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桶屋雑記(第1期)

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基本人との関わり方とか小説の話しかしないマガジンです。 毎日更新します。たまに進捗報告になります。
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#毎日

遠ざかったヤマアラシに肩を預けるように。

遠ざかったヤマアラシに肩を預けるように。

私には幼少期から続いている友人がいる。中学まで同じ進路で、中学高校は塾が一緒だった。
二度の受験期を乗り越えた仲だから、というわけではないが、未だに仲がいい。

昨日、久々に彼と会って食事をした。
私は友人と会うと途端に喋りがちになる。ただ、喋る内容は友達によって様々な気がする。
趣味の話がメインか、恋愛相談か、人生相談か……世間話はどこでもするけど、所属するコミュニティが違えば、世間話の内容も変

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ワインを飲みながら、煩雑した部屋に頭を抱える。

ワインを飲みながら、煩雑した部屋に頭を抱える。

一週間が終わる。倦怠感が凄いのは残業手前に飲み干した珈琲のせいだ。空っぽの胃に流し込むカフェインは興奮剤だけど、切れたあとの、胃が萎むような感覚が気持ち悪い。何度もやらかした失態だ。それでも、BOSSの金の微糖は美味しいので何度だって飲んでしまう。着色が怖いので最近は控えていたけれど。

何もしたくなくなることがある。そういうときはきまって、動画サイトを立ち上げて、何も考えずにコンテンツを消費して

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システムのテストをしながら、人と人との繋がりを一層意識した日。

システムのテストをしながら、人と人との繋がりを一層意識した日。

研修で作ったシステムのテストをしながら私はセルフ市中引き回しの刑を実行していた。
もちろん、ガチの市中引き回しではない。頭の中で引き回しだ。
首から提げた札にはこう書かれている。
『私は設計にない仕様を追加しました』

システムの設計をする際、まず仕様が配られ、それに基づいて設計書を作る。
外部設計で画面インターフェースを作って、内部設計でデータの流れや変化、各要素の機能を細分化して書き込んでいく

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『感動した』の先が見たかった。だから『その作品がやりたかったこと』を考えてみた。

『感動した』の先が見たかった。だから『その作品がやりたかったこと』を考えてみた。

『楽園追放』がYouTubeで期間限定無料配信をしていたので観た。

人間の多くが肉体を手放し、電脳世界『ディーヴァ』を安住の地とした未来の話。
ディーヴァの捜査官・アンジェラは、『ディーヴァ』に侵入する謎のハッキングの正体を突き止める任務のため、荒廃した地上に降り立つ。地上には『ディーヴァ』に移らなかった人間たちの居住区があり、彼女はそこで、捜査の相棒となるディンゴと出会う。地上での捜査をしてい

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仕事の帰り際、秋の風が心地よくて胸が苦しかった。

仕事の帰り際、秋の風が心地よくて胸が苦しかった。

退勤してから浴びた秋の風の匂いがなぜか、懐かしくなって胸が苦しかった。東京と地元を行ったり来たりする秋口。残暑は夏の末日に殺されてしまった。

マスク越しの呼吸は息苦しい。
けれど、不織布越しの涼しい空気は喉を潤した。

灰色都会の空気には、山奥のような美味しさは感じないけど、なんだかやけに澄んでいる気がした。
空気を吸って吐いて、ただそれだけの生命活動が心地よいのは、単に暑さが和らいだから、なの

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