東京装甲少女 EPISODE0 第30話 【 深淵を覗くもの 】
久留和一正ことアカハナは、寄宿舎のベッドで養生した後、秋葉原駅前の大きなオフィスビルの5Fのカンファレンスフロアに来ていた。
何故、完全に体が治らないうちに、この場に来たかと言うと秋水達の話を聞いて、いてもたってもいられなくなったからだ
あの日、、、、
遠雷が轟く暗がりの部屋で、怯えるシェイルを抱き寄せていた所に部屋の扉がガチャッと開き数名がベットの近くまでやってきた。
窓を背にこちらを向き、立っている数名は、
暗がりで顔は良く見えなかったが、ある一人が、
遅れて、ランタンの様な物で中を照らしたので、ぼんやりとした明るい火が部屋に灯った。
面々の顔が映し出されると、さっきまで手を握り、怯えていた少女は、脱兎のごとくある一人の人物の方まで駆け寄り抱き付いた。
シェイル
【 パパ、、、、。 】
久留和は、突然振り払われ一人ぼっちになった手のやり場に困ったが、シェイルを迎え入れる優し気な父親の表情を見て同時に安堵した。
父親は置き去りにしたシェイルの機嫌を取るのが大変そうな感じだった。
久留和は、そんな人柄の良さそうな秋水と、シェイルのやり取りを昔の自分と一香のやり取りの様に微笑ましく初め見ていたのだが、よくよく、父親の顔を見てみると、以前にどこかで逢ったことがある知り合いの様に感じてきたので、試案を巡らせた。
そして、ハッとしたように思い出し、まだ、声はあまり出せなかったが
久留和一也
【あんた、、、、!! 神田明神の!!!】
とシェイルの父親に声を振り絞り、
話掛けると、、、。
シェイルの対応に追われていた秋水達も、久留和が話し掛けるているのに気づきこちらを
向いた、、、。
父親はシェイルをなだめつつ、、、、。
秋水
【お久しぶりです。
そうですよね?
タボさん所の、、、、、。 】
と、あの時から時間は少し経過していたが、
相変わらず彼には、変わらない優しさと目に
力強さが宿っていた。
秋水の言っているタボさんとは、
自分が、夜逃げ同然で大阪から出てきて食うや食わずで住む所も無く、明日にでも野垂れ死ぬかの状況で、たまたま出会い、縁も所縁もない素性も知れない自分に、新しい人生を与え面倒見てくれた
命の恩人の田母神鉄治の事だ。
久留和は、秋水との話のやり取りで当時の事を
思い出していた、、、、、。
あれは、テキヤの仕事も大分、板についた頃、
自分が、居を構えていた神田の明神様の催事が
あり、おやっさんがそこの仕事を取り付けてくれた
と言うので久々に家族とも会えるので楽しみにしていたのを憶えている。
そういえば、あの頃、一香は、まだ小学生の高学年位だったか?
