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solar water treatment=太陽光を利用した水処理 | 教科書に出てこないニュース英語 《オマーンのニュースから》

アラビア半島にあるオマーン国の情報省が管轄する英語日刊紙Oman Daily Observerの電子版で、2024年8月9日に配信された記事の見出しで使われていました。

Pioneering solar water treatment project too launch in Oman
オマーンで先駆的なソーラー水処理プロジェクトが開始予定

Oman Daily Observer 下記ページ

オマーン国についてほとんど何も知らないこともあり、また、どのような水処理の話なのかにも興味があり、この記事を選びました。

オマーン国と首都マスカットの位置 
アラビア半島の「つま先」、ペルシャ湾の入り口

◾️'treatment'を辞書で引くと

トリートメント、というとシャンプーをした後の髪の毛の手入れのイメージがありますが、辞書ではどう書かれているでしょうか。

treatment [ tríːtmənt ] 基本単語レベル
[名]
1(人・物などの)扱い,待遇
  preferential [special] treatment 特別待遇
2(病気・けがなどの)手当て治療,処置;C治療法≪of,for≫
  the treatment of [for] acne にきびの治療
2a(薬品などによる)処理,加工
  water treatment 上水処理
3(テーマ・問題などの)扱い(方),対処,取り上げ方≪of≫
慣用句・イディオム
give A the silent treatment A(人など)を黙殺する

今回の意味は、そのままの用例があるように2a「(薬品などによる)処理」です。

「お手入れ」はありませんが、「治療・処置」はありました。「シャンプー後のトリートメント」は、髪の毛のダメージに対する処置ということなのでしょう。

元になる'treat'の説明を見てみると、

━━[動]
1〈人・物を〉扱う
(待)遇する,(…として/…のように)扱う≪as/like≫
1a〈人を〉大切に扱う
厚遇する,もてなす,〈人に〉おごる,(…を)ごちそうする;〔treat oneself〕(…を)楽しむ,奮発する≪to≫;自((米))ごちそうする
2〈患者・病気などを〉手当てする
2a〈物などを〉(薬品などで)処理する
(保護・保存・安全などのために)処置する,加工する≪with≫
3〈事などに〉対処する
〈問題などを〉扱う,論じる;〔treat A as B〕AをBとみなす;自((形式))(問題を)扱う,論ずる≪of≫
3a((形式))(人・組織などと)交渉[折衝]する≪with≫
━━[名]
1 〔通例a ~〕(人に対する)もてなし,歓待;喜び,楽しみ,満足(を与えるもの);ごちそう
1a 〔one's ~〕((略式))おごり
2 〔a ~;副詞・形容詞的に〕((英略式))たいへんよく[うまく],申し分なく

動詞'treat'には、「ただ扱う」のではなく、「もてなす」「ごちそうする」という意味があり、この意味の名詞には'treat'をそのまま使うことがわかります。
ハロウィンの時の子供達のセリフ'Trick or Treat?'のtreatですね。

つまり、treat [動詞]の名詞形は、意味によって二通りに分かれます。
・扱い・対処・処理ー[名詞] treatment
・もてなし・ご馳走ー[名詞] treat

勉強になりました。

◾️水処理の内容と先駆的な方法とは? これが面白い!

このプロジェクトの要となる技術を紹介する動画をみつけました。
まずこれをご覧ください。


上の動画の内容を頭に置いていただくと、
次の記事内容の要約が読みやすいと思います。
なお、ムスカット/マスカットMuscatは、オマーン国の首都の名前です。

ムスカット:オーストリアのソーラー技術スタートアップであるヘリオビスHeliovisが、ドホファールDhofar州の遠隔油田に建設された画期的なソーラー水処理プラントを今月中旬ごろに稼働させることを発表した。

・このプロジェクトは、太陽エネルギーを利用して、塩分濃度が高く石油に汚染されたproduced water(石油随伴水)を淡水に変換する。

(注:produced waterとは、石油やガスを採掘する際に地中から湧き出る自然に存在する水。https://www.americangeosciences.org/critical-issues/faq/what-produced-water 定訳はない。石油開発業界などでは「(石油)随伴水」か「産出水」と呼ばれているらしい。https://ja.hinative.com/questions/15749470)

・石油随伴水のような廃棄物資源を活用した、二酸化炭素排出ゼロの淡水化技術の実現可能性を示すものとなるだろう。

・Heliovis社の太陽熱エネルギー技術とTrevis Systems社のFoward Osmosis水処理技術を統合して実現される。

・Trevis Systems社のFoward Osmosis水処理技術は、膜を通して淡水を抽出するのに浸透圧を利用するが、その際に熱が必要となる。Trevis社の技術は従来のものと比べて必要となるエネルギーが少ない。オマーンの多くの油田では塩分濃度が非常に高い随伴水が莫大な量発生するので、この技術が理想的なのだ。

・脱塩化に必要となる熱は、オーストリアを拠点とするHeliovis社のHelioTubeテクノロジーを使った再生可能な太陽熱エネルギーから入手される。HelioTubeは、空気を入れて膨らませるチューブと太陽光を集めるミラーフィルムとでできている。だから、費用対効果が高く、ゼロエミッションなのだ。稼働予定の現場では、一日中およそ180℃の熱が得られ、要求を満たしている。

・Heliovis社は、次のように言っている。「このプロジェクトは太陽の熱エネルギーを様々な産業に応用することで、湾岸地域全体における将来の計画にとって目指すべき指標となった。」

    *****

オーストリアのHeliovis社のこの技術、知りませんでした。
今後まだまだ再生可能エネルギーの新しいアイデアと実用化された技術が登場してきそうです。

こういう技術の「甲子園」や「オリンピック」を日本のマスメディアはもっと取り上げてほしい。
そうすれば、高校生の目にやる気の炎が宿ると思うのですが、どうでしょう?


   

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