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どこかでだれかときいたはなし

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劇作家・美術家の私道かぴが、作品づくりのために行った先々で聞いた話、経験した出来事について書いたコラムです。毎週水曜に更新します。(2024年1月~)
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記事一覧

どこだれ㉜ “じゃなかった未来”の話をする人

数年前から、「アーティストインレジデンス」という制度で、日本の色々な場所に滞在しながら演…

どこだれ㉛ たとえ信仰がちがっても

ある地方に滞在中、地元で年に一度のクラフトフェスが開催されると聞いた。周辺の県からも人が…

どこだれ㉚シャーマンと話す

シャーマンという存在が気になっていた。シャーマンとは、ざっくり言うと「死者」や「神様」を…

どこだれ㉙火渡り神事でもらった言葉

まったくそんな気はなかったのに、人の紹介で次に次にと訪ねて行った先に、思わぬ行事に巡り合…

どこだれ㉘ 六ヶ所村で考えた

いつ誰に聞いたのだったか、「六ヶ所村はおもしろいから行った方がいいよ」という言葉がずっと…

どこだれ㉗恐山へ行ってきた

少し前になるが、青森県の恐山に行ってきた。「イタコの口寄せ」が有名で、「人は死ねば恐山に…

どこだれ㉖ある日の雨宿りのこと

京都での稽古後、「あ〜降りそうだな」という曇天の中歩いていたら、ぽつぽつ、と大粒の雨が肩に落ちた。 「まだ大丈夫かな」と歩き続けると、ピカっと空が光ったのを合図に、滝のような土砂降りになった。折り畳み傘ではとても対応できず、目の前のビルの一階、駐車場となっているスペースに駆け込む。その数秒後、とんでもない大雨になった。 先程まで歩いていた道が川になっていくのを見ながら呆然と立ち尽くしていると、自転車を押した2人組がずぶ濡れで駆け込んで来た。 観光客だろうか、スマホで地図を見

どこだれ㉕ 戯曲を書いてよかった

2022年に、「脱げない」という戯曲を書いた。これは、ファストファッションや綿農家の現状を集…

どこだれ㉔ 100年という時間をつなぐこと

  最近、気づけば100年という時間の流れについて考えている。 きっかけは、米津玄師の『さよ…

どこだれ㉓ 新潟の印象って何ですか?

「新潟の印象って何ですか?」 1か月半に及ぶ新潟での滞在制作の最中に、何度こう聞かれたかわ…

◎瞽女さを追いかけて見えてきたもの

今回の制作は、新潟県にあるゆいぽーとのアーティスト・イン・レジデンス事業「招聘プログラム…

どこだれ㉒ 知らない人に話かけること

新潟での滞在が続いている。最近気づいたのは、道を聞いても、バス乗り場を聞いても新潟ではな…

どこだれ ㉑ もういない存在を語り継ぐこと

大学生の頃、他学部の授業によく潜り込んだ。ある日たまたま出たメディア系の授業に、ゲストス…

どこだれ20 ホタルを知らずにいたかった

ある滞在先であてもなく歩いていると、田畑が混在する広々とした場所に出た。抜けるような青い空がどこまでも続くなか、視界の隅に違和感があった。見ると、ぽつんとコンテナが建っている。何だろうと思い近づくと、コンテナはどうやらお店のようだ。たまたま出てきた男性に聞くと、農業を営む一家でやっているレストランだと言う。話をしてくれたのはそこの父親で、数年前に農地の一角にあるコンテナを改装して、週末だけオープンするお店を始めたそうだ。自分の作った野菜が購入され、料理され、人の口に入るまです