっている。なんだこの音は、とか、大丈夫かこれは、とか、あれこれ気にして緊張したところでどうにもならない。患者として悟りの境地に達した感がある。 今日は麻酔をして歯茎の中の歯石を取った。器具で歯の

          【7月11日】 本をちゃんと読まない

          古生物学者の夫

          うちのリビングの奥にある壁一面の本棚は、右側と左側でまるで景色が違う。 向かって右側は私の縄張りで、小説が多く並ぶ。文庫本の背表紙が、細い縞模様を成している。 一方、夫の縄張りである左側に並ぶのは、『アンモナイト学』、『絶滅古生物学』、『古生物学の百科事典』、『波紋と螺旋とフィボナッチ』、『イカタコ図鑑』……。取り出すのも億劫になりそうな重量級の図鑑や、妙なタイトルの専門書が、どっしり幅を利かせている。 昔、二人で観た映画で、相手の本棚のラインナップが自分の本棚とそっく

          古生物学者の夫