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日本の美術 (No.382) 不空羂索【ふくうけんじゃく】・准胝【じゅんてい】観音像


日本の美術 (No.382) 不空羂索【ふくうけんじゃく】・准胝【じゅんてい】観音像

 雑誌『日本の美術』のうちの一冊です。不空羂索【ふくうけんじゃく】観音と、准胝【じゅんてい】観音との特集号です。

 仏像について、少し詳しい方ならば、観音菩薩【かんのんぼさつ】に、いくつもの種類があることを、御存知でしょう。千手【せんじゅ】観音、如意輪【にょいりん】観音などという名が、付いていますね。
 それらの「○○観音」のうち、不空羂索観音と、准胝観音とを、取り上げています。どちらも、あまり有名ではない観音像です。資料も少ないです。
 本書は、貴重な資料です(^^)

 『日本の美術』は、名のとおり、日本の美術品を解説する雑誌です。
 本号の場合は、日本にある不空羂索観音と、准胝観音との像を、主に美術的観点から、解説しています。

 立体的な仏像ばかりではありません。観音に限らず、仏さまは、絵に描かれることもあります。そういった図像も、取り上げられています。

 仏教的な観点から、不空羂索観音と、准胝観音との起源についても、考察されています。
 観音菩薩に、こんなにたくさんの種類があるのは、バラモン教やヒンドゥー教の神々を、観音の一種として取り入れたからだといわれます。つまり、もとは、仏教以外の宗教の神さまだったわけです。

 不空羂索観音と、准胝観音も、そのような起源があるものと推察されています。

 本書は、初心者向けの本ではありません。仏像や仏教について、最低限の知識を持っていないと、読んでも意味がわからないでしょう。
 仏像中級者向けだと思います(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

不空羂索【ふくうけんじゃく】観音像
 不空羂索観音とは
 不空羂索観音の経典
 不空羂索観音の形像
 根本性格とインドにおける成立過程
 中国の不空羂索観音信仰とその造像
 不空羂索信仰の日本への伝来
 奈良時代の不空羂索信仰とその造像
 平安時代の不空羂索信仰と造像
 鎌倉時代以降の不空羂索信仰と造像

准胝【じゅんてい】観音像
 准胝観音とは
 准胝観音の経典と形像
 わが国における准胝信仰の受容と展開
 平安~鎌倉時代の作例

図版目録
参考文献

特別寄稿 インド・チベット・ネパールの不空羂索観音  田中公明



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