増補 酒づくりの民族誌―世界の秘酒・珍酒
これ一冊あれば、世界のお酒について、とても詳しくなれます(^^)
「世界には、なんと多様なお酒の文化があるのだろう」と感嘆させられます。
日本人に馴染みのあるお酒と言えば、日本酒、焼酎、ビール(麦酒)、ワイン(葡萄酒)、ウィスキー、ブランデーくらいでしょう。最近ですと、泡盛、紹興酒、ウォッカ、テキーラあたりも入るでしょうか。
けれども、世界には、まだまだ、たくさんの種類のお酒があります。
例えば、さまざまな種のヤシから作るお酒があります。通称、ヤシ酒と呼ばれるものですね。一口にヤシ酒といっても、そこには、多くの種類が含まれます。
リュウゼツランから作る、プルケというお酒もあります。テキーラ―やはり、リュウゼツランが原料ですね―の原型となったお酒です。
パイナップルから作るお酒、ライチから作るお酒、蜂蜜から作るお酒、タケノコから作るお酒、ラクダの乳から作るお酒まであります。
中には、原料自体、日本人には馴染みのないお酒もあります。例えば、キヌア、エンセーテ、マフアなどです。
これらの名を聞いて、それが何かをわかる日本人は、少ないでしょう。
キヌアは、南米のアンデスに産する穀物です。
エンセーテは、アフリカのエチオピアで栽培される農作物です。バナナに近縁です。
マフアは、インドに産する高木です。花に糖分があり、この花からお酒を作ります。
こうして並べただけでも、世界のお酒文化が、いかに多様か、おわかりでしょう。
お酒の文化に興味がある方、食文化に興味がある方、農業に興味がある方などに、お勧めします。
文化人類学的なものがお好きな方にも(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
まえがき
ヒトにとって酒とはなにか
アメリカの酒
神への捧げもの、プルケ酒 ―メキシコ―
アマゾンのビール、パイナップル酒
ププニャの酒ンネコ ―コロンビア・アマゾン―
口噛み酒の杯はめぐる ―エクアドル・アマゾン―
「チチャこそすべて」 ―インカ帝国の酒―
酒に生きるアンデスの伝統 ―ペルー―
幻のキヌア酒 ―ボリビア―
アフリカの酒
エンセーテの酒 ―エチオピア―
大地の恵みを飲む ―アフリカの雑穀の酒―
サタンの水 ―中央アフリカ・キブ湖畔の酒―
竹の酒ウランジ ―タンザニア・イリンガ州―
アフリカのヤシ酒
ソンゴーラの火の酒 ―ザイール―
カラハリ砂漠の果実酒
ケニア山麓の蜂蜜酒
西部ユーラシアの酒
東スラブの清涼飲料、クワス
オーストリアのリンゴ酒、モスト
飲み物としてのブドウ、ヨーロッパと日本
ビールと大麦
古代オリエントの酒
イスラーム文化の陰のナツメヤシの酒
酒を作る花マフア ―インド―
古代インドの酒スラー
東部ユーラシアの酒
シコクビエの酒チャン ―ネパール―
壺酒 ―東南アジア大陸部の酒―
酒は食べ物か飲み物か ―インドネシアのタペとブレン―
東南アジアのヤシ酒
ハトムギの酒
農民色豊かなサトウキビの酒 ―フィリピンを中心に―
サルナシ酒とレイシ酒 ―中国の代表的な果実酒―
山東省のキビの酒、即墨老酒
台湾原住民の酒
「砂漠の舟」ラクダの乳酒
東ユーラシアの蒸留酒
日本の酒
沖縄の多彩な米の酒
サツマイモの酒
日本の清酒を生み出した米
縄文人による果実酒づくりの可能性
人間は何から酒をつくったのか
あとがき
付表(参考資料)
索引
執筆者紹介