思春期ではあったが、まだ渡り鳥のような生活の自分が家に久々帰ると喜んでくれていたものだ。
神田は、地元ではあったが、風来坊の職業柄と元々、余所者の自分は、古くからの地元の付き合いもなかったので、仕事以外は、家にも、ろくすっぽ帰らずで嫁の麻乃に子育ても地域の事も任せきり
だった。
俗に今で言う、ワンオペというやつだ。
昔の男などは元来、家に寄り付かないで仕事と遊びの境目も無く家庭は、嫁が取り仕切るというのは比較的普通だったが、今の時世では、男の給料の稼ぎ具合や、女性の共働き事情や、男女平等の風潮が
交じりあい、そうもいかず、生活に十分な金だけを送ったとて、単身赴任で家庭に参加しない様な
男など、所詮は、はぐれ者だというように年月が経てばたつほど、麻乃も一香も、久留和に対する疎外感を強めていった。
おやっさんには、拾ってくれたのを感謝を
しつつも、家庭持ちで、この旅一座の様なテキヤ
家業の参加は、2人の事を考えると年々、
とても厳しい心情ではあったが、酒だけが、
久留和の心を唯一、癒してくれる存在になっていた。
麻乃と出会い、結婚をした当初は、自分の職業に理解を示し、応援をしてくれていたのだが、いつしか居を構え、子供を産み、彼女も母になり育児する中で、傍にもおらず困った時に頼りにならない男の事など、当てにもしなくなった。
一香も物心が付く頃になると、家にも帰らない父親など、他の家庭の父親とは違うと解った様子で次第に冷え切った対応に変わっていった。
また、2人の想いは、どうせ現実に頼りにならない同じ男であるのならメディアに出ている顔の良い男の方が良いと言わんばかりに、そういった男が出演するのを見たりイベントに参加するのに現在では夢中になっている様子だった。
近年、家に帰る事があると、部屋にはその類の様々なグッズが溢れていたり、自分が帰ると伝えても、その日は2人でイベントに行くので遅くなるから
ご飯を済ませて先に寝ていてくれと言うような始末だった。
彼女たちは、彼女たちなりの自分への復讐であるのかかわからないが、更に久留和が酒に憩いを求める状況は続いていった。
だが、この当時は、まだ二人とも、自分の旦那と父親を誇らしい人間だと思っていてくれていたので、神田の明神様の催事があるので家に帰ると伝えると飯を作り喜んで待ってくれていた。
久留和は、催事の数日前から設営の準備の為に、
神田に戻って来た。
神田明神に資材を搬入すると久々の自宅へと
急いだ。
手には、麻乃も一香も甘いものが好物なので袋に、昨日までいた栃木の銘菓、きぬにしきや、その他の美味しそうな物を詰めて持って帰ってきた。
早上がりだったので、ちょうど、玄関の前が見えた所で、小学校から下校してきた一香を麻乃が家に迎え入れていたので、そこに間に合おうと
久留和は小走りになった。
久留和
【 おーーい!! おーーい!! 】
と年甲斐もなく大きな声を出し、久留和は、
2人に駆け寄り、ギュッっと抱きしめた。
麻乃も一香も、それを嬉しく迎え入れて、
パパおかえりなさいと言い久留和を労った。
数日の設営の中、家族団欒を楽しんだ久留和であったが、催事が始まると、そこは、鉄火場と化した。
多くの客で、ごった返す神田明神の中、今回は、
おやっさんの顔のお陰で
「庭場」と呼ばれる縄張りを管理している地元の組が、他の所に、りんご飴などにしてくれと言ってくれたので、自分たちは人の一番呼べるやきそばや、たこやき、お好み焼きなどの出し物を出すことが出来た。
その分とてつもない忙しさでもあったのだが、
麻乃も一香も来ている様子だったので久留和も張り切っていた。
今日は神田明神の地鎮の演武が行われるという事らしく、未だ行われていなかったが、沢山の人々が待ちわびている様子だった。
その最中、人がごった返す少し広場になっている様な所で小競り合いの様な物が起こった。
初めは一般客同士客の争いのように感じたが、
どうやら何か趣が違うようで
集団同士の争いに徐々に発展していった。
次第に周囲からは悲鳴にも似た声が響いたり、
怒声を吐く状況になった。
小競り合いを行っている面々は、よく見れば、自分たちとは違う屋台を出していたテキヤの面々だった。
初めは、一般客の客に絡んでいた連中を止めに入ったらしいが、逆に因縁を付けられたらしくお互い
睨み合いが続いていた。
客の騒ぎに「庭場」管理している地元の組の若頭
らしき人物も睨み合いの間に入って止めに入って
きた。
若頭
【おい、お前ら!!ここが、俺らの庭場だと知って
暴れてんのか? こら!!】
というと、庭場を借りて商いをしている
テキヤの方は、恐縮した様子ではあったが、
もう一方の全身黒づくめの集団の長髪で口の周りに不気味な火傷がある頭らしき人物は、無表情のまま若頭に片言の言葉でこう言い放った。
相手の頭らしき人物
【 シラナイ!! オマエハダレダ!!?】
と言うと組の若頭が、ふざけた返答に、怒り心頭の様子で、相手の頭らしき人物の胸ぐらを掴み、
口上を述べようとしたその時
若頭
【なんだと!!テメー!!
