水深800メートルのシューベルト|第1108話
「待つことだけだよ、私達にできるのは」
僕は、セペタ達と議論した助かるかどうかの推測を、ここでも口にした。大尉は黙ってそれを聞き、時折腕を組んで目を瞑り、ううむと唸って見せた。ロバートの個人脱出の話には首を捻り、酸素残量についての話には、自分にはわからないといった手ぶりをしていた。大尉は、この状況をどう思うかの問いに目を細め、小さな声で言った。
「私達は生きています、今、こういった助けを待つ時間も。この事故に頭を悩ませるのはわかりますが、それを続けるのですか? それは不幸な事ではないかね」