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ブックレビュー

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#読書感想文

【リズム】私だけのリズムで

【リズム】私だけのリズムで

著者 森 絵都さん
いつも本を選ぶときは、ビビッと来たもの。
図書館でぐるぐるしながら、表紙が可愛いいものを手に取ることが多いのですが、内容もピンポイントで今のモヤモヤを洗い流してくれたり、気づきをもらえたり。素敵なお話です。

あらすじ

中学一年生のさゆきは、近所に住むいとこの真ちゃんのことが大好き。
真ちゃんは高校に行かず、金髪に染めバンドをしている。
ある日、真ちゃんのお父さんとお母さんが

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【キッチン】

【キッチン】

こんなにも名作なのに、なぜ読んでなかったんだ!私よ!

やっと手にとれて、読んでよかった!
素敵な言葉が散りばめられています。

著者 吉本ばななさん



あらすじ
祖母が亡くなり天涯孤独になった、みかげ。

—うちへ来ませんか。
と祖母の行きつけの花屋でアルバイトをしていて、同じ大学の雄一が訪ねてくる。

綺麗なお母さん、えり子さんも快く出迎えてくれる。

元々はお父さんだったと言う。

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【コンビニ人間】ただ自分らしく生きたいだけ

【コンビニ人間】ただ自分らしく生きたいだけ

著者 村田沙耶香さん

周りの人を幸せにしたいだけなのに。
言動が“普通”じゃないと、不審がられる。

あらすじ

“普通は”可愛い小鳥が死んじゃったら泣くよね。
間違っても食べようとは思わない。
でもお父さんは焼き鳥が好きだし。

“普通は”喧嘩を止めるのにスコップで頭を殴らない。
でもそうする方が1番早いと思った。

主人公の恵子は“普通”に生きることができず、黙って生きることにした。
『治る

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【まほろ駅前多田便利軒】仕事×家族のカタチ

著者 三浦しおん

便利屋。

よく考えると、この職種の名前の付け方ってすごいな、と思います。
頼みごと何でもしてくれる。
逆に言うと便利屋にしか頼めない様な頼み事。
とても厄介な事です。

あらすじ多田便利軒。
多田啓介がまほろ市で営む便利屋。

息子の代わりにお見舞いに行くこと。
年末年始にチワワを預かること。
バスが時刻通りに来ないからバス停で監視すること。

そんな仕事を淡々とこなす多田は

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【幸福な食卓】人生は予想もしてないことが起こる

【幸福な食卓】人生は予想もしてないことが起こる

著者 瀬尾まいこさんです。

登場人物がみんな真っすぐです。
みんな外では悩みを抱えてる。でも食卓ではみんながいつもと同じ温かさ。
いつもの食卓でぎょっとするような発言をする家族もいる。
逆に言えば、食卓ではいつもと変わらない日常が待っていてるので、ストレートに気持ちを言える、受け入れてくれる安心感がある。
それって素晴らしい環境だなと思います。
食事の時間、食べる物、座る位置…その家庭毎ルールっ

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【首折り男のための協奏曲】タイトル怖いけど、内容も怖い

【首折り男のための協奏曲】タイトル怖いけど、内容も怖い

伊坂幸太郎さんです。
想像できない展開へ進んでいくのに読みやすいです。
短編集ですが、緩やかにつながっています。
この人って誰なの?登場人物は重要なの!?と読みながら推理していくのが面白いです。

ー首
脊椎動物の頭と胴体をつないでいる部分。
人間の急所のひとつ。
普通は細く、折れやすいし折られやすい。
人間の首は、この『首折り男のための協奏曲』に収録されている物語の数と同じ7つの頚椎によって支え

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【パリよ、こんにちは】six romans de Paris

【パリよ、こんにちは】six romans de Paris

パリにまつわるストーリーを6人の作家が短編で綴っています。
途中差し込みにパリの写真も載っていて、「私はパリを味わってる!」と浸れます。
実際にパリの街並みを感じられるお話が好きだなと感じました。
切ない恋のお話が多いです。大人の物語です。

KAMIKAZE×林真理子

離婚してパリの語学学校へ来て、高級ブティックで働くという「お定まりの道」をたどる由利。
周りの女性たちも、訳あり。
恋人の祐一

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【そして、バトンは渡された】親になるということ、子であるということ