おれは簑島一家の若頭、、、、、、】
長髪の頭らしき人物
【 ダカラ!! シラナイ!!
オマエハダレ!!? 】
と言いながら、胸ぐらを掴まれた直ぐ後、
自分の履いているダボッとしたオーバーサイズの
黒いズボンの右ポケットに手を突っ込み、
リレーのバトン位の銀色の短いパイプの様な物を
ぬらりと取り出した。
そして、それを、頭上に掲げ、
若頭目掛けて素早く、振り下ろしたのであった。
辺りにドスンという鈍い音が響くと
若頭は、衝撃で反転して、周りを囲んでいるような形になったギャラリーの方に倒れ突っ込んだ。
そして倒れた先には、たまたま、
父の活躍を見に来ていた麻乃と一香がいた。
麻乃と一香に突っ込んできた若頭は、
2人を巻き込み3人一緒に後方へと倒れこんだ。
突然、大きな男に突っ込まれた2人は、
悲鳴を上げつつも初め、何があったのか解らなかったが、転んだ麻乃と一香に覆いかぶさるように
頭から大量の血を流した若頭が
ゴロンと白目をむきこちらを向き倒れこんできた。
麻乃と一香から同時に劈く様な悲鳴が上がった。
麻乃、一香
【 キャー!!! 】
と辺りに響いた悲鳴に呼応するように、
若頭をやられた簑島一家の子分たちが一斉に
あっという間に、数十人大挙して押し寄せた。
広場の辺りは騒然となり。
逃げだす者や、悲鳴が飛び交ったが、
麻乃と一香は重く圧し掛かった気絶した血まみれの若頭の重さを振り払えず、その場で藻掻いていた。
若頭を地面に転がした長髪の男の周りの数名の仲間も、彼が出した、リレーのバトン位の銀色の短い鉄パイプの様な物を全員が取り出した。
若頭をやられた子分たちの方が圧倒的な人数であり、長髪の仲間たちは3、4人しかいなかったので、数十人いる子分たちは楽勝だと思い、木刀やその他の凶器を持ち、そのまま突っ込んだ。
集団は、凶器を持ち、我先にと黒づくめで長髪の男を目掛けて向かった。
長髪の男は、若頭を道具で叩いて床に転がした後は、特に動きもせず髪をダラリと下を向いたまま靡かせ無表情のままその場に立ちすくんでいた。
怒声と足音が少し自分に近づいた所で、後ろに短い鉄パイプを持ち不敵に並んでいた仲間に聞こえるように聞き慣れない異国の言葉で腹に力をこめ叫んだ。
長髪の男
【 杀 】
そう言うと、長髪の男の裏手にいた数人が、物凄い勢いで全員、簑島一家の子分たちに飛びかかった。
黒づくめの集団は、まるで素早く舞踏を舞う様に、ヒラリと相手の攻撃をかわし短い鉄パイプをヒットさせていた。
嗚咽や怒声が響く混戦の中、集団で特にその強さと異様さが目立ったのは、我先に突っ込んでいったモヒカンの様な頭に、白いメッシュのエクステンションを付けた、長身の男だった。
男は、手足の長さを武器に、ブンブンと短い鉄パイプを躊躇なく振るいニタニタと奇声を発しながら
顔面を故意的にパカーンと狙い、周りを一人で鮮血の海に染めていた。
黒づくめの集団は、自分たちの人数の倍以上の人数をモノの数分でのして、その場を掌握した。
周りにはパイプで顔面を叩かれ鼻を折られ血が流れた者や、気絶して倒れた者、蹲る者や、
その場から逃げだす者など様々居たが、
モヒカンの男は聞きなれないイントネーションで
奇声を発しつつ
モヒカンの男
【 本垒打!! 本垒打!! 】
と気がふれたように叫びながら、顔面から血が出て戦意喪失し倒れこみ許しを請う相手を鉄パイプで更に顔面を殴るなどして容赦なく追い叩いていた。
周囲は、更に凄惨な状況になった。
全くこいつは、本当に弱い者いじめで趣味が悪いなと言うあきれ顔で、他の黒づくめの仲間の、一見、好青年のように見える眼鏡の人物が、見かねた様子で、モヒカンの男を呼び止めた。
眼鏡の男
【 張!!!停住! 】
と大きな声で子分を殴り続けていたモヒカンの男はその声に応じてピタリと殴る手を止めた。
それを聞いた遠巻きにいた少しヤンチャそうな
ギャラリーの数人がざわざわと騒ぎ出した。
遠巻きのギャラリーたち
男
【おい!おい!おい!まじか!
