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味噌汁を作って『一汁一菜でよい』と思うことが、私を少し自由にしてくれた│十一月の整腸習慣は味噌汁を食べる

味噌汁というのは好きでも嫌いでもない部類でした。よくある好きな味噌汁の具材ランキングとかを見ていても、私は特に無いなぁ…と思うタイプで。

食事には汁物が欲しいけれど、作るならおすまし系とかスープ系とかが多いです。たくさん作っておけばアレンジできるし、逆に味噌汁は時間をおくと美味しくなくなるような気がしていました。

けれど、味噌汁が好きだったらどんなにいいだろうと思うことはあります。整腸に欠かせない発酵食品を「味噌」で摂ることができる。

自分が好きな味の味噌汁を見つけることができたら、食の世界が少し広がるかもしれません。新しい挑戦のはじまりです。






1.新しい味噌汁を作ろう


 ・ブロッコリーは瑞々しく


少しずつブロッコリーが手に入りやすい値段になってきたのが嬉しくて。ブロッコリーを味噌汁にしたいと言うと、妹と母から反対に合いました。ブロッコリーはバター炒めが1番美味しいと思っている人たちです。

自分の味噌汁にだけ入れようと思います。

自分用に食材を取り分けた様子。


ブロッコリーは茎を長めに斜めに切るのが好きです。乱切りのようなイメージで。先にレンジで火を通しておきます。

玉ねぎ、椎茸、ワカメはやわらかく煮たい気分。ブロッコリーは変色してほしくないし、クタクタにやわらかいのが好きではないので仕上げに加えようと思います。

などと、いろいろ考えましたが、少しめんどくさくなって、やっぱり家族分の味噌汁も一緒に作ってしまおう!と全部のブロッコリーを鍋に投入しました。


完全に自分の好みを優先した味噌汁は美味しかった!ブロッコリーの絶妙な火通りと味の染み具合は大成功です。

そして、反対していた家族にも意外と好評でした。




 ・バター炒めで具だくさんに


常備菜のような残りもののような炒めものがありました。えのき、ベーコン、玉ねぎ、ほうれん草のバター炒め。これを味噌汁にしてみようと思いました。


もう少しボリュームを増やそうと思って木綿豆腐と長芋を加えました。火を通した長芋の何とも言えない食感が加わると満足度が上がる気がします。仕上げに香りのネギを散らして。

なんと味噌汁だけで具材が7種類です。こんなに具だくさんに作ったのは久しぶりでした。


自分の中に新しいものが加わるというのは、それだけで嬉しい。ひとつの自由が、そこに見つかった気がしました。



2.ねぎチャーシューと味噌汁


長ネギがお安く手に入ったので、長ネギづくしで一汁一菜にしようと思いました。

・ねぎチャーシュー
長ネギ、茗荷を斜め薄切りに切る。しんなり甘くなるまで炒める。チャーシューを細切りにして加えて、なじむように炒める。器に盛って、蒲焼のタレをかけ、青ネギを散らす。

・味噌汁
炒めた長ネギと茗荷、玉ねぎ、人参、絹豆腐。味噌汁を注ごうとしたとき、妹がそっとゴマ油を持ってきました。お椀にゴマ油を少々入れて、味噌汁を注ぐことにしました。



ねぎチャーシュー丼にして一汁一“飯”にしても良かったかも、と撮った後で思いました。

長ネギと豆腐は味噌汁界では安定の組み合わせ。

ふわりとゴマ油の香りがするだけで、新鮮な気持ちです。ふだん味噌汁はあまり好きでもない妹が、珍しくおかわりしていました。



3.土井先生の『一汁一菜でよいと至るまで』


味噌汁を作ってみようというきっかけになった本があります。

あまりにも有名な土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』。出版された当時は流し読みした程度でした。

最近になって思い出して、少し新しい本が出たようだったので読んでみました。

2022年5月発行。


いい本でした。

ずっと考えていたことの答えが、この本に書いてありました。学校で栄養学を学んだけれど、普段の自分の食事とあまりにもかけ離れている。一汁三菜が現実的にとても難しかった。科学的に栄養を学びたかったはずなのに、果たして科学的なんだろうかと疑問に思っていたのです。

スポーツクラブや介護施設で栄養の話をしても遠い感じがしていて、理想と現実は違うと実感する日々。けれど、そもそもの理想や理論が正しかったんだろうか?と、この本を読んで気づきました。

栄養学を進めれば和食文化が失われるのは当然のことなんです。
〜中略〜
食文化は不要なのでしょうか。おいしくて、栄養さえ取れればいいという考えもありますが、食文化とは自然と家族の命を守るものです。それなら、自然とつながる日本型の栄養学があるべきなのです。

『一汁一菜でよいと至るまで』


また、土井先生は「味噌汁には何を入れてもいい」と言いますが、なかなかそうはいきません。ブロッコリーを味噌汁にしたいと言えば家族に反対されましたし。

けれどそれは、逆に言えば、ひとりではないということなんだと。そして、私はやみくもにバリエーションを増やしたいわけでもないのです。

品数を減らして味噌汁に注力する余力があれば、おいしい味噌汁を作って食べられる。季節のものを選んで、絶妙なタイミングで火入れをする。そういう豊かさもあるのではないか。

そうして、好きでも嫌いでもなかった味噌汁が好きな食べものなることは、世界を広げてくれるし自由につながることだと思っています。

一汁一菜を料理の入り口にして、10種類ほどでもできるようになれば、それで幸せに一生やっていけます。

あなたのつくる料理に、失敗なんてないのです。

『一汁一菜でよいと至るまで』


読んでいて泣きそうになりました。












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