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生まれと育ちが一生をかなりの程度左右する
これは、正月に飲んだワインのラベル。
オーストラリアの、比較的有名な
ブランド、Jacob’s Creek である。
シラーズというブドウ品種が最近の
お気に入りで、いきおいオーストラリア
ワインを頂くことが多くなる。
ワインには様々な個性がある。
どんな土地で採れたブドウか?
ブドウの品種は何か?
それはオーガニックか否か?
採れた年の気候は?
作り手は誰か?
輸送の状態は?
保存の状態は?
TheBazaarExpress119、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』10章、メディアの狂宴
・いい加減な取材ならお断り
「佐村河内とは取材中に何回も喧嘩しました。彼は『徹底的に取材して本当のことを書いてくれ』という。『それができないなら取材してくれなくていい』と言うんです。こちらも喧嘩腰になって、『だったら徹底的に取材させてもらいます』と言い返しました。まるで私と勝負するかのようでした。その姿勢を見て、私は自分と似ているなぁと思ったものです」
ジャーナリストの塩田芳享が語る。塩田は2
TheBazaarExpress118、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、9章、2つの三角形の完成、障害児とのかかわり
・お仕事は作曲家です
「はじめまして。佐村河内守といいます。守さんのお仕事は作曲家です。一緒に送ったDVDを見てくださいね」
2009年の初夏のこと。習志野市に住む大久保家に、一通の手紙が届いた。宛て先は、小学校3年生の長女、みっくんになっている。大きな封筒には、何枚かのDVDも入っていた。手紙はこう続いていた。
「守さんはみっくんだけのピアノ曲『左手のためのピアノ曲』を作曲してみっくんにプ
TheBazaarExpress116、『ペテン師と天才、佐村河内事件の全貌』7章、貧しくても好きな道を歩む幸せ~N極・早熟な才能
・驚愕のフルオーケストラ・スコア
―――この子の才能はどうなっているんだ。小学校6年生でオーケストラのフルスコアを書いてくるとは。しかも独学で20分もの曲だ。尋常じゃないな。
1982年のとある日、東京目黒にあるヤマハ音楽振興会目黒センターで指導教官をしていた作曲家の南聡は、千葉県船橋市の教室から送られてきたある子どものスコアを見て信じられない思いだった。
この頃南は東京芸大の作曲家コースの
TheBazaarExpress115、『ピアノはともだち~奇跡のピアニスト辻井伸行の秘密』青い鳥文庫版、あとがき
拝啓 辻井伸行様
日本では山滴る季節となりました。
今日はどこの旅の空ですか? 演奏会は順調に進んでいますか? お客様の反応はいかがでしょうか。各地で美味しいものを食べているのでしょうね。
君の本を書かせてもらってから、5年の月日が流れました。あの頃君は世界での演奏旅行が始まったばかりで、いろいろな国の音楽祭や小さな街のコンサート・ホールで演奏を繰り返していましたね。
それが今では
TheBazaarExpress113、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、第二部、二つの三角形、転機、メディアの饗宴、5章、出会い、96年8月
・自分をアピールする男
その年は、例年に比べれば比較的凌ぎやすい夏だった。猛暑の日は少なかったがその代わり雨が少なく、秋の作物の収穫には不安が残った。
プロ野球界では、松井秀喜はまだジャイアンツでプレーしていた。夏場になって4番の落合博満の打撃に陰りが見え始め、ライオンズの清原和博のFAトレードの噂が出始めていた。
パリーグではオリックスのイチローが健在だった。右袖には前年に起きた「阪神淡路
TheBazaarExpress111、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、第二章2013年の軋轢、その1~不協和音
・なぜ撮影に協力しないんだ
2013年の正月から2月にかけて、大久保家には一つの憂鬱が蔓延していた。
それまでずっといい関係を築いてきていた佐村河内の周囲から、不穏な話が伝わるようになってきたからだ。
―――みっくんがなぜ撮影に協力してくれないのか、佐村河内さんはかなり怒っている。
遠回しないい方であっても、そのような意味のことを、例えばNHKの撮影スタッフや周囲の音楽関係者が、何気ない会
TheBazaarExpress110、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、第一部第一章・奇妙な出会い、二重人格、衝撃の告白
1章、 バランスの悪い会話
・日曜日の居酒屋
その日、私の目の前で展開されていたのは、とても奇妙でバランスの悪い、不可思議な光景だった。
「まず生ビールにしましょうか。4杯ね。子どもたちは何にするの?」
「オレンジジュース」「私はグレープフルーツジュース」
千葉県船橋市と習志野市に挟まれた、JR津田沼駅に隣接したビル内の大衆居酒屋。その個室には、二人の少女を含む4人家族と私、そしても
TheBazaarExpress109、「新世界三大料理~和食は世界料理足りうるのか?」第三章・世界が憧れる食材大国、日本料理
1、 世界に広がる日本の食文化
・コペンハーゲンでの偶然の出会い
その店との出会いは、本当に偶然のことでした。
広い店内はごてごてした飾りはなくシンプルなしつらえで、大きなテーブルが整然と並び、床も壁も天井もぴかぴかに磨き上げられています。私が入ったのは午後3時ごろでしたが、それでも店内の約半分、30人ほどの家族連れやカップルたちが食事を楽しんでいました。カウンターの向こうに広がるのは、
TheBazaarExpress107、それでも「ソナチネ」は弾いていきたい~少女の叫び
「私はそれでも『ソナチネ』は大好きだからこれからも弾いていきたい。でも、嘘の作曲家のクレジットが入るのはいやだ」
義手のヴァイオリニスト大久保みっくん(愛称、現中1)がそう言ったのは、正月半ばのことだった。この夜集まっていたのは、大久保家4人(両親と妹)と私、そして神妙な表情でうなだれている作曲家・新垣隆氏。すでに新垣氏は前年暮れに、大久保家4人の前で「実は私が佐村河内の曲を18年間つくり続け