渋紙のこ

小説を中心に書評、料理エッセイなどを発信します。

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  • 書評

    書評です。

  • 連作短編小説「奇特な病院」(完結)

    ニッチで風変りな、もしかしたらどこかにあるかもしれない病院の話です。 第1シーズン(担当医編)、第2シーズン(患者編)で完結しております。

  • 「空想シリーズ」

    本にまつわるこんなだったらいいなを空想しながら、小説にしました。

  • 小説まとめ

    中編小説をまとめました。

  • 短編小説「なんなんちゃっちゃお」

    4話完結の短編小説です。

最近の記事

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中編小説「シミラー」

あらすじ  地震が多発し、津波、火災、戦争、窃盗など社会不安が増す中、人々はそのつらい現実から逃げるように、生活すべてでデザインが重視される社会になっていた近未来。突如、彗星のように頭脳集団「N」が現れ、次々に予言を的中させ、社会に熱狂的に受け入れられる。そんな中、主人公の祖母が、津波で命を落とす。主人公は、自分を見失い、恋人である「あなた」も主人公の元から姿を消す。「あなた」から主人公の大好きなフクロウのクリスタルの置物が送られてきて以来、一切の連絡が取れなくなる。それか

    • 私の本棚2024年11月⑦

      「人生をいじくり回してはいけない」 水木しげる著(ちくま文庫) 「ゲゲゲの娘日記」 水木悦子著(角川文庫) 特に、「ゲゲゲの鬼太郎」が好きと言うわけではない。幼き時に、かわいくなった鬼太郎じゃなくて、もっとおどろおどろしかった頃の鬼太郎を見て、怖いと感じた思い出があるぐらい。アニメは普通に見ていたぐらい。「ゲゲゲの女房」を見ていたわけでもない。 「人生をいじくり回してはいけない」は、偶然に出会いました。本屋で。最近は、よほどのことがない限り、文庫を買うようになっていて、文庫

      • 私の本棚2024年11月⑥

        「読書について」 ショウペンハウエル著(岩波文庫) 書店で、岩波文庫のおすすめと書いてあって、手に取った本作品。 家で、石鹸の香りのする栞を用意して、いざ読み始めると、 「数量がいかに豊かでも、整理がついていなければ蔵書の効用はおぼつかなく、」(ℓ5) と始まる。なんだって?いくら本を読んでも、効用ないって? とちょっと驚く。これが岩波から出るのか。 読書家にけんか売ってるのか?と思った。 決して読みやすい文章という気はしなかったが、本の後ろをチェックすると、87刷も?

        • 私の本棚2024年11月⑤

          「ベストセラー小説の書き方」 ディーン・R・クーンツ著(朝日文庫) 「サミング・アップ」 モーム著/行方昭夫訳(岩波文庫) 「ベストセラー小説の書き方」は、小説の書き方の本というと、よく出てくる本だと思います。小説の書き方の本というものにアンテナを張っている私の元へもやってきました。古本屋で見つけました。古本じゃなくても、普通にも手に入りやすいかと思います。読みやすいし、これを読んでベストセラーが書けるようになるかはわかりませんが、小説の書き方に興味のある方で、読んだことが

        • 固定された記事

        中編小説「シミラー」

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        • 書評
          14本
        • 連作短編小説「奇特な病院」(完結)
          93本
        • 「空想シリーズ」
          18本
        • 小説まとめ
          9本
        • 短編小説「なんなんちゃっちゃお」
          4本

        記事

          「奇特な病院2」魅力再発見科(第2シーズン完結)

          ※連作短編小説ですが、1話でも完結します。 第46外来:魅力再発見科(院長 栂村惣一郎)  人間ひとりでできることなど限られている。どんな賢者だって、有名人だって、世界を、宇宙を、周りを、人を、すべてを把握することなどできない。  人間には限界があると私は思う。 「へぇ~、知らなかったなぁ」  それは、恥ずかしいことではない。むしろ歓迎するべきことなんだ。  若い頃の私は、外へ外へと興味が向いていた。  目新しい世界の広がりに興奮したものだった。  でも、その私は、命の終

          「奇特な病院2」魅力再発見科(第2シーズン完結)

          私の本棚2024年11月④

          「貧乏サヴァラン」 森茉莉著(ちくま文庫) 「幸福はただ私の部屋の中だけに」 森茉莉著/早川茉莉編(ちくま文庫) 「紅茶と薔薇の日々」 森茉莉著/早川茉莉編(ちくま文庫) 今回は、森茉莉の本のご紹介です。 まず森茉莉との出会いからお話させてください。図書館で本を見ていたときに、見つけたんです。森茉莉全集を。今は、置いてないみたいなんですが、そのときは、森茉莉全集があったんです。今まで出会った本の中で群を抜いて私が大好きな装丁の全集です。ベストワンです。調べたんですけど、もう

          私の本棚2024年11月④

          牛乳石鹸ブックカバー使ってみた

          まだ配布されているかわからないんですけど、 数日前に本屋さんで文庫を買ったら、 「こちらついてきますけど」 って言われて、 「欲しいです」と言ってもらいました。 赤と青ががあって、ローズの香りとジャスミンの香りの栞がついてきました。 2冊文庫を買ったものだから、両方選べますって言われて、 「じゃ、それで」 と言ったものの、何が起こったんだ。 本屋さんでブックカバーくれるなんて。 と思って、にやにやしてしまいました。 それもカバーとして、本につけてくれるのかなと勝手に思ったんで

