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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2023年10月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第715話

「そんなのいいんだよ。どうせ教官もこの時間帯は見ていないんだから。サボっちまえ。見回りが…

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水深800メートルのシューベルト|第714話

「マジかよ、ツキがねえな。次行くぞ。早く投げろよ」  ダカーリは急かして言った。 「おい…

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水深800メートルのシューベルト|第713話

 夕食と入浴を済ませると、僕は自分たちのベッドが並ぶだだっ広い部屋で、短いパンツと黒シャ…

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水深800メートルのシューベルト|第712話

「偉くなったもんだな、今の訓練生は。昔なら殴ってクビにしているところだが」 「すみません…

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水深800メートルのシューベルト|第711話

「そんなことは君の感知するところではない」 「ですが、除隊という一大処分を決めるにあたっ…

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水深800メートルのシューベルト|第710話

それが余計に恐ろしかった。自ら除隊を申し出るように仕向けているのではと思ったのだ。 「い…

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水深800メートルのシューベルト|第709話

「では、発言してもよろしいでしょうか?」  (トリーシャの)哀願するような声に、教官は顎をしゃくった。 「私の責任です。アシェル・スコットは巻き込まれただけです。だから、彼の除隊は行き過ぎです」  彼女は、同情を誘うような口ぶりだったが、その眼は抵抗するように鋭かった。 「すみません、すみません。僕が悪いんです」  僕は、彼女が教官を怒らせたのではないかとヒヤヒヤしていた。 「お前の処分はこの後決める。まずは、アシェル・スコットの番だ。お前の訓練中のやる気のなさは他の教官

水深800メートルのシューベルト|第708話

「ここにいる彼女が、困っているように見えたものですから」 「私の許可なく、だな」  教官は…

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水深800メートルのシューベルト|第707話

やはり教官を呼ぶべきだったんだ。謝罪しなければ、その考えはすぐ浮かんだが、彼の鼻息を聞い…

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水深800メートルのシューベルト|第706話

 その時、銃に指が引っ張られて痛みを感じると同時に、銃をひったくられた。 「やめろ! ア…

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水深800メートルのシューベルト|第705話

「じゃあ、マガジン外して、もう一度セットし直すんだ」 (僕はそう言った。)  彼女は黙って…

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水深800メートルのシューベルト|第704話

「弾詰まりだと思うよ。教官を呼んだ方が……」  彼女は即座に首を振った。 「嫌よ。私、あい…

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水深800メートルのシューベルト|第703話

 次の弾を撃とうと背筋と腕を伸ばした時だった。右隣のメッシュになった金属の仕切りが揺れた…

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水深800メートルのシューベルト|第702話

すると、昂って不安だった気分がいくらか落ち着いてきた。きっと一発撃ったらもっと波が静まると思い、銃のスライドを、習った通りに左手の指を揃えて掴んで引いた。ガチャリと音がした。  左右の人影が腕を前に突き出して構えているのを見て、僕も的に向かって照準を合わせた。遠くで小さく「撃て」という教官の声が聞こえ、周囲から煙が立ち上るのを見て、僕も慌てて引き金を引いた。反動で手が跳ね上がりそうになったが、手が硬直していたので、実際銃口はほとんど動いていなかったと思う。標的を見ると、黒い