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クラシック 記事まとめ

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クラシックの楽曲・作曲家などについて書かれた記事をまとめていく公式マガジンです!主にハッシュタグ「#クラシック」が付けられている記事を自動で追加し、紹介していきます。
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2023年9月の記事一覧

ラヴェルに「ゴジラ」の影を見た!・・・ラヴェル「ピアノ協奏曲」と伊福部昭

世の中には「似ている曲」がいろいろある。 母校中央大学の校歌の前奏部分が、ゲーム「ドラゴンクエスト」の「ロトのテーマ」冒頭と似ているとネットで話題になり、今では聴き比べるYouTubeなども存在する。ネットで話題になる前からそのことは僕の周りでも言われていたし、僕もそのように感じたのは確かだ。しかしたかだか6音くらいの音程とリズムが合致しただけのことだ。 本音を言えば「中央大学の校歌がドラクエに似ている」と言われるのはいささか心外だ。 中央大学の校歌の作曲は1950年制

生オーケストラ圧巻 ロック原曲大河ドラマ平清盛【タルカス】《吉松隆の「英雄」コンサート》

大河ドラマ平清盛きっかけで知ったタルカスを、原曲の作曲者キースエマーソンの命日、そして吉松隆さんの古希祝(70歳)の特別な日に、生オーケストラで聴いてきた。新たな世界が広がる忘れられないコンサートの記録 吉松隆さんが語る今回のコンサートについて  当日のコンサート音盤 『吉松隆:交響曲第3番/タルカス』2023/6/21発売 music youtubeで聴くことができる 吉松隆の〈英雄〉コンサート 2023年3月11日(土)14:00 会場:東京芸術劇場コンサートホー

連日のレッスン!!2023/09/24(日) + レッスンレポートつき!!

 フォメンコ教授のピアニズム! 今回もレッスンレポートつき記事となります。 最後まで読んでくださると跳ねて喜びます♫ ぜひ。ぜひぜひ!! ( 1つのNoteの記事を書くのに1時間以上かかっているので、読まれないのはとても悲しいのです…) 1. レッスン前の練習レッスン前なのに音楽院に9:15頃に着いているという始末。 借りた部屋はこちら。 ピアノは 左がスタインウェイのA型。 右がスタインウェイのL型。 右のL型のスタインウェイは筒状の脚をしているので面白いですね。

¥299

N響のモーツァルトに包まれる夜

急に秋らしい涼しさになった日曜日夕方、長野県伊那文化会館でNHK交響楽団(以後、N響と記します)の公演が開かれました。 先月チケットを購入した際には既に残席僅かでしたが、公演当日の入り口横にあるポスターを見ると、”チケット完売”の張り紙がありました。さすがN響、大人気です。 大ホールの座席数は1,300席、わたしの席は館長さんもおすすめの2階席前列。はやめに着席して本公演の冊子を眺めながら開演を待ちます。 チャイムが鳴って少し後、メンバーと指揮者がステージに揃いました。

エマニュエル・パユのシューマン:ジャズヴァージョン

車を走らせているとき、ラジオからとても懐かしい調べが聞こえてきました。知っている曲なのだけれども、新しいアレンジの音楽。 最近はそういう音楽によく出あいます。 もはや芸術の世界には新しい発明はなく、改良のみがあるという感じ。 新しいものは何を作ってもデジャビュでしかないことは寂しいことですが、創作の世界とは 新しいスタイル(語法)の誕生 発展と継承(マニエリスム) 崩壊(既存の価値の破壊=新しい価値の創造) の過程を経て変わりゆくのです。 音楽の世界の次のパラ

サントリーホールはやっぱりホテル並みのおもてなし空間だった。“3つの理由”をのぞき見してきた話。

1987年に開業したサントリーホール(=港区赤坂)。国内外の有名オーケストラが数多く演奏会をしている、有名な音楽ホールです。私も観客として何度も足を運んでいますが、一歩踏み入れたときの特別感やワクワク感は格別。その理由をバックステージツアーでのぞき見してきました。 親愛なるサントリーホールに関する別記事はこちら。愛が重い。 理由① ホールの顔!レセプショニストコンサートに行くと、ホワイエと呼ばれるロビーでチケット切りをはじめ観客のお手伝いをしてくださるスタッフさんがいます

生の祝祭                   『クラリネット五重奏曲』

♠  夏の疲れが溜まって免疫機能が低下し、心身の不調を覚える時期だ。  所謂「秋バテ」というやつだ。  そういう時は自然の中に入って新鮮な空気を全身に吸収し、森林浴と長い散策でたっぷりと汗をかくのが良い。  そしてシャワーを浴びた後は、冷えた白ワインでも飲みながらモーツァルトを聴くに限る。  こういう時は『クラリネット五重奏曲』かな(⁠^⁠^⁠)  かつて音楽評論の故・吉田秀和をして「神のようなモーツァルト」と言わしめた名曲中の名曲。  まるで音楽によって心に溜まった穢れを

