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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2022年3月の記事一覧

西アフリカのギターの響き:ウスマン・サッコとヤカレ・ジャバテ、アリ・ファルカ・トゥーレ

先週、ふとしたことで、アンゴラになかなか腕のいいギタリストがいるのを知った。カルロス・プライア・・発音、合っているだろうか。 YouTubeでも、それほど多くの楽曲が上がっていないのと、再生回数 400回とか 80回とか、これまで再生数1億越えや10億越えのスーパースターを紹介したので落差が大きすぎるかもしれないが、この人はなかなかいい感じだ。次の動画などサムネイルの2枚の国旗を見ただけで泣いて喜ぶ方がいるかもしれない。 アイバニーズのギターを弾き、民俗音楽色は感じないが

海外からオファー殺到!海外アーティストを魅了する20歳の日本人デジタル・アーティスト、Sora Aota(K2)にインタビュー

トリッピー・レッドやイアン・ディオール、ヤング・サグなどの海外アーティストから、国内ではLEXやBAD HOPといった時代を象徴するアーティストのアートワーク/デザインを手がけるSora Aota。これまでは〈K2〉という名義で活動してきた彼だが、よりグローバルに活躍すべく、その名を本名に改めた。そんな活動を後押しすべく、ドージャ・キャット『プラネット・ハー』の完全生産限定盤の特典であるオリジナルTシャツのデザインを手がけた彼に、バックグラウンドから海外仕事の裏話までじっくり

YOASOBIチームへのパッケージ制作に関するインタビューと記事を書いた話

先日、CDショップ大賞に関連して、YOASOBIの制作チームにインタビューをする機会を頂きました。 おかげさまで、たくさんの方に読んで頂き、とても嬉しく思っています。長い内容にも関わらず、ありがたい限りです。 CDショップ大賞は、年に一度、CDショップの店員が素晴らしい作品に対して賞を授与するものですが、第14回CDショップ大賞2022では、YOASOBIが『THE BOOK』『THE BOOK 2』で、特別賞と入賞を受賞しました。 この2作品の完全生産限定盤は、曲ごと

「アニソンはあらゆる音楽を吸収する」神前暁が語る、アニソンの引力

『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『物語』シリーズ……。アニメファンでなくとも一度は名前を聞いたことがあるであろうこれらの作品で音楽を担当しているのが、神前暁(こうさき・さとる)さんだ。 2000年代にアニメ音楽の領域で仕事を始めて以降、数々の大ヒット作品で主題歌や劇伴などを担当し、「アニソン界の至宝」と呼ばれるまでになった。 そんな神前さんに、アニソン制作における音作りのこだわりや、高品質な再生環境におけるアニソンの聴こえ方の違いについて伺った。 <取材・編集:小沢あ

2022年に発見した2021年の傑作アルバム

はじめに発表されたばかりの傑作と出会えた時の喜びに勝るものはない。単純な作品の素晴らしさに加えて、「傑作の発表とその流通の過程に立ち会える」という優越感。また、(あくまで疑似的な)共時的感覚によってアーティストと密やかな会話をしているように錯覚してみたり、いつ何時でも聞けることを志向して作られた音楽を敢えてライブのように味わうことによって、スノッブ的な贅沢を体験してみたり。誠実ではないかもしれないが、個人的には無視できない感情だ。行き過ぎたディガーの気持ちが少しわかる。 た

なぜメタルアーティストは高齢化しているのか ー メタルは「大人の音楽」に

メタルアーティストの高齢化、メタルファンの高齢化という話をちょくちょく目と耳にします。先日もこんな記事がありました。 この記事が良くまとまっていて問題点が分かりやすいので、ここで最後に問いかけられた という部分。これはラウドパークのヘッドライナーでも言われていましたよね。ヘッドライナーに若手を据えられない、若手にすると集客が落ちる、的な話。だからヘッドライナーが枯渇してきたということが少なくとも10年ぐらい前から言われていた問題な気がします。「またSlayerがヘッドライ

ゲーム音楽を"鳴らす"お仕事

コンポーザーとの違いゲーム音楽の仕事というとどうしても作曲を思い浮かべてしまいがちですが、その曲をどうやってゲームの中で再生しているかは意外と意識したことが無い方も多いかもしれません。また、やったことが無ければ想像するのも難しいと思います。 しかし、この曲を鳴らすという仕事の出来によってプレイヤーがゲームにどれくらいのめりこめるかが大きく変わってしまうのです。 本記事では音楽でゲームを演出する仕事について概要を紹介します。これから業界を志す方の参考になれば幸いです。と言っ

