日本の神々
日本の神々について、書かれた本です。
といっても、神さまを列挙した、事典や図鑑ではありません。
日本の「神」という概念が、そもそも、どのように生まれたのか。
日本人は、神を、どのようなものだと考えて―あるいは、感じて―きたのか。
そういった、原初的なことを取り上げています。
日本人は、何に神を感じてきたのか。
それらを、何と呼んだのか。
神話は、どのように語られたのか。
本書に、書かれています。
本書の文章の背後には、膨大な文献を読み込んだ知識と、日本全国を巡って、直接、神話の語りを聴いた体験とが、感じられます。決して、机上の空論ではありません。
日本の神々には、本来、はっきりした形がありません。
それゆえに、さまざまな変容をとげやすい存在です。本書には、変容する神々の様子も、生々しく書かれています。
日本の神々について知りたいなら、本書を読まずに済ますことは、できないでしょう。
本書には、日本本土の神々ばかりでなく、南西諸島(沖縄など)や、アイヌの神々も載っています。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
第一章 神【カミ】・祖霊【タマ】・妖怪【モノ】
カゼとミサキ/海荒れ/カミと妖怪/祭場と葬地/神社の原型/山宮祭
第二章 外来魂と守護神
イナダマ/セヂとケ/ウブ/邪神とのたたかい/箒【ほうき】神と便所神/
山の神迎え/ウブスナ/マウ神
第三章 流竄【るざん】の神々
乱舞する神々/国つ神と山神/一眼一足の怪/精霊たちの冬祭/
アイヌの神の世界/国の命、国の魂/天つ神の東北進出/蝦夷の神/
アラハバキの神の役割
第四章 創世神話の展開
カヤカベの神話/南島の創世神話/八重山の洪水神話/
かくれキリシタンの津波伝説/失墜感の欠落/橘【たちばな】の小門【おど】/
噴火造島の神/海島神話の誕生
第五章 生き神の思想と御霊【ごりょう】信仰
ヒトツモノ/マレビトの訪れ/日の妻アマテラス/あるきみこ/ツヅの神/
跳躍する巫女/祭の日の巫女/神ダーリ/神に位を授けること/
教祖の予言/国造【こくぞう】の裔【すえ】の祭司/天皇霊/御霊信仰
第六章 神観念の拡大
エビス/動物霊/海神の乗り物/族霊との合体/異類との婚姻/
青の神とアロウ神/青の神と海神/渚【なぎさ】にて/疱瘡【ほうそう】神もマレビト
第七章 神々を運ぶ海上の道
赤山明神/渡来人の神々/天日槍【あまのひぼこ】とその妻/地名の一致/
八幡神の南下/石鍋と家船/アマミキヨと石鍋/アマミキヨと鍛冶/
先島の鍛冶神/南への志向/常世とニライカナイ
終章 回想の神々
対馬・出雲・宮古島
あとがき