【そして、バトンは渡された】親になるということ、子であるということ

著者 瀬尾まいこさん

ほんと瀬尾まいこさん、大好きです。
最後バスの中で読んでしまい涙を止めるのに必死でした。
複雑なのに温かい家族の話です。
血の繋がりは無くても、守る人がいることで感じる幸せ、感じられます。

あらすじ優子は幼い頃に母が亡くなり、父と2人。
ある時、父の再婚相手として梨花さんと出会う。
2人はお別れすることになりブラジルに行く父ではなく、梨花さんについて行くことになる。

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【神様のボート】究極の愛

【神様のボート】究極の愛

著者 江國香織さん

超有名作ですが、初めて手に取りました。
さすが江國さん…江國ワールド。
淡々と進む中で、綺麗な情景が目に浮かびます。

あらすじ
自由奔放な母の葉子と娘の草子は旅がらす。
二人の生活を、二人の目線から交互に描かれています。
平凡な日常、現在と過去を行ったり来たりしながら、葉子と元夫の桃井先生のこと、そして草子の父で葉子の愛した、あの人との思い出。

葉子は一つのところにとどま

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【満月珈琲店の星詠み】恋も仕事も占星術から読み解く

【満月珈琲店の星詠み】恋も仕事も占星術から読み解く

著者 望月麻衣さん
画 桜田千尋さん

とても素敵な表紙に惹かれ、手に取りました。
今占星術を勉強してるのですが、このストーリーの中に出てくる占星術は分かりやすく、迷える登場人物を後押ししてくれます。

なんだかツイテナイなって感じることって、実は不注意じゃなくて、星の影響も少なからずあると思います。今は星の動きをネットなどで簡単に知ることができますので、生活に少し取り入れてみるのも面白いと思いま

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【寿フォーエバー】仕事に悩むアラサーの奮闘

【寿フォーエバー】仕事に悩むアラサーの奮闘

著者 山本幸久

あらすじハート型の建物、テーブルや窓もハート型。
一見するとラブホテルのような一昔前の雰囲気の結婚式場「寿樹殿」でウェディングプランナーとして働く井倉靖子。

「ハリーとメロロン」と呼び合うカップルはいつも打ち合わせではラブラブで見ていてイライラする。しかし彼らは久しぶりに300名以上の来賓客を招く式を行う大切なお客様。次から次へと細かい業務に追われて多忙な毎日を送る。

友人の

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【元彼の遺言状】一緒に推理

【元彼の遺言状】一緒に推理

面白かった!するする読めました。
「このミステリーがすごい!」大賞で先日、セブンルールで著者の新川帆立さんを知りました。聡明で愛らしい方で手に取りました。

あらすじ主人公の剣持麗子は、大手弁護士事務所勤務。いつも勝気な性格で彼氏が買ってくれたプロポーズの指輪の値段に納得がいかず、彼を責めたり、ボーナスが低くて上司に嚙みついたり。
女友達がいない麗子は、大学の頃に3か月だけ付き合っていたイケメンの

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【ごはんぐるり】食にまつわるエッセイ

【ごはんぐるり】食にまつわるエッセイ

著者 西加奈子さん

先日、日経新聞土曜日のプラス1の記事で食にまつわるエッセイが紹介されていて、手に取りました。

西さんが食にまつわる出来事を独自の切り口で掘り下げています。

〝スイーツ〟って、確かにいつから、デザートではなく、スイーツという地位を確立したのだろう。スイーツ頼む?って聞かれた時に、お前も「甘いもの」世代だろってツッコミは笑えました。

西さんは色んな角度から食について綴ってい

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【あ・うん】┃昭和初期の価値観と通ずるもの

【あ・うん】┃昭和初期の価値観と通ずるもの

著者 向田邦子さん

向田邦子さんの本、読んだことありませんでした。
読んでみなきゃ、と初めて手に取ったのが『あ・うん』
向田邦子さんの初めての長編小説とのこと。

昭和の豪快さ、男性と女性の地位の違いをありありと感じさせられます。

あらすじ

金属会社の社長である門倉修造は軍事特需に沸き成金。
一方で製薬会社勤務の水田仙吉はつつましく暮らす。

門倉は銀座を歩けば女は一人残らず振り返るような男

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