ワインを飲みながら、煩雑した部屋に頭を抱える。
一週間が終わる。倦怠感が凄いのは残業手前に飲み干した珈琲のせいだ。空っぽの胃に流し込むカフェインは興奮剤だけど、切れたあとの、胃が萎むような感覚が気持ち悪い。何度もやらかした失態だ。それでも、BOSSの金の微糖は美味しいので何度だって飲んでしまう。着色が怖いので最近は控えていたけれど。
何もしたくなくなることがある。そういうときはきまって、動画サイトを立ち上げて、何も考えずにコンテンツを消費している。そうすると、後で自己嫌悪にさいなまれる、というのに。何にも出来ないときは、何にも出来ない。スイッチの切替えができるようになりたい。仕事場に行くとオン・オフが切り替えられるように、日常でもなにか、決定的なきっかけが欲しい。
机上を見回した。ものが多い。小説のアイデアを書きなぐったB3コピー用紙、おすすめの文庫本、辞書類、輪読会で使った技術書、文房具。とりわけ、電子機器類のケーブルは邪魔くさい。まずはこの煩雑さと向き合わなくてはならないようだ。
机の上に何もなくなったとき、淀んでしまった心もちょっとはまっさらになるだろうか。集中力がない私は、文章を書きながらも、Twitterのタイムラインを眺めてしまうし、ロック音楽にヘッドバンキングをしてしまう。ゾーンに乗るときは、文章がすらすらと書けているとき、話の道筋が一筋の単純明快な光になったときだ。そうなるまで時間がかかるのが問題だが。
小説であれ仕事であれ、スイッチを切り替えが上手くできるようになることが当面の私の課題のようだ。
書きながら気づいた。
整理整頓をろくにしてこなかったことをちょっとだけ後悔している。積み重なった本の山を切り崩すのは気が滅入る。片付けしているはずがいつの間にか読書の時間になっている未来が易易と想像できる。
もう、何にもない部屋にこもりたい。真っ白な部屋に木目調の机とモニターがあればいい。資料収集のためにサーチエンジンを開きながら、ひたすら手を動かすのだ。書斎に憧れる。自分だけの仕事場、というか。自分だけの書斎がある家に住みたい。ずっと夢を見ている。
当分の間叶わないので、仕方なく部屋の片付けをしようと思う。夢を見ることも時には重要だが、現実の諸問題を切り崩さなきゃ、きっとどこかで溺れてしまう。そうなる前に。