マガジンのカバー画像

ニュースの手帖

476
ニュースを考える。ニュースで考える。
運営しているクリエイター

#ニュースで語る

宮本常一に学ぶーー「文化」「芸術」を支えるのは「自ら功を誇らない」人々

宮本常一に学ぶーー「文化」「芸術」を支えるのは「自ら功を誇らない」人々

▼東京の府中に、日本一大きな太鼓がある。宮本常一は、その太鼓は会津で作られた、という話から、「復興と文化」について、忘れがたい話を語っている。今号は、その講演を紹介したい。

「民衆文化と岩谷観音」という講演が、1978年の冬、山形県東村山郡中山町の中央公民館で行われた。

この講演は、いま手に入る本としては、河出文庫の『日本人のくらしと文化 炉辺夜話』と、農文協の『宮本常一講演選集2 日本人の知

もっとみる
新型コロナとアフリカーー人口1800万人の国に集中治療室が25床しかない件

新型コロナとアフリカーー人口1800万人の国に集中治療室が25床しかない件

▼アフリカと関係が深いのは、フランスと中国である。

フランスには「ジュンヌ・アフリック」という雑誌があり、アフリカについてくわしい。アフリカの感染の様子がわかる地図が載っていた。

▼中国は新華社。これも、やはり英語版よりもフランス語版のほうが、アフリカ関連に強い。

▼アフリカ各国の動向までくわしく報じる海外のメディアと比べると、日本語のマスメディアはどうしても総論的なものが多くなる。かといっ

もっとみる
新型コロナとアフリカーーWHOが「各国は目を覚ませ」と訴えている件

新型コロナとアフリカーーWHOが「各国は目を覚ませ」と訴えている件

▼新型コロナウイルスのニュースで筆者が気になるのは、アフリカのニュースである。ほとんど報道されない。しかし、ないわけではない。日本の場合はおもに、南アフリカのヨハネスブルクに駐在しているマスメディアの記者たちが書いている。

でも、報道される機会が少ないから、表題のWHOの声明も知られていない。

▼「新型コロナとアフリカ」について、筆者が最初に目にした大型の記事は、今から1カ月以上前の、2020

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(7)日本の民主主義は機能している

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(7)日本の民主主義は機能している

▼最近、コロナ独裁、という言葉を目にした。世界では新型コロナウイルスの大流行を悪用して、いろいろと、やらかす指導者が出てきたからだ。

2020年4月6日付の毎日新聞で、〈コロナ「便乗」強権加速/ハンガリー 非常事態継続「無期限」/批判恐れ野党弾圧 ベネズエラ〉という見出しの記事が載っていた。

特に気になるのはハンガリーのオルバン首相だ。

〈新型コロナウイルスの感染拡大を巡る「国家の危機」に際

もっとみる
「超エモい」は「いとあはれ」の子孫である件

「超エモい」は「いとあはれ」の子孫である件

▼「エモい」という言葉は、すっかり普及した。いろいろな場面で使われるらしい。「やばい」とは違う意味だ。筆者は使ったことがないが、エモいの意味について、2020年3月28日付の読売新聞を読んで目から鱗が落ちる思いがした。

三省堂の辞典編集で有名な国語辞典編纂(へんさん)者・飯間浩明氏いわく、

「エモいは、昔でいう『あはれ』だと思う。素晴らしいと感じ時も悲しい時も、情感を込めて表現できる」

〈飯

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(6)感染した人は謝るな。謝らせるな。

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(6)感染した人は謝るな。謝らせるな。

▼2020年4月17日付の毎日新聞夕刊の1面トップが、日本特有の「謝罪する文化」が新型コロナウイルスをさらに蔓延(はびこ)らせることを指摘した。宇多川はるか記者。

■「コロナ感染=謝罪」は異常〈コロナ感染=謝罪なの?/組織トップ 芸能人 会社員として…/申告が怖くない社会に〉

▼要するに、感染した有名人がやたらと謝っているわけだ。謝らない人もいるが、謝る人のほうが多い。感染したという事実につい

もっとみる
「影のパンデミック」ーーDV電話相談がもうすぐ24時間対応になる件

「影のパンデミック」ーーDV電話相談がもうすぐ24時間対応になる件

▼新型コロナウイルスの影響で、これまで見えなかった(見ようとしなかった)社会問題が見える(見ざるをえない)ようになってきている。それだけ問題が悪化している。それも、世界規模で。