今あいつ張って言ったよな?
黒づくめで、モヒカンでここらへんで張って
言えば、じゃあ、あれが黒竜幇のナンバー2の
血竜の張か!!!
男
【じゃあ、あの眼鏡が白竜のフェイで、
あっちのロン毛が頭の黒竜の喬って
ことなのか!! 】
黒竜幇とは、最近大頭してきた半ぐれのようなギャングの連中だ。
ロシアとの国境近くにある黒竜江省の出身の喬は中國で身寄りが亡くなり数年前、日本にいる親戚に引き取られた。
日本の華僑の学校に編入するが、毎日喧嘩に明け暮れ、いつしか退学処分になったが、類は友を呼ぶの言葉通り、負け知らずの喬の元にはいつしか多くの悪童が集まった。
そして、予期せず名もなき集団が、いつの間にか出来上がったが、喬が、黒竜江省の出身という事で、自然に親が、黒竜江省にルーツを持つ2世も多く
集まった。
同業者や同郷者という意味の幇と黒竜江省の黒竜が合わさり黒竜幇とチーム名が勝手に付いたが、所詮は、腕っぷし自慢の烏合の衆で、悪さをするだけで、組織とは呼べるものではなかった。
そこで、こいつらを統率できるのは、
黒竜江省出身のあいつらしか
いないと思い喬は仲間を呼ぶことにした。
喬は、電話番号を憶えていた幼馴染の梁飛鴻に久々に連絡した。
リャン・フェイフォン事、通称フェイは、
頭が良く親からも教師からも将来を有望され周囲から一見置かれる優等生だったが、実際は、
頭の回る悪童だった。
黒竜江省でも小さい頃から腕っぷしの強かった喬の元には、多くの悪童が集まったが、今回と同じ只の悪さをするだけの初めは集団だったのだが、皆が、遊べる金が欲しいというので頭の良いフェイの手引きで、ロシアと中國の国境の島、大黒河島で商売を始める事にした。
右も左も商売のしの字も知らない集まった悪童達で、ロシア人と中国人が行き交う大黒河島でという島でフェイの言う通り、親から盗んだ金を出し合い安い中国産のウォッカを水増ししてビンに詰め替え売った。
アルコール依存症患者の多い国と知られるロシアでは2010年にロシア政府が「反アルコール政策」を実施した。
この反アルコール政策では、23時以降のアルコールの販売が禁じられただけでなく、ウォッカの最低価格は2倍に引き上げられ、アルコールに関する広告も禁じられた。
それを知っていたフェイは、勿論、色々な面で、目を付けられても面倒なのを解っていたので片言のロシア語で出店を構えるなどのおおっぴらにやる事はせず、悪童が1人1人が売り子となり、顔を憶えられない程度で交代し声を掛けるスタイルで水増しを
したウォッカの商売をした。
フェイは、頭の馬鹿になっているアルコール依存症の大人等、少し酒を水で薄めた所で気づきはしないと思ったし、何より相場よりもかなり安い酒は
口コミで広がり飛ぶように売れ始めた。
商売は軌道に乗るかと思われた、ある日、
フェイが売り子となり大黒河島で客引きをしていると、あるロシア人の男に声を掛けられた。
男は何を売っているのか尋ねてきたので、
酒を売っていると答えると、
では売ってくれと言うので、ここには無いが、
倉庫にはあると言うので付いて来るというので、
