エッセイ:スペース・マウンテンと悟り(あるいは、恋の教訓について)
季節は秋のはじめ。残暑も終り、涼しくなったデート日和のこと。当時、ぼくは大学二年生であった。
付き合いだしたばかりの彼女がディズニーランド(以下、TDL)へ行きたいと言うから、前日から夜行バスに乗り込み、われわれは東京に向かったのだった。
まず、ぼくの失敗は準備不足にあった。
彼女のほうはTDL本を丹念に読み込み、付箋まで貼り、デートの当日までにしっかりと旅行の準備を整えていたのであるが(ちなみに、旅券も宿もすべて彼女が手配していた)ぼくときたら浮かれていただけで、ほとんど旅