■DV被害は【0120・279・889】へ▼2020年4月19日付の読売新聞1面に、

〈DV電話相談 新窓口 あす開設〉

という記事が載っていた。この記事が、読売新聞オンラインだと、

〈「世界規模で恐ろしいほど急増

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(5)DV(家庭内暴力)は「影のパンデミック」

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(5)DV(家庭内暴力)は「影のパンデミック」

▼世界中でステイホーム、「家にいよう」が合言葉になっている。新型コロナウイルスの感染を止めるには、「社会的距離」をとるしかないからだ。

しかし、家が地獄の人々がいる。ステイホームによって命を奪われる人がいる、ということだ。

■NHKのDV特集記事▼2020年4月20日配信のNHKニュースが素晴らしい特集を組んでいた。

〈特集『家にとどまって』 ~その家が安全ではなかったら?~〉

〈新型コロ

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(4)「圏外」の人々がいる

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(4)「圏外」の人々がいる

▼新型コロナウイルスの感染拡大をニュースで頻繁(ひんぱん)に目にし始めた時、思い浮かんだ新聞記事があった。今号はそのなかなか2つの記事を紹介したい。

■独り身の非正規▼2020年2月4日付の朝日新聞に、〈がんでも働く〉という記事があった。

〈がんでも働く(上) 独り身の非正規 休めない〉

〈正月気分が残る松の内の東京郊外。北風が小雨を吹きつける中、宅配便会社でパートの非正規社員として働く女性

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(3)「地域力」の差

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(3)「地域力」の差

▼2020年4月11日のNHKスペシャル「新型コロナウイルス最前線の攻防」で、専門家会議・クラスター対策班の押谷仁氏は、解決のカギは「地域力」だ、とコメントした。

この「地域力」について、考えさせられたニュースを3つ紹介しておく。

■医療崩壊は地方都市から起こるかもしれない▼ひとつめ。

新聞の便利なところは、広い紙面を使った一覧性をはじめ、いろいろあるが、その一つが地図や表、グラフである。

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(2) 「夜の街クラスター」

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(2) 「夜の街クラスター」

▼「緊急事態宣言」の範囲が全国に広がった。

〈新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、政府は16日夜に開いた対策本部で、東京など7つの都府県以外でも感染が広がっていることから、来月6日までの期間、対象地域を全国に拡大することを正式に決めました。16日夜、官報の号外に記載され、効力が生じました。〉(NHK、2020年4月17日)

▼5月6日までということだが、この1週

もっとみる
「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(1)「8割おじさん」

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(1)「8割おじさん」

▼2020年4月7日に安倍晋三総理は「緊急事態宣言」を発表した。

〈新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受けて、安倍総理大臣は、政府の対策本部で、東京など7都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」を行いました。宣言の効力は来月6日までで、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡が対象となります。〉(NHK、2020年4月7日)

■「2週間後に転換点」のはずだった▼全

もっとみる
感染症と戦う最大の武器は「想像力」である件

感染症と戦う最大の武器は「想像力」である件

▼世界の人口の半分、39億人に、外出制限がかかっている。2020年4月3日配信の共同通信記事から。

〈コロナで世界人口半数に外出制限 90カ国・地域の39億人〉

〈【ジュネーブ共同】新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の対策により外出制限措置を受けているのは90以上の国・地域の約39億人に及び、世界人口(約77億人)の半数を超えていることが分かった。

欧州メディアが3日までに伝えた。世界全

もっとみる
差別が感染症を拡大させる件

差別が感染症を拡大させる件

▼最近は「新型コロナウイルス」のニュース一色だが、アメリカで銃の売れゆきが伸びている、というニュースを読んでビックリした。NHKニュースから。太字は引用者。

〈米 銃や銃弾購入の動き広がる 物資不足で暴動など懸念/2020年3月17日 9時25分〉

〈新型コロナウイルスの感染が拡大するアメリカでは、物資の不足により暴動が発生するのではないかという懸念などから、一部で銃や銃弾を購入する動きが広が

もっとみる