国境の島、大黒河島から少し離れた倉庫に案内をすることになった。
倉庫は、島の近くの川岸の倉庫街にあったが、
あくまでもオフレコではあったので人があまり出入りしなそうな路地裏の場所にあった。
男は、終始笑顔でお金も持っていて育ちが良さそうであり、身なりも整い、紳士的な青年という感じで、とても安酒を求めるアル中には見えなかったので少し違和感を感じたが客なのでフェイは案内を
した。
倉庫への道中、男は片言の中国語でニコニコと笑いながら話しかけてきた。
年はいくつ?名前はなんというかなど、ここらへんの生まれかなどの内容ではあったが、変な対応をしてへそを曲げられてもと思ったので、偽名や内容を適当に口裏を合わせ話した。
男は、更に饒舌に様々な質問をしてきたり話しかけてきたので、流石に何か気持ちが悪いなと思い、
フェイは次第に余計な口数を少なくしていった。
男は、フェイの機嫌を損ねたかと思い、
大丈夫か?俺の事を嫌いになったのか?
などの不気味な質問をしてきた。
道案内のみに徹するので少し静かにしてくれないかとフェイは男に伝えると男はとても傷付いた様子だったが口を閉じトボトボと付いてきた。
フェイはこのまま、この気味の悪い男を仲間の所に連れて行くのも、どうかと思ったので、倉庫へは連れて行かず撒く事にした。
フェイは男に準備があるので少しここで待っていてくれと伝えたが、男はフェイの言葉に上の空でブツブツと何か言っている様子だった。
フェイは、こいつはやっぱりまずい奴だった!!
と思い、一目散に男とは反対方向に逃げようと
ダッシュしようとしたとき。
ドサッと男がフェイに飛びかかってきた。
男
【なんだよ、、、、おい、、、さっきまで
俺のこと好きって言ってたじゃないか?
俺たち愛し合ってたじゃないのか?
どうしたんだよ?
えっ!!俺の事嫌いになったって言うの
かよ、、、、えっ!!】
とフェイを地面に仰向けの状態にして、
逃げれない様に手と足で四肢を抑え込む様にして
四つん這いの馬乗りで明らかに発狂した様子で
目を血走り話しかけてきた。
フェイはやめろやめろ!!と抵抗をしていたが、
体の小さなフェイが大人の男の力に勝てるわけもなかった。
男は、お前が悪いんだ!!
お前が悪いんだと言いながら!!
抵抗するフェイを抑えつつ自分の股間のジッパーを下ろし徐にそそり立つ男根を出した。
フェイは、先日、喬と張との会話を、
激しく抵抗しながら、思い出していた。
張
【おい!聞いたか?ロシア野郎の変態が
出たって話!!】
喬
【いや! まあ、、、、、関係ないだろ、、
俺らに、、、。】
張
【それがそうでもないらしくてな、
子供の男ばかり狙うらしいぜ!!
犯した後に殺すらしい!!気味ワリー!!】
喬
【、、、、、、、、、、、。】
フェイ
【まあ、ここらは国境の町だからね!!
昔から色々な人間が出入りしているし、
人身売買や武器の密輸や薬物の話も、
ちらほらある。
犯罪者も多く出入りしているから、
気を付けないとね。
でも、今は軌道に乗りそうだから、まずは、
商売の事が1番だよ。 】
張
【全くお前は、金の事ばっかりだな!
