【基礎編】栄養素のおはなし。 #4
第1話「からだのおはなし。」から連載しているマガジン。第2話タンパク質、第3話鉄(Fe)と続き、第4話は原点に立ち返って、栄養素の全体像を眺めたいと思います。私が実践している栄養療法において藤川徳美先生はこうおっしゃっています。
『要するに体の構成成分となるものを食べれば良い。』ーFacebookより
私たちの体が何からできていて、どのように機能しているのか。それがわかれば、根本的に何が必要か理解できるということだと思います。根っこを理解し、表面的な健康療法や情報に振り回されず、自身で判断できるようになりたいものです。
栄養と栄養素。
栄養とは生物が生存に必要な物質を摂取して生命を維持する営みです。栄養のために摂取する食品成分のことを栄養素といい、栄養と栄養素は違う意味を持つ言葉。なるほど、初知りです。体内での栄養素の主な働きは3つ。1つ目は活動に必要なエネルギーになること。体温を保ったり、呼吸やその他のさまざまな活動のエネルギー源となります。2つ目は体をつくる役割。体内では生命を保つために、栄養素から細胞が作られ、成長し、死滅する動的均衡が繰り返されています。3つ目は体の調子を整えること。内臓の各器官の働きを整え、代謝をスムーズにします。(※代謝=物質を分解してエネルギーを得る異化と、エネルギーを使って生命活動に必要な物質をつくる同化を合わせて代謝といいます。)
五大栄養素について。
エネルギーになるのは炭水化物のうちの糖質や脂質、タンパク質。これら3つを三大栄養素といいます。タンパク質は糖質や脂質が不足したときにエネルギー源となります。三大栄養素にビタミン、ミネラルを加えたものを五大栄養素といい、生命活動の基本となります。
◾️タンパク質
20種類のアミノ酸がDNAの設計図情報をもとに合成されたもので、約10万種類のタンパク質が存在しています。筋肉や髪など体をつくる成分になったり、代謝酵素となったり、物質を運搬したり、情報伝達や抗体として働いたり、体はすべてタンパク質でできているといってもいいほど重要な栄養素です。1日約70〜80g摂取が推奨されていますが、牛肉ステーキに換算するとなんと約400g。普通の食事ではほとんどの方がタンパク質不足と言われています。
◾️炭水化物
炭水化物は糖質と食物繊維に分類され、食物繊維は吸収率が低く糖質は体内ですぐに吸収されエネルギー源として利用されます。糖質は体内に取り込まれるとグルコースに分解され、その一部は肝臓にグリコーゲンとして貯蓄され、エネルギー不足のときに利用されます。余分なグルコースは中性脂肪となって全身の脂肪組織に貯蔵されるため、摂りすぎると脂肪肝や肥満などさまざまな生活習慣病につながります。また、糖質の代謝にはビタミンB1が必要で不足すると乳酸が溜まりやすくなり疲れの原因になります。
◾️脂質
脂質にはエネルギー源として使われる中性脂肪などの単純脂質、組織の構成成分となるリン脂質などの複合脂質、細胞膜やホルモンの材料となる誘導脂質の3種類があります。糖質が即効性のあるエネルギーであるのに対し、脂質は貯蓄型エネルギー。脂質は糖質やタンパク質の2倍のエネルギーがあり、1gあたり9kcalのエネルギーを生み出します。体温の維持や内臓を守る役割、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもあり、不足すると肌荒れを起こしやすくなります。脂質と聞くとあまり良いイメージがないかもしれませんが、身体の構成要素として重要な栄養素です。
◾️ビタミン
糖質や脂質、タンパク質からエネルギーをつくる際、酵素による化学反応が必要です。ビタミンはこの代謝に必要な酵素の働きを助ける補酵素としての役割を担っています。ビタミンは一部を除いて体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。脂溶性と水溶性の2種類があり、脂溶性はビタミンA、D、E、Kがあたり、過剰摂取すると肝臓に蓄積され頭痛や吐き気など過剰症につながります。(ビタミンEは過剰症の心配は低いとされています)水溶性はビタミンB群、Cがあたり、摂りすぎても排泄されるため過剰症の心配はほぼありません。
◾️ミネラル
ミネラルは体の構成要素と酵素を助ける補酵素の役割を持ちます。栄養素として不可欠なものを必須ミネラルといい、その数は16種類。このうち1日の摂取量が100mg以上になる7種類を主要ミネラルといい、それ以外は微量ミネラルと呼ばれています。主要ミネラルのカルシウムやリンは骨や歯の主要成分、ナトリウムは細胞内の浸透圧の維持、微量ミネラルの鉄は血液の構成成分であるなど、身体を構成するだけでなく、さまざまな生理機能も調整しています。ビタミンと同じく体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。
栄養素をまとめると。
ヒトが生きるためには、体づくりの材料と活動するためのエネルギーが必要です。第1話「からだのおはなし」では健康な体でいるために下記2点が重要であることがわかりました。
⑴DNAが持つ設計図通りにタンパク質をつくること
良質なタンパク質と、タンパク質の合成に必要なビタミンを十分に摂る
⑵十分なATPを作れる身体であること
代謝がスムーズに行われるように補酵素となるミネラル、ビタミンを摂る
※ATP=エネルギーを蓄える分子
ロボットは部品が足りないと欠陥品に仕上がってしまいます。ヒトも同じように、原料が足りないと、粗末な腎臓、粗末な肝臓、粗末な心臓、粗末な脳ができてしまう、と三石巌先生はおっしゃっています。
五体栄養素を簡単にまとめると、
・体の材料=タンパク質+脂質+ミネラル
・体の燃料=糖質+脂質
・燃料をつくる代謝に必要な酵素=タンパク質
・酵素の働きを助ける補酵素=ビタミン+ミネラル
となります。これを念頭に、普段の食事を思い出してみるといかがでしょうか。私が自律神経失調症が原因の慢性胃腸炎、PMSに苦しんでいた時期を思い返すとパン、麺、米の糖質オンパレードでした。タンパク質はたぶん20gも取れてなかったし、ビタミンミネラルなんて皆無。お粗末な材料からお粗末な体の出来上がり、です。大切なのは、体の材料となる構成成分とエネルギーづくりに不可欠な補酵素。つまり、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルです。そして先に述べた⑴⑵を満たすために、藤川先生が推奨している栄養療法がこちらです。
高タンパク/低糖質食+プロテイン+ATPセット
(ATPセット=キレート鉄,ビタミンB,C,E)
これを毎日摂取しています。何に効果があるの?と聞かれると様々症状が改善されるのですが、イメージとしては体の健康レベルが根本から引き上がる、と体感しています。「からだのおはなし」ではタンパク質やATPがなぜ大切かということを勉強。つづく「タンパク質のおはなし」「鉄(Fe)のおはなし」でそれぞれの栄養素についてまとめました。残るはATPセットのビタミンB、C、Eの3種類。後日、順を追って更新させていただきたいと思います。今日のおはなしはここまで。
コメントもお気軽にどうぞ^^
第5話はこちら。
1〜3話はこちら。
<参考サイト>
藤川徳美Facebook『小学生でもわかる栄養の話』
https://www.facebook.com/tokumi.fujikawa/posts/1323716327744688
<参考文献>
井上正子(2012)『新しい栄養学と食の基本辞典』
岡庭 豊(2007)『栄養士・管理栄養士のためのなぜ?どうして?①』メディックメディア