クリストフォリのチェンバロ:イタリアのチェンバロについて4(170)

ピアノを始めとする奇抜な創作楽器の数々で有名なバルトロメオ・クリストフォリですが、一応、普通のチェンバロも作っています。何をもって普通とするのかは難しいところですが。 Bartolomeo Cristofori, c. 1700, "Ebony"フィレンツェ音楽院 "ルイジ・ケルビーニ" 所蔵のこのチェンバロは、何といっても珍しい黒檀製のケースが特徴です。突板などではなく無垢の黒檀材を使用。 ピアノに関する最初の記述のある1700年のメディチ家の目録には、この楽器のことも

贋作商レオポルド・フランチョリーニ:イタリアのチェンバロについて5(170)

このニュルンベルクのゲルマン国立博物館所蔵のバルトロメオ・クリストフォリ作とされる三段鍵盤のチェンバロは、下鍵盤 8'+8'、中鍵盤 8'+4'、上鍵盤 4' というレジスター構成で、FF-f3 の5オクターヴの音域を有する豪勢な楽器ですが、しかしこれはイギリス製のピアノをベースに19世紀に作成された真っ赤な偽物です。 ミュンヘンのドイツ博物館にも、同じくクリストフォリの署名を持つ三段鍵盤のチェンバロがありますが、こちらはジローラモ・ゼンティが1658年に製作した一段鍵盤の

クラシックファン憧れの「PROMS Last Night」!とうとう初体験しました🥳

やっっったーーーーーー!!!イギリスが誇る夏の音楽の祭典「PROMS」については、こちらでも何度もご紹介してきました。 PROMSは毎年71~76回ほどあるのですが、毎年最後の日は「Last Night」と言ってお祭り騒ぎのサイコーに楽しいイベントが行われるのです。このチケットは基本的に抽選で、通常のPromコンサートのチケットを5回分以上購入すると抽選に参加できる仕組み。わたしも毎年必死で抽選に参加してきましたが、昨年2022年の「Last Night」にとうとう当選!!

¥200

演奏者が音符を音にするまえにやっていること~ボロディン弦楽四重奏曲第2番(Borodin String Quartet Nr.2 D-Dur)について考えてみる

演奏には楽譜が必要。でも音にするには個性も必要。 演奏は楽譜と楽器と演奏するメンバーが揃えば形にはできます。この時点ですでにお客様に聴いてもらい、例えばそれがベートーヴェンの曲だとして、誰が聴いてもそれを「あぁ、ベートーヴェンだ」と判ってもらえるような形にすることは可能です。出汁がきいていなくても蕎麦は蕎麦だ!という様にです。ところが、それだけでは演奏したことにはならないのです。クラシック音楽は、「なんだ、毎回同じ楽譜を使って、同じ弾き方で、だれが弾いても大体同じじゃないか

『2023年感謝の演奏会』 終了しました!

9/9(土)名取市文化会館小ホールにて感謝の演奏会を開催いたしました!9周年を迎えたエスポによる個性が爆発&地元愛が炸裂したステージの様子をお伝えしたいと思います♫ 1部のクラシックでは優美な響きのピアノソロ、ドビュッシーの「アラベスク第一番」から、ヨーロッパの春の訪れを感じるベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第5番「春」より第1楽章」で弦楽器の響きを堪能頂き、続けてオペラ『ラ・ボエーム』から「私の名はミミ~あなたの愛の呼ぶ声に」でプッチーニの情熱的なメロディを楽しんで頂

ナポリのチェンバロ:イタリアのチェンバロについて1(167)

初期のチェンバロの現存楽器の多くがイタリアのものであったことから、かつてイタリアがチェンバロ発祥の地と考えられていたこともありました。 しかしおそらくチェンバロは14世紀末にウィーンのヘルマン・ポールによって発明されたもので、現存最古のチェンバロ(クラヴィツィテリウム)がドイツのウルムに由来することからも、チェンバロは初めドイツ語圏で作られ、そこからイタリアのチェンバロが派生したものと見られます。 そうはいっても、初期のチェンバロの現存例の多くがイタリア製であることには違

ヴェネツィアのチェンバロ:イタリアのチェンバロについて2(168)

Alessandro Trasuntino, Venice, 153116世紀のチェンバロの宝庫は、やはりヴェネツィアです。 英国王立音楽院所蔵の1531年製アレッサンドロ・トラズンティーノのチェンバロは、シャープなフォルムが如何にもイタリアらしい楽器です。インナー・アウター型で、響板と側板はサイプレス(イトスギ)、底板はポプラ。 現在このチェンバロは 2×8', GG/BB-c3, 50鍵という仕様になっていますが、本来は 1×4', 1×8', C/E-f3 であった