【誠実さは成功のもと】金融知識豊富なユダヤ人が子孫に伝えるタルムード「正直な仕立て屋」
ユダヤ人は金融知識の塊であることを知っていますか?
世界の人口の約0.25%に過ぎないユダヤ人ですが、ノーベル賞受賞者の20%がユダヤ人です。(ノーベル経済学賞だけだと38%がユダヤ人)
・ラリーページ(Google)
・スティーブ・バルマー(マイクロソフトCEO)
・マーク・ザッカーバーグ(Facebook)
フォーブスが公表する長者番付でも、上位陣には常にユダヤ人が多くユダヤ人は、頭脳が優秀で大金持ちや成功者が多いのです。
ユダヤ教には日本昔話のような『タルムード』と呼ばれる成功へつながる思考を伝えた昔話集があります。
今回は、タルムードの中から「正直な仕立て屋」というお話を紹介します。
正直な仕立て屋
◆正直な仕立て屋
ある国で大干ばつが起こりました。
作物は枯れ、家畜は死に絶え、国中の人が困っていたところ、聖職者が夢の中で神様からのお告げを受けました。
「仕立て屋に祈りを捧げさせなさい。そうすれば大地に雨を降らせよう。」
ところが仕立て屋は、学のない人でした。
・仕立て屋は神へ祈るためのヘブライ語も分からない
・仕立て屋は聖書の内容もよく覚えていない
そのため最初は、聖職者は「きっとこの夢は間違いだ」と思って無視しました。
そして聖職者は、学のある人たちを集めて祈らせましたが、やはり一向に雨は降りませんでした。
その間も「仕立て屋に祈りを捧げさせよ」というお告げは、繰り返し何度も夢の中に現れました。
そこでとうとう、聖職者は仕立て屋に祈らせることにしました。
人々の代表として祈り台にのぼった仕立て屋は、いつも使っている巻き尺を持って祈りました。
「神様、私は仕立て屋を始めて40年になりますが、ただの一度も人を騙したり、ずる賢い商売をしたことはありません。この巻き尺もご覧のとおり、全く狂いのない正確な巻き尺を使っています。」
「ですが、他の人は違います。わざと目盛りを狭くした巻き尺を使って生地を多く使ったように見せかけ、高い料金を要求する仕立て屋、わざと秤を狂わせて、粉の量をごまかす粉屋、同じように秤を狂わせて、油の量をごまかす油屋など、不正をしています。」
「でも私は違います。そういう不正は一切していません。この私の正直で適正な商売を評価して頂けるならば、どうか雨を降らせてください。」するとついに、雨が降り出しました。
その雨で、国中が救われたのでした。
これを知った人々は、自分の店に飛んで帰り、秤や巻き尺を正しいモノに直しました。
なぜ聖職者達の祈りは届かなくて、仕立て屋が祈ると雨が降ったのでしょうか?
今回の「正直な仕立て屋」の話が伝えたいことは2点あります。
① 学問 < 正直さ
② 適正な商売は神様に愛される
①「学問 < 正直さ」
1つ目のポイントは「学問 < 正直さ」ということです。
現代風に言うなら「マインドが最重要で、スキルは二番目」というイメージです。
もちろん知識やスキルは、武器にも防具にもなる大切なモノです。
ですが、知識やスキルが先行しても、本当の豊かさは手に入りません。
ヘブライ語が読める人の祈りではなく、
聖書を覚えている人の祈りでもなく、
正直な人の祈りが
神様に届き、恵みの雨につながったのです。
『Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』という本があります。
クリスティーン・ポラスという人が、20年かけて行った「職場の無礼さ」についての研究をまとめた本で、日本でも10万部以上売れたベストセラーです。
人を見下すような発言をしたり、パワハラを繰り返すような無礼者を、職場で見かけたことがある人も多いと思います。
わたしは数えきれないくらい目撃してきました。(笑)
◆パワハラ上司の場合:部下を本当に使えねえなと文書で頭を叩く
⇒漫画みたいな場面すぎて、びっくりしました。
◆セクハラ上司の場合:狙っている女性社員に俺仕事できるんだぜアピールをするために部下達の仕事をバカにした発言ばかりする。
⇒女性社員の同僚が実は彼氏で、上司からの悪口は社内全体に知れ渡っている。
『Think CIVILITY』では、「無礼な態度をとる人が職場にいるだけで、職場の生産性が下がる」ことが、実証研究の成果として示されています。
○『Think CIVILITY』の研究結果
・48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らす
・38%の人が、仕事の質を意図的に下げる
・80%の人が、無礼な態度を気に病んでしまい、仕事に集中できなくなる
わたしもこの研究結果が全部当てはまっていたので120%で納得しました。
それでいて生産性や予算を達成しろと言ってくるんですから無茶苦茶ですよね。
②「適正な商売は神様に愛される」
2つ目のポイントは「適正な商売は神様に愛される」ということです。
仕立て屋は40年間の長きにわたり、真っ当な商売を続けてきました。
ヘブライ語を学び続けたわけでも、
聖書の暗記に精を出したわけでもなく、
正直で適正な商売を続けてきたことが、
神様に指名され、祈りを聞き届けられる結果に繋がりました。
◆「適正な商売」とは「三方良し」である
・売り手良し
・買い手良し
・世間良し
みんなが喜ぶ状態のことを三方良しと言います。
逆に三方良しにならない商売は、長い目で見れば続きません。
誰かが無理をしている商売は、どこかでほころびが出るものです。
三方良しにならない場合は、短期的には稼ぐことができても、長くは続きません。
ドラッグストア業界で売上トップを誇るウエルシア薬局では、吉野家やほかの飲食店の商品を仕入れて販売しています。
池野会長曰く、仕入れで取引のある会社へ値切ることはしていないそうです。
ウエルシアが取引会社の商品を安く買いたたくことは、取引先が苦しい思いをするのと同じことで、長い目で見るとウエルシア側も、お客様へ良い商品を提供できなくなるという信念のためです。
2016年ウエルシアは、22年間も1位であったマツモトキヨシの売り上げを抜きました。
まさにウエルシアが「適正な商売は神様に愛される」を実践していた証ですね。
最後に
正直な仕立て屋は40年間の長きにわたり、真っ当な商売を続けてきたおかげで神様に選ばれることができ、国を救いました。
学問はできなくても、誠実さを神に認められたことから「マインドが最重要で、スキルは二番目」であると証明されました。
また、商売は三方良しでないと長く儲けることができません。
自分だけが儲かるということは、顧客と取引先が泣いている可能性があります。
正直な仕立て屋の話は「誠実に生き、周囲を大切にすることで幸せになれる」と教えてくれました。
わたしたちも、明日から成功者の思考法をマネして生きてみましょう♪