この中じゃお前がチビで一番
襲われやすそうな感じなんだから気をつけろ
よな!!カマほられても知らねーぞ!!】
フェイ
【そうだね!ありがとう。
僕は腕っぷしの方はあんまりだからね。
2人が助けに来てくれるのを期待しているよ 】
張は、高笑いして俺様に任せろと自慢げに言い!
喬は、はにかんだ笑顔で口数少なく、ああ!
と頷いていた先日の光景が目に浮かんだ
フェイは小さいながら激しく誰かに救いを求めるように叫び抵抗した。
だが、それを遮るように男は、その場で泣きわめくフェイの口元を抑え服を破り、男は行為に
及ぼうとした。
ああ!!もう神様!!とフェイが思ったその時!
男の背後からゴツン!!と鈍い音がした。
男が、馬乗りになり物凄い力で、
フェイをおさえていた力が フッ!!と抜け、
男の頭から、液体がポタポタとフェイの顔面に
垂れた後、男はドサッと力なくフェイに倒れこんで来た。
フェイは、自分に圧し掛かって来た、無気力な大人の体重を押しのけようと男を横に押し、その場を
逃れた。
そして、自分の顔面に付いた数滴の液体を右手の手のひらで擦りその右手を見てみると、手は真っ赤な血に染まっていた。
フェイは辺りを見渡すと、そこには、鉄パイプを持った、喬と張がこちらをニタニタしながら立っていた。
何が起こったか解らないフェイは2人をボーッと見つめていると、張が
張
【 本垒打 !! 】
とニカッ!!と自慢げに笑いながら自分に親指を
突き付けるポーズをした。
3人は数秒、制止していたが、珍しく喬が腹を
抱えて笑い出したので、皆つられて腹を抱えて
笑った。
その後、張がホームランを打ったロシア人を殺して埋めようと言ったが、そこまで、する必要はないと言ったが、腹の虫が納まるわけでもなかったので、とりあえず意識が戻った時に考えようと思い、
全裸にして縛った。
男は、意識が戻ると数十人の少年達に、裸で囲まれ、初めは、恐怖を感じ、自分は、ロシアの要人の息子だから殺さないでくれと遜っていたが、次第に、自分に危害を加えればお前らは皆殺しだ。
などと高圧的な態度を取り出し、終いには数十人の少年達に、裸で囲まれ、性的興奮を覚えたのか、
露わにした男根を膨らませ、どうせお前ら金がないのだろ?全員飼ってやるなどと片言で言い出した。
気色の悪い男に襲われたフェイを哀れみ、どうしようか迷っていた皆の前で
スッ!とフェイが男の前へ立った。
男は、フェイにニヤニヤしながら自分の膨らませた男根をみせつつ
男
【 В чем дело, мальчик? Мне
продолжать? 】
と言った。
フェイは一瞬、顔が強張ったが、ニヤリとして、
こう言い返した。
フェイ
【 Я слышал, что в вашей стране популярен футбол? 】
男は何の事だ?という
不思議な顔をした、その直後、
フェイは、股間丸出しの男のゴールデンボール
目掛けて、強烈なサッカーシュートを
お見舞いした。
男は突然の強烈な痛みに耐えきれず、うつ伏せに
倒れこんだ。
皆、一瞬、何が起こったのか解らなかったが、
喬がまた腹を抱え笑い出したので、周りのみんなも、腹を抱えて笑い出した。
腹がよじれるほど、男の姿を見て爆笑し、
涙目になる者もいたが、いつしか、笑いの渦の中、男が、痛みを堪えて話し出した。
男は、お前ら絶対許さん!!
俺にこんな事をしてタダで済むのかと凄んだ
ところ、喬と張が目配せをして、男を
立ち上がらせ、更にフェイの前へ立たせた。
喬と張はニタニタしながら男を両サイドで
押さえつけ対峙するフェイに首と口を尖らせ、
またやれ!!ニヤニヤと指示した。
フェイも了解と言わんばかりに、
ニヤリと2人に笑顔をして、
2発目のゴールデンシュートの仕草を取った。
男は、笑う少年たちに懇願するように、
ロシア語で何か言っている様子だったが、
フェイは知らないよ!!と言い
2発目をお見舞いした。
会場は、またやった!!
