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教科書に出てこないニュース英語

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世界の英語ニュースサイトから教科書には出てこない語彙を拾い上げ、その意味の広がりと記事内容の解説を試みます。意外な意味や日本ではあまり紹介されない世界情勢を紹介します。
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2024年8月の記事一覧

rally=(政治)集会を開く | 教科書に出てこないニュース英語 《ベネズエラ》

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)のウェブサイトで、2024年8月28日に配信された記事の見出しで使われていました。 ◾️'rally'を辞書で引くと カタカナの「ラリー」といえば、パリ・ダカールラリーといった自動車レースか、テニスの打ち合いが続くラリーです。 しかし、このニュースは南米ベネズエラで行われた選挙についてのものであるので、どちらとも違うことが明らかです。 辞書を引くと、レースも打ち合いも、意味はありますが、出てくるのは後ろの方で

asylum seeker=亡命希望者 | 教科書に出てこないニュース英語 《イギリスの新聞から》

イギリスのオンライン新聞INDEPENDENTで2024年8月5日に配信された記事の見出しで使われていました。 asylum seeker の前に、thugとbesiegeの意味を見ておきましょう。 両方とも高校の教科書では目にしたことがありません。 おっと、besiegeは大学入試レベルに分類されていました。 この語、ChatGPTが作った訳では「襲う」とされていました。 語に忠実に訳すと「押し寄せ、包囲する」ですが、 記事の状況は「襲う」と表現しても良いかと思います

domestic helpers=家政婦 | 教科書に出てこないニュース英語 《韓国の公共放送から》

韓国の公共放送局韓国放送公社KBSの国際版、KBS WORLDで2024年8月5日に配信された記事の見出しで使われていました。 'domestic'は、少なくとも高校の教科書には出てきますが、'domestic helper'という語として取り上げました。 ◾️'domestic'を辞書で引くと 下にあるように、身近な語に使われます。名詞の使い方があるのは知りませんでした。「召使い」「夫婦間のけんか」などという意味もあるのですね。domestic~の、〜の部分をあえて言

debris=瓦礫 | 教科書に出てこないニュース英語 《アメリカの公共放送から》

アメリカの非営利の公共放送サービスPublic Broadcasting Service(PBS)が提供するニュース番組、PBS NEWSの電子版で2024年8月1日に配信された記事の見出しで使われていました。 ◾️'debris'を辞書で引くと goo辞書の記載は、 英語学習的には、U: 数えられない名詞 uncountableであることに注意です。 レベルとしては大学入試レベルでした。教科書で遭遇した記憶がないのですが。 Mac OS搭載のウィズダム英和辞典では、

cross red lines=越えてはならない一線を越える | 教科書に出てこないニュース英語 《UAEのニュースから》

UAE(アラブ主張国連合)のメディア The Nationalの電子版で2024年7月31日に配信された記事の見出しで使われていました。 'red line'を辞書で引くと goo辞書では、英和・和英辞典にはなく、国語辞典に記載されていました。 しかし、 ケンブリッジのウェブ版辞書では とあり、アイスホッケーのことは書かれていません。もはや2番目の一般的な意味の方だけが市民権を得ているようです。 「超えてはならない一線」を超える行為とは? 今回の記事によると

fine=罰金 | 教科書に出てこないニュース英語 《ヨルダンの新聞から》

ヨルダンのオンライン新聞THE JORDAN TIMESで、2024年7月30日に配信された記事の見出しで使われていました。 (スペインでの話でAFP配信) 高校の教科書ならば、テーマによっては十分出てくる用法ですが、話題が興味深いので取り上げました。 ◾️'fine'を辞書で引くと 大きく3つに分かれます。英語学習者にとって最もポピュラーなのは1つめです。しかし、この見出しでは-sがついて、前後に主語と目的語にあたる語があるので動詞です。下の画像では分かりませんが、2

oversubscribed=応募超過状態 | 教科書に出てこないニュース英語 《シンガポールの小学校》

シンガポールを拠点とするウェブニュース Channel News Asia(CNA)で、2024年8月7日に配信された記事の見出しで使われていました。 最近よく耳にするサブスクは、subscriptionの略です。 この語の動詞形がsubscribe、 これにover-がついて受け身の形になったのが 今回の語、oversubscribedです。 ◾️'subscribe'を辞書で引くと 元になったsubscribeを辞書ではどう説明しているでしょうか。 記事本文を見る