          牛乳石鹸ブックカバー使ってみた

          私の本棚2024年11月③

          『若い小説家に宛てた手紙』バルガス=リョサ著(新潮社) 『私のことだま漂流記』山田詠美著(講談社) 『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹著(新潮社) 思いつきで、本棚の本を軽く紹介したら、読んでくれる人がいることがわかり、調子に乗って、③です。ちゃんとした書評も書きたいんですけど、がっつり書評しなくても、私がどんな本を読んできて、小説を書いてきてるのというのは、自己紹介代わりになることに気づいたんです。 本棚で、私の中にはざっくりとしたテーマで数冊選び紹介するのがいいのかなと。

          私の本棚2024年11月③

          「宇多田ヒカル考」

          「宇多田ヒカル考」  宇多田ヒカルの曲を初めて聞いたのは、ラジオから流れてきた「Automatic」だった。聞いた瞬間、この曲好き!と思って調べて、宇多田ヒカルという人だとわかった。あっという間に超有名人になっていた。アルバム「First Love」ももちろん買って、よく聞いた。それ以来、新しい曲が出るたびにほとんど聞いてきたし、テレビも見てたし、私目線で聞いたり、見てきたりした宇多田ヒカルについて考えてきたことを掘り下げてみようと思いました。ほぼ詞についてです。音に関する記

          「宇多田ヒカル考」

          私の本棚2024年11月②

          「決定版253レシピ ようこそ、私のキッチンへ」有元葉子(集英社) 「おいしい!生地」小嶋ルミ(文化出版局) 「登紀子ばぁばの料理指南」鈴木登紀子(NHK出版) 「ウエカツの目からウロコの魚料理」上田勝彦(東京書籍) 「まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本」なかしましほ(主婦と生活社)  今回は、眺めて楽しい料理本のご紹介です。料理はしないよって人でも、見ていて楽しい料理本を私の本棚の中から選びました。という私も最近は料理本を買わずに、家にある材料や安

          私の本棚2024年11月②

          私の本棚2024年11月①

          『スピノザ ―読む人の肖像』 國分功一郎著(岩波新書) 『悲しみよ こんにちは』 サガン著(新潮文庫) 『ミステリーの書き方』 日本推理作家協会編著(幻冬舎) 他人の本棚って気になりませんか? 私は、YouTubeとかで、一時期よく他人の本棚紹介を見ていました。 不思議ですよね。 他人の本棚なのに、ああ、この人の好きなものは私も好きかもしれないと思うこともある。または、全然趣味は違うけど、こんな熱量で語れる本なのかと興味を持つこともある。 ふと思ったんです。 私の本棚も何か

          私の本棚2024年11月①

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」③

          空想「私が、HONYALで本屋を始めるなら」③ 今回は、SFプロトタイピング。 HONYALを使って本屋をやってみようかと新規事業の形を模索する会社での会議を想定して、考えていきます。 あくまで空想ですので。 登場人物  私 同期で私と仲の良いノブ 私とノブの提案を聞いてくれる社長 設定 社長から新規事業の提案とその新規事業の課題の洗い出しを命じられた私とノブ。 一回目の会議が行われている。 社長「では、始めるとするかな」 私「今回は、HONYALを使った新規事業を

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」③

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」②

          空想「私が、HONYALで本屋を始めるなら」② ②では、本屋をやろうと考えた方に、私がぴょんぽん堂の企画を考えたときに、本を集めた中から、読んでみて、面白かった本3選をご紹介します。 本屋さんの面接で落ちたこともあり、小説は書いていますが、出版社にも落ちて、こっちから一方的に本関係の仕事に憧れているだけであり、実務経験もない読書好きの3選だと多めに見てくださいね。 『これからの本屋読本』 内沼晋太郎著(NHK出版) 『本屋という仕事』 三砂慶明編(世界思想社) 『本を売

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」②

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」①

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」① 取次のトーハンでHONYALというサービスが始まったというので、私がそのサービスを利用して本屋を始めるならと空想してみました。 今回は、まだこれだ!ずばり!というものではなく、考え途中の問題点の洗い出しと、②では、ぴょんぽん堂の企画書を書いたときに、いろいろ集めた本屋に関する書籍の紹介です。 まず、本屋をやってみたい人ってどのぐらいいるのでしょうか。 多いのでしょうか。少ないのでしょうか。 でも、忘れてならないのは、本屋を

          空想「私がHONYALで本屋を始めるなら」①

          「奇特な病院2」作業効率科

          ※連作短編小説ですが、1話でも完結します。 第45外来:作業効率科(担当医&患者 越智健斗)  他人に言われて、始めた科じゃない。  俺がやりたいと思った「作業効率科」なんだ。  でも、俺が想像していたのとは、違ってた。  患者さんたちは、 「先生、どうやったら、仕事を効率的に進められますか?」  と聞いてくるんだ。  俺さ、自分でやりたいと思ったわけなんだけど、明確な答えがあるわけじゃなかったんだ。申し訳ないなと思った。  それでもさ、患者さんは答えを求めて、俺の元にや

          「奇特な病院2」作業効率科

          最近読んだ本2024年10月

          書評まではいかない軽い最近読んだ本の感想を。 「アルベール・カミュ ―生きることへの愛」 三野博司著(岩波新書) 「小説にできること」 藤谷治著(ちくまプリマー新書) 「書く人はここで躓く!」 宮原昭夫著(河出書房新社) 「物語のつむぎ方入門」 エイミー・ジョーンズ著 駒田曜訳(創元社)  「アルベール・カミュ ―生きることへの愛」は、大学生の時に、「異邦人」を読んで、めっちゃおもしろいと思った感動があって、その後、「ペスト」「転落・追放と王国」「幸福な死」と買って持ってい

          最近読んだ本2024年10月