と大笑いとなったが、今度は、張が、
他の仲間を呼び、自分がやるから、替われと
他の仲間に男を、両サイドで押さえつけ立たせ
張
【 本垒打!! 】
と言いながら3発目を炸裂させた。
結局、その後、喬が4発目をやりだすと、
次は誰が行く?
という空気になり、仲間全員でゴールデンショットを3回転づつお見舞いする形になり、
男は、合計50発位、シュートをお見舞いされ、
泡を吹き股間は再起不能の状態になった所で
皆で、笑いながら黒竜江省をなめるんじゃない!!と捨て台詞を吐き、そこらに置いてきた。
仲間全員の更なる奇妙な結束が出来たが、
その後、男は要人の息子ではなかったが、
腹いせに当局にタレコミ、取り締まりが厳しくなりだしたので、水増しウオッカの商売は、
やむなく止めた。
電話ではお前もカマを掘られなくて良かったなという昔話を、フェイと笑いながらした。
喬は、本題に戻り、現在の状況を話して、
統率出来る奴が、居なくて困っていると言うと、
張や、当時の他の仲間も、ここらで、ウダウダしているのもいるので、声をかけてみるというので、
待っていろと返答があった。
フェイ自身も、今でもグレードアップして色々な
商売をしているが、訳あって売り先に困っているというので、日本に興味があるというので来てくれと誘った。
その後、フェイから、再度連絡があり皆で、
日本に行くので、昔のように楽しく一暴れしようと言うので、数日後、
黒竜江省からゾロゾロと仲間がやって来た。
日本にやって来たフェイと張とその他の仲間たちは領土拡大の為、喬の黒竜幇の先頭に立ちヤクザにも臆さない武闘派集団に次第になり、
最近ではフェイのしのぎのやり方で、同郷の中國出身の店主が経営する店の用心棒という名目で、
みかじめ料も取っている。
黒竜幇は、江戸川区や江東区を中心に名を馳せていった、黒竜幇の頭、黒龍の喬俊尚と白竜の梁飛鴻、
そして、赤竜の張紗豪そんな彼らは領土拡大の為、最近では台東区や墨田区近辺にも出没しだした。
そこで、台東区近辺を縄張りとする簑島一家が、
多くの人の前で、のされる事実があったとあれば、情勢も変わるであろうという、フェイの目論見で、今回の神田明神の騒ぎの発端となったのである。
久留和は、多くの客が広場の方から逃げている様子を屋台から気にかけていた。
何故なら、麻乃と一香が先程、自分の屋台を
食べに来たが、混んでて忙しそうなので、
広場の方にいるねと言っていたからだ。
何だか、嫌な予感がした久留和は、忙しそうな、
おやっさんに悪いと思いながらも声をかけた。
久留和
【おやっさん!!すいません!!ちょっとの間
見といてもらえますか?
