平安王朝
平安時代の天皇の年代記です。平安京を開いた桓武天皇から、源平の争乱真っ最中の後白河天皇までを、順番にたどっています。
一般向けの本としては、ありそうで、なかった本といえます。
平安時代は、藤原氏の摂関政治をもって語られることが多かったからです。
一応、政治の中心にいたはずの天皇家について、まとめて解説した本は、少ないです。
平安時代は、約四百年間も続いた時代でした。これほど長きにわたり、都が一か所に落ち着いていたことは、日本の歴史では、初めてでした。
まったく騒乱がなかったわけではありません。それでも、比較的平穏な時代が続き、おかげで、国風文化が栄えました。
その中心にいた天皇家について知ることは、日本の文化を知る上で、重要でしょう。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
序「王の年代記」をめぐって
I 桓武天皇とその子どもたち
一 桓武天皇のイメージ
謎につつまれた前半生
桓武王統の「原罪」――早良【さわら】親王の憤死
都市王権を象徴する神話
など
二 桓武の子どもたち
後宮の構成者と近親婚
焦慮する平城【へいぜい】――伊予親王事件の背景
薬子【くすこ】の変がもたらしたもの
など
II 都市王権の成立
一 『源氏物語』の原像――仁明【にんみょう】・清和・陽成【ようぜい】・高子【たかいこ】
承和【じょうわ】の変の衝撃――直系王統の成立
「幼太子」と惟喬【これたか】親王問題
幼帝=清和と高子
など
二 王統が動く――光孝【こうこう】・宇多【うだ】をめぐるドラマ
「当代は家人【けにん】にはあらずや」
阿衡【あこう】の紛議――宇多と基経【もとつね】の葛藤
寛平【かんぴょう】新制の意義――都市王権の宣言
など
三 延喜【えんぎ】聖帝=醍醐【だいご】と道真【みちざね】の怨霊
なぜ理想化されたか
道真の祟りへの恐怖
王権の危機――皇太子空位と将門の乱
四 「狂乱の君」=冷泉【れいぜい】がもたらした暗雲
摂関家中興の祖=師輔【もろすけ】
冷泉、精神を病む
王位継承をめぐる争い
など
III 「摂関政治」と王統分裂
一 円融・花山【かざん】の角遂と兼家の台頭
両統迭立の開始
花山をとりまく朋輩たち
花山出家をめぐるスキャンダル
など
二 一条と三条――道長の黄金時代
円融「院政」とその挫折
道長の登場と『源氏物語』の世界
「無礼もっとも甚だし」――三条の憤懣
など
三 「後」のつく天皇たち――爛熟【らんじゅく】への傾斜
万寿年間の暗転
後朱雀の苦悩と頼通【よりみち】の蹉跌【さてつ】
閉塞する宮廷――後冷泉の時代
IV 「院政」と内乱の時代
一 院政の成立――後三条の登場
新制と大内裏再建
なぜ院政をのぞむのか
閑院流藤原氏と村上源氏の隆盛
など
二 白河王統の確立と摂関家の屈服
「天下、心を三宮に帰す」
宮廷社会の再編
後三条の祟りの噂のなかで
など
三 内乱の時代へ
鳥羽の「叔父子」=崇徳【すとく】
白河の死と矛盾の顕在化
「院・王母」体制の成立――卓越する得子【なりこ】
など
四 後白河天皇の歴史的位置
中継ぎの天皇として
平治の乱とは何であったか
後白河と二条の父子確執
など
系図
王家系図
藤原氏系図
武家源氏系図
参考文献
あとがき
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