マガジンのカバー画像

毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

1,107
連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
運営しているクリエイター

2024年11月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第1109話

「現実は極めて厳しい状況ですよ。今、幸福にはなれませんよ」  僕は反論した。 「そうかも…

吉村うにうに
15時間前
4

水深800メートルのシューベルト|第1108話

「待つことだけだよ、私達にできるのは」  僕は、セペタ達と議論した助かるかどうかの推測を…

7

水深800メートルのシューベルト|第1107話

      (53)  行くように言われてもいないが、様子を見に行った倉庫からは仄暗い光…

5

水深800メートルのシューベルト|第1106話

 続いてロバートが立ち上がった。無言だったので、どうやら会話禁止の命令は渋々受け入れるつ…

6

水深800メートルのシューベルト|第1105話

「俺は諦めないぜ。個人脱出でも何でもやってやるからな」  その声に誰も応えなかった。これ…

4

水深800メートルのシューベルト|第1104話

「それだけ状況がまずいって事だよ。しばらく艦長の指示に従った方がいい。酸素発生装置はバッ…

4

水深800メートルのシューベルト|第1103話

「アシェル、お前のお袋さんは?」 「湖に飛び込んだよ」  何も考えずに反射的に返答をした。人間、投げ遣りになると、言いにくい話も平気でできてしまうものだ。一秒でその事に気づいたが、訂正するのも面倒臭いのでやめた。彼は意外な答えに困惑したのか、曖昧な笑顔で 「もっと考えたジョークを言ってくれよ。それともそういう競技の選手か?」  と訊いてきたので、僕は黙って首を振ると、「マジかよ……」と呟いて、黙り込んでしまった。 「お前は能天気でいいな」  ボブがため息をついて言った。

水深800メートルのシューベルト|第1102話

それほど酸素残量に不安があるのだろうか? それとも騒ぎがあったというが、反乱に近いもので…

4

水深800メートルのシューベルト|第1101話

これは命令だ。ノーマン中尉はただそれを伝えに来ただけだと。しかし、会話禁止と言うストレス…

8

水深800メートルのシューベルト|第1100話

「い、いや喋るなって、無理ですよ。勤務にならない」 「勤務中は上官の許可があればよい」  …

5

水深800メートルのシューベルト|第1099話

「艦が着底して救援を待つことになった。現状では酸素はたっぷりあるが、長期の待機に備えねば…

4

水深800メートルのシューベルト|第1098話

「おや、珍しい方が来ましたね。ところで、原子炉はどうなりました、中尉殿?」  ロバートは…

7

水深800メートルのシューベルト|第1097話

「せめて、海上に味方が来るまで待とうよ」  僕は宥めるように言った。彼はこっちを見つめて…

4

水深800メートルのシューベルト|第1096話

「なんて無謀な奴だ。どのみちあれが使えるのは水深二百メートルまでだ。たしかトラブルが起きたのは四五百メートル地点だったから、もっと深いところに着底したかもな。脱出筒は多分持たない」  ボブが、呆れたように言った。 「無理だって。ロバートも本当はわかっているんだろう?」  セペタが話を引き取った。 「それに万一、水面に出られたとして、どうする? 南太平洋の暗い波間に永遠に漂流することになるぞ。捜索も困難だろうしな。低体温か、餓えで死ぬだけだ」 「うるせえよ。こんな海底で日も