rage-baiting=怒りを煽るコンテンツ | 教科書に出てこないニュース英語 《NZのニュースから》

ニュージーランド(NZ)の公共メディア RNZ (Radio New Zealand)で、2024年8月8日に配信された記事の見出しで使われていました。 この記事、SNSについて(意外と)微妙な問題を提起するものでした。 内容については後半にまわすとして、まずはこの見出しに出てくるキーワードを見ていきましょう。 ◾️'bait'を辞書で引くと 'rage'は、「激怒・熱狂」という意味です。見出しの最後で'anger'と言い換えています。では、'bait'とは? 発音

solar water treatment=太陽光を利用した水処理 | 教科書に出てこないニュース英語 《オマーンのニュースから》

アラビア半島にあるオマーン国の情報省が管轄する英語日刊紙Oman Daily Observerの電子版で、2024年8月9日に配信された記事の見出しで使われていました。 オマーン国についてほとんど何も知らないこともあり、また、どのような水処理の話なのかにも興味があり、この記事を選びました。 ◾️'treatment'を辞書で引くと トリートメント、というとシャンプーをした後の髪の毛の手入れのイメージがありますが、辞書ではどう書かれているでしょうか。 今回の意味は、その

interim govt=暫定政府 | 教科書に出てこないニュース英語 《バングラデッシュのニュースから》

バングラデッシュ国営のBangladesh Televisionの電子版で、2024年8月7日に配信された記事の見出しで使われていました。 このサイト、ChatGPTが作ってくれたリスト(下の記事参照)のURLは間違いで危険性のあるサイトとの警告が出ました。 上記は改めて探したものです。 この他にも英語版がないニュースサイトがリストされているなど、 ChatGPTの回答は、澄ました顔をして正確でない点に注意が必要 と学びました。 ◾️'interim'を辞書で引くと

smart farm=スマート農場 | 教科書に出てこないニュース英語 《韓国・サウジアラビア》

中東カタールのニュースサイトThe Peninsulaで、2024年7月23日に配信された記事の見出しで使われていました。 「スマート農場」とは、スマート技術(IoT、AI、センサーなど)を活用した効率的な農業を行う農場のことです。 「スマート」は、スマートフォン(スマホ)のスマートですが、これを置き換えるいい日本語はまだないようです。 中国語でsmartphoneは「智能手机」と言うようなので、無理やり漢字にするなら智能農場でしょうか。 そして、農心Nongshim

rollback=物価引き下げ | 教科書に出てこないニュース英語 《フィリピン》

フィリピンのニュースサイトPTV NEWSで、2024年8月12日に配信された記事の見出しで使われていました。 ◾️'rollback'を辞書で引くと 今回は石油の値段の話なので1の物価引き下げです。 ウィズダム英和辞典だと、 となっています。 コンピュータトラブル関連の文脈だと、3の意味です。 文頭にある'big-time' は、形容詞で「トップクラスの,一流の,すごい,大変な;((米俗))凶悪な」の意味があります。(goo辞書) ここでは「大幅な・大規模な(価

convicted=有罪宣告を受ける | 教科書に出てこないニュース英語 《ミャンマー》

タイの公共放送Thai Public Broadcasting Service (Thai PBS)のニュースサービスThai PBS WORLDで、2024年8月13日に配信された記事の見出しで使われていました。 日本でも報道されている事件なのでご存知の方も多いでしょう。 このタイのニュースでは、「ASEAN関連」というカテゴリーで掲載されていました。 ◾️'convict'を辞書で引くと 意味は多様ではなく、動詞で「有罪宣告をする」、名詞で「有罪宣告を受けた人」です

snap up=先を争って買う | 教科書に出てこないニュース英語 《香港》

香港の公共放送RTHK (Radio Television Hong Kong)のニュースサイトで、2024年8月15日に配信された記事の見出しで使われていました。 ◾️'snap'を辞書で引くと 長くなりましたが、「短く鋭い動き・音・変化を表す」と言えそうです。 語源辞書www.etymonline.comによると、 5つめの項目に出てくる「ぱくっとかみつく」や「ひったくる」の意味が最も古い記録に見られるとのこと。 今回の見出しでの意味は、 後ろに'up'を伴っている