すいません!すいません!!】
と言いながら、一目散に広場に走り出した。
田母神は、何言ってんだこの忙しいのに
馬鹿野郎!!と言おうとしたが
久留和は既にいなかったので、他の若い衆に、
お前が回せと言った。
広場への急ぐ道は、逃げ惑う客で、まるで濁流の様に久留和の進む反対方向に押し寄せ、久留和の道を阻んだ。
だが、そうはしてられないと、生け垣などをバキバキと倒しながらも、何とか広場へと付いたのだが、広場中央に行くには物見遊山で集まった人垣を越えなければならなかった。
声を掛け何とか広場の中央が顔を突っ込むと見れる位置まで行くと、久留和は驚いた。
おやっさんと、お客が来るまで、仲良さそうに話していた庭場を管理する簑島一家の若頭のあきらさんが、血を頭から吹いて倒れていたからだ。
そして、それも、良く見れば、自分の嫁と娘に覆いかぶさっていた。
いきなりの事で、状況は整理できなかったが、
あきらさんの組と、あそこの黒づくめの集団との
揉め事にうちのが巻き込まれたと理解できた。
簑島一家の連中は完全に全員のされて
転がっていた。
下手したら、黒づくめの集団が、これから何もなく帰ってくれればいいがと思ったが、気がかりだったのは、娘が、争いが終わり静かに周りが静観している状況でも、若頭が血まみれで覆いかぶさっているのを、退かせず、恐怖で慄き、
ギャーギャーと叫び声が喧しく響いていた事だ。
これは、相手に因縁でもつけられたら、まずい状況になると思い、嫁と娘に早く近づき対処しようとしたが、静観している人だかりは、娘への進路を阻んだ。
そうこうしているうちに、広場を見ると、あからさまにヤバそうな出で立ちのモヒカンの男が、
初めは後方の仲間に呼び止められ、制止していたが、騒ぎ立てている娘の方を見つめだした。
久留和はヤバいと思い、更に娘の方に行こうとするが、どうにもこうにも人垣で進めない状況だった。
モヒカンの男はギラリとした目線で、
右手に短いパイプを持ち、ゆっくりと
あきらが倒れこみ、抜けられない娘と母の方に歩を進め出した。
久留和は激しく、一香!!一香!!と叫んだが、
状況は変わらない。
モヒカンの男、張は、あきらから抜け出せない2人の前へ立った。
麻乃は恐ろしすぎて逆に悲鳴も上げれなかったが、一香は、張が近づき更に恐怖に慄き叫んだ。
張は五月蠅いなと言わんばかりに、舌打ちをした
後、2人に倒れこんだあきらを蹴り飛ばした。
あきらの重さから解放され自由になったはずの
2人だったが、恐ろしさのあまり身動きが取れないでいた。
久留和がいる近くのギャラリーからは、こんな声が聞こえてきた。
【 やべー!!張は、女にも容赦ないみたいだからな~ 】
【 まじか!!じゃあこれから処刑、始まっちゃうの? こえ~ 】
【 うそ~ ウケる~!!かわいそ~キャハ!!】
【 おい!!動画!!動画 動画回そうぜ!!】
と周りにいた人間たちはまるで、一種のイベントが始まるかの様に、ざわつき、更には張にやれ~!!と囃し立てる者までいた。
一香は、耳に入ってくる恐怖の言葉の内容に更に平常心を無くし喚いた。
張はそれを見て更に、一香に近づき、口をふさごうとするような仕草を見せながら近づいた。
久留和は周りの話を聞き、娘が無残な姿にこのままではされてしまうと思い、精一杯の大きな力でやめろ!!やめてくれ!!誰か助けてくれ!!と
と叫んだ。
すると、張の手が、一香に延びようとしたその時、その近くの群衆を凄まじい速さで飛び越えた白い影が、張と一香の前に立った。
白い影が張の前に立ったと思った数秒後、
何故か、張は一香の方向に倒れこんだのだった、、、、。
東京装甲少女 EPISODE0 第31話へ続く、、、、、。
こちらで小説を展開している
東京装甲少女EPISODE-0という作品ですが
物語の初まりのOpening Part から
現在のストーリーまで今の所
【無料公開中】です。
是非、東京装甲少女
という世界観の伝わる
始まりから
お読み頂ければ幸いです。
今後は有料化も予定しておりますので
期間限定の今のうちに
お読みい頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
ここから、初めのストーリーを読む
※お知らせ👼
現在こちらで小説を展開している
東京装甲少女という作品ですが、
こちらにはお話の基になるデジタルアートNFT
作品があります。
そしてその作品が
2024年4月に行われましたNYCで大規模開催された
https://www.nft.nyc/という展覧会で
展示されました🎊
皆様のご協力を頂きこの度展示して頂く事が叶いましたので
また来年も展示されるのを目指してまいりますのでご協力
よろしくお願いいたします。
ありがとうございました🙇