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「奇特な病院2」魅力再発見科(第2シーズン完結)

※連作短編小説ですが、1話でも完結します。

第46外来:魅力再発見科(院長 栂村惣一郎)

 人間ひとりでできることなど限られている。どんな賢者だって、有名人だって、世界を、宇宙を、周りを、人を、すべてを把握することなどできない。
 人間には限界があると私は思う。
「へぇ~、知らなかったなぁ」
 それは、恥ずかしいことではない。むしろ歓迎するべきことなんだ。
 若い頃の私は、外へ外へと興味が向いていた。
 目新しい世界の広がりに興奮したものだった。
 でも、その私は、命の終わりを見たときから、変わり始めた。
 その経験から、私は、自分の内面と向き合わなければならなくなった。
「私はいったい何のために生きるのか?」
「私のやっていることに意味はあるのか?」
 そのことを考え始めたのは、三十をとうに過ぎてからだった。
 順調に見えていた私の人生に影を落とし始めた。
 学生のうちは、悩んだ分だけいいと私は思う。友人も見つけやすい。比較的、自分の時間があるという点でね。
 大人になってから、
「私って何者でしょう」
 と悩み始めると、案外、メンツやプライドが邪魔して、誰かに相談しにくいものだ。
 そういう思いもあって、私は、この「奇特な病院」を作ったんだ。
 自分の悩みも人との出会いや目の前の仕事によって、さまざまな発見もあった。
 私も存在意義への疑問はあるけども、今は、とにかく生きてみようと思う。
 さまざまな人の出会い、本を調べ、研究して、一つだけ確かなことが見つかった。
 それは、
「周りがすべて絶望、あれもこれも絶望と思っても、私の半径何千メートル、それ以上でも。その外側には、希望がきっとある」
 ということだ。だから、完全絶望しても探さないといけない。
 私は、世界のすべては知らない。
 私の魅力は、簡単に絶望しないことだと知った。そりゃ、疲れていれば、希望も見つからない日もある。でも、そんなときは、無理にでも休んで、寝ることにしている。
 そうすれば、朝が来るさ。気分も変わってる。
 私は、楽しいことが好きだから。人は笑っている方が好きだから。
 あなたもどうしようもないと思ったなら、「奇特な病院」を訪れてみてください。
 私は、今日、「奇特な病院」のコンセプトを決めた。

「絶望のその先へ」

日々、発見だ。

心だけではなく、身体にも気をつけて。
みなさま、どうかお大事に。

(おしまい)

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