幸運を呼ぶラッキー・デイの新作

ラッキー・デイの新作『Candydrip』(2022年3月10日リリース)を楽しみにしていた。約3年ぶりのセカンド・アルバム。期待通りの快作だった。おそらく今、US R&Bの世界で最も勢いのあるシンガー。彼を中心にR&Bのシーンが回っていると思うほど。夥しい数の客演もこなしている。自分もこの3年近く“ラッキー・デイ”という名前を何度打ったかわからない。新作発表から1週間、プロデューサー/ソングライター以外のクレジットが見つけられず、「聴き込んだ」とも言えない状態だが、これまで

【3月30日・初アルバム『DIVA YOU』リリース!】自らを"DIVA"と名乗るゆっきゅんって何者?

「もっと面白い人に会いたい」がきっかけだった――2014年、上京と同時にアイドル活動を始められたとお聞きしました。  私は地方出身なので、もっと好きな映画やミュージシャン、「DIVA」に直接触れたいという気持ちで上京したんですね。そもそも東京に来たら、アーティストに限らず、すごく面白い人がいて打ちのめされる、自分じゃ駄目だと思い知らされるだろう、と思っていたんです。でも少なくとも、大学はそういう場所じゃなかった。もっと面白い人に会いたい、そのためには大学の外に出なくてはと思

DSXTX「NEW NAME BUT AS USUAL」全曲解説

東京のラッパー、DSXTXがリリースしたミックステープ「NEW NAME BUT AS USUAL」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。 アメリカ南部のギャングスタ・ラップからの影響を打ち出したスタイルで注目を集めるラッパー、D-SETOがDSXTX(読み:ディーセト)に改名。新たな名義での初作品となるミックステープ「NEW NAME BUT AS USUAL」を3月26日(土)にリリースする。 現在は東京を拠点に活動するDS

¥100

フィールド・レコーディング作品15選+

2022年4月26日、柳沢英輔氏による著書『フィールド・レコーディング入門: 響きのなかで世界と出会う』がフィルムアート社より出版されます。氏は音文化研究や映像人類学を専門とされている方で、研究や執筆活動のほか、これまでに[うみなりとなり: Soundscape of Minamidaito Island] (Otobin / 2018)や[Path of the Wind] (Gruenrekorder / 2018)などのCDも発表しており、国内外で知名度のある作家でもあ

全世界必聴! 破格のラテン・パワーで音楽も言語もぶち壊すロザリアの怪作「Motomami」

どうも。 先週末以来、僕の頭の中は2つのものに支配されています。一つは、こないだレビューしたばかりですね。「ドライブ・マイ・カー」。こっちでは4月入るとサブスク配信が始まるのですぐにでも2回目見たい気分なんですが、もう一つがこれです! はい。事情を知らない人から見れば「なんだ、そのジャケは?」かもしれませんが、今、全世界でこれが一番熱いアルバムだと思います。その名も「Motomami」というアルバム。 アーティストは ロザリア!! 彼女に関しては、僕のブログを前から読

春の音楽

春がやってきました。東京はもう桜が咲いたみたいですが、ソウルはまだまだです。だいたい東京って韓国の釜山と同じ緯度だそうです。ソウルは仙台とか青森くらいでしょうか。意外と寒い地域なんです。なので、4月になってから桜が咲きはじめるみたいです。 春がやってくるとつい聴いてしまうアルバムがありまして、Verandah Projectという2人組のユニットのアルバムです。メンバーはKim Dongryulという作曲とピアノの人とLee Sangsoonという同じく作曲とギターの人で構

私的ブータンヒップホップベスト6+α

0. ブータンヒップホップ史概略 「ラップはブータン人のDNAに組み込まれている」 「なぜなら、それは私たちがとてもリズム感のある文化を持っていて、口承伝統があるからだ」 これはブータンのラジオ局Kuzoo FMのマネージングディレクターが残した言葉である[Dasai 2018]。 口承伝統が発達し、即興で韻(ライム)を踏む文化があるところでは、ヒップホップが親しみのある音楽として受け入れられやすい[e.g. 島村 2020]。 確かにブータンでも、詩的な言葉を比喩など