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ニュースの手帖

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#文化

公序良俗が行き過ぎると息が詰まる話 ピエール瀧氏の逮捕余聞

公序良俗が行き過ぎると息が詰まる話 ピエール瀧氏の逮捕余聞

▼美術手帖のサイトで、いい話が報道されていた。2021年6月21日配信の記事。適宜太字。

〈映画『宮本から君へ』助成金不交付で原告が勝訴。芸術文化振興会に不交付取り消し命じる〉

〈文化庁所管の芸術文化振興会が映画『宮本から君へ』に対する助成金1000万円を不交付とし、この行政処分の取り消しを求めた訴訟で、原告側が勝訴した。

独立行政法人日本芸術文化振興会(芸文振)が映画『宮本から君へ』に対す

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選択的夫婦別姓が進まないのは「天皇の制度」に深い関係がある件

選択的夫婦別姓が進まないのは「天皇の制度」に深い関係がある件

▼新聞を読んでいると、たまに「日本という国の根源」に触れる記事を読むことがある。

2021年3月24日付の毎日新聞夕刊に、そういう記事が載っていた。選択的夫婦別姓の制度づくりが一向に進まないのは、「天皇の制度」に関係がある、ということを論じた、歴史家の加藤陽子氏のインタビュー。牧野宏美記者。適宜改行と太字。

〈任命拒否 へこたれていませんよ/「相似形の国や時代」から導く普遍性/別姓制へ「個人の

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ヤフーニュースでは「イングランド封鎖」と「芸能人の結婚」が等価になる件

ヤフーニュースでは「イングランド封鎖」と「芸能人の結婚」が等価になる件

▼2021年の新年の印象を、「暗礁に乗り上げた」と言った友人がいるが、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。しかし、新型コロナウイルスの影響で、いいニュースが少ないことは確かだ。

日本では1月7日に菅総理大臣が緊急事態宣言を出すようだ。

▼ヤフーニュースの主要トピックス一覧から、イギリスのニュース。2021年1月5日配信。

〈英首相、イングランド全土の封鎖発表 スコットランドに続き〉

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コロナ禍で大学の「書く」授業がとても捗(はかど)った件 金原瑞人氏の経験に学ぶ

コロナ禍で大学の「書く」授業がとても捗(はかど)った件 金原瑞人氏の経験に学ぶ

▼2020年は、大学での授業がコロナウイルスの影響で完全にストップして、次第にオンライン授業が増えていったわけだが、そのなかで起きた面白い現象について。翻訳家の金原瑞人氏が2020年10月18日付の日本経済新聞に書いた「書ける若者たち」という文章から。

金原氏は毎年、法政大学で「創作表現論」という授業をしている。適宜改行と太字。

〈普段の対面授業では、日本で最初の本格的な英和辞典「英和対訳袖珍

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王将戦リーグが滅法(めっぽう)面白い件(その2)

王将戦リーグが滅法(めっぽう)面白い件(その2)

▼王将戦リーグがじつに面白い展開になっている。

最大の話題は、藤井聡太氏の3連敗である。10月29日の対佐藤天彦9段戦は勝ったが、依然、リーグ脱落を免れるための戦いが続く。

レーティングの順位は、永瀬氏が負けたので、結局変わらなかった。しかし、今回は永瀬氏が藤井氏にわずか1差まで迫ったので、ひっくり返る可能性は十分にある。

▼さて、永瀬拓矢氏へのインタビュー記事から。日本経済新聞2020年7

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王将戦リーグが滅法(めっぽう)面白い件(その1)

王将戦リーグが滅法(めっぽう)面白い件(その1)

▼2020年10月現在、将棋の世界には「四強」がいる。

藤井聡太二冠、永瀬拓矢王座、渡辺明名人、豊島将之竜王の4人だ。

羽生善治氏は、この4人に入っていない。

▼まず、いつものように2種類のレーティングでトップ10人を見ておこう。

▼将棋棋士レーティングランキングhttps://shogidata.info/list/rateranking.html

レート更新済み : 10月28日対局

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日本人は大麻についてよく知らない件(その3)

日本人は大麻についてよく知らない件(その3)

▼大麻について、「精神科治療学」2020年1月号が特集していた。その紹介を続ける。

同誌はバリバリの専門誌だが、前回メモした、その1、その2を読めば、理解不能なことが書いてあるわけではないことがわかる。

要するに、薬物依存の治療の専門家が、「私たちは大麻について知らないことが多い」と明言しているのだ。

▼知らない、ということを知るところから問題の認識が始まるのは、この世を賢く生きていくための

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マスメディアは互いに批判し合ったほうがいい件

マスメディアは互いに批判し合ったほうがいい件

▼好感のもてるコラムが2020年10月20日付の日本経済新聞「春秋」に載っていた。

▼マスメディアは、互いに批判し合わなければならない。「インサイダー」という映画の名作がある。それを見ればよくわかるが、マスメディアが悪さをした場合、同業他社に批判されることによって、そのマスメディアは、よりよくなることができる。

この原理を支えているものは、泡(あぶく)のように頼りない感情や、党派的な立場論など

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日本人は大麻について多くを知らない件(その2)

日本人は大麻について多くを知らない件(その2)

▼松本俊彦氏の文章の続き。なぜ「私たちは大麻について多くを知らない」のかについて。前号と同じく、専門性の高い文章で、少し難しいのだが、大麻について考えるためには必須の文献だと考えるので、そのまま紹介しておく。適宜改行と太字。

〈思えば,米国は長きにわたって大麻を「スケジュールI」 という最高度の規制対象に位置づけ, 研究目的での使用さえも制限して 「パンドラの箱」が開かれることがないよう封印を守

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日本人は大麻について多くを知らない件(その1)

日本人は大麻について多くを知らない件(その1)

▼「常識」というものほど恐ろしいものはない、と思い知らされる事件が多い。

▼東海大学の野球部員が大麻を使い、大学は野球部を無期限活動停止にした。

筆者は、この対応は過剰反応の極みだと考える。しかし、廃部にしなかっただけ、まだマシだと考えることもできる。

▼2020年10月17日配信の朝日新聞デジタル記事から。適宜太字。

〈強豪・東海大野球部員が大麻使用か 部は無期限活動停止 10/17(土

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藤井聡太氏の5連敗が新聞記事になる件

藤井聡太氏の5連敗が新聞記事になる件

▼「負けたこと」が記事になるプロ棋士といえば羽生善治氏だったが、「特定の棋士に連敗していること」が全国紙の記事になった例は寡聞(かぶん)にして知らない。

▼2020年9月13日付の読売新聞の見出しが印象的だった。適宜改行と太字。

〈藤井二冠が5連敗 豊島竜王に〉

〈将棋日本シリーズ(JT杯)の2回戦が12日、東京都内のスタジオで行われ、藤井聡太二冠(18)が豊島将之竜王(30)に敗れた。

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「将棋世界」を読むと藤井聡太氏の破格ぶりがわかる件(その0)

「将棋世界」を読むと藤井聡太氏の破格ぶりがわかる件(その0)

▼前号から1カ月ほど、わざと更新しなかった。そうすると、どれくらい閲覧数が減るか、みてみようと思ったからだ。しかし、思っていたほど減らない。

むしろ数日前から、具体的には2020年8月18日から、何にも更新していないのに、閲覧数が急増し始めた。

うすうす、そうなるだろう、と思っていたのだが、想像以上の増え方だった。

▼将棋の王位戦第4局が始まったのは8月19日であり、その前日から、マスメディ

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藤井聡太氏が今年度中に「四冠」になるかもしれない件

藤井聡太氏が今年度中に「四冠」になるかもしれない件

▼数日前、寝起きにスマホを見ると、noteから、あなたの記事が、1週間で最も読まれた記事の一つでした、というお知らせが届いていた。寝ぼけていたので、すぐ消してしまったので正確な文章ではないが、大要、そういう内容だったと思う。それがこの記事。

〈将棋のトッププロに見えている残酷な現実の件〉

これは2019年の3月に書いたものだ。直近の1週間で4000から5000ビューくらいだったと思う。

▼す

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400万人が「渡辺棋聖」対「藤井聡太」の第3局を視聴した件

400万人が「渡辺棋聖」対「藤井聡太」の第3局を視聴した件

▼きのうは素晴らしい将棋を見ることができた。

将棋の棋聖戦第3局は渡辺明棋聖が藤井聡太七段に一矢報いた。第4局は、わずか1週間後の7月16日。きのうの第3局の印象が鮮明なうちに行われる。

最終戦までもつれこんでも、7月21日。今月中に決着がつく。

対局のペースが早い。否応なしに盛り上がる番勝負だ。産経新聞の人は喜んでいるだろう。産経新聞記事から。

〈【ヒューリック杯棋聖戦】第3局 渡辺棋聖

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