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発達支援・特別支援に関する発信

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障がいのある子どもと関わる方向け。 働いてきて抱いた意見や、ここが肝だな!と感じた関わり方のコツ、などなど。
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2024年5月の記事一覧

#18 「言葉以外の手段」で子どもを動かす 【トレーニングのススメ】

保育園の時間が迫っているのに朝ごはんを食べない!着替えない! 食事中にウロウロ、なのに「ごちそうさまでいいのね」と聞くと全力のノー。どっちやねん! 「お風呂が沸いたら終わり」の約束のyoutubeをいつまでも見続ける、、 子育ては「思うようにならぬ相手(子ども)」との付き合い方修行だな、と感じる日々です。 子どもの行動を変えたい時、「声かけ」だけしか手段がないと、効果が出なくてストレスになったり、段々エスカレートして脅迫めいた声かけだらけになりがちです。 などなどなど。

#16 感覚のコップは伸び縮みする

運動会シーズンがひと段落しようとしていますね。 普段見れない姿は大人としては嬉しいことですが、「いつもと違う」を苦手にする自閉症の子は結構多くて。 やっと年度がわりに適応してきた頃に始まる「運動会の練習」というイレギュラーな予定&集団行動連発の状況に調子を崩してしまう子もちらほら。。 今回はそんな「その日の調子」に関する話です。 感じ方の違い / 感覚特性とは 障がいのある子たちが見せる特性を説明する言葉の1つに「感覚過敏 / 鈍麻」があります。 柔軟剤の匂いやテレビ

注目獲得行動への対応【実例編】 #13

こんにちは。にわのです。 知的障がいや発達障がいのある子どもたちへの支援について情報発信するシリーズを続けています。 前回に続き、「注目獲得」または「注意喚起」と呼ばれる行動への対応について。今回は具体例を2つ取り上げてみます。 周囲の反応目当てに行動しているようだ、と感じた場合、「無反応」と「違う行動への置き換え」をセットにすることが対応の基本です。 「子どもを無視していいの?」という質問をよく受けますが、存在を無視するのではなく、特定の行動についてのみ反応しない、と

氷山モデルの具体例【注目獲得行動】 #12

こんにちは。にわのです。 知的障がいや発達障がいのある方への支援について情報発信するシリーズ、今回は「注目獲得」または「注意喚起」と呼ばれる行動についてです。 氷山の一角として、こんな行動 いずれも周りの人がとる「反応」が行動の目的となっていると考えられます。 注目獲得行動への対応 こうした行動を減らしたい場合、「無反応」と「違う行動への置き換え」が基本の対応になります。 「それはダメだよ」とも「それはやめて」とも言いません。笑顔も怒った顔もしません。淡々と行動をスト

氷山モデルの具体例 【見通し不安】 #11

こんにちは。にわのです。 障がいのある子どもたちの支援について発信するシリーズ、今回は「見通し不安」から出てくる行動と対応について、です、 氷山の一角として、こんな行動 こうした行動が見られた場合「見通しが持てていない」ことからくる不安や混乱が背景として考えられます。 「見通しのつかない状況」は発達の遅れがあったり、自閉症を伴う人たちの最も苦手なことの1つと言われています。 先のことが予測できない「くらいのことで」叩いたりあんなに暴れるなんて、と思われてしまうことがあり

氷山モデルの具体例 [聴覚過敏] #10

こんにちは。にわのです。 知的障がいや発達障がいのある子どもたちへの支援について情報発信しています。 前回、子どもたちが見せる様々な行動は「氷山の一角」にすぎず、行動の背景にある問題に目を向けることが大切、という氷山モデルをご紹介しました。 今回は氷山モデルの具体例として、「感覚の違い」を背景として表れる行動について取り上げてみます。 氷山の一角として、こんな行動 ・人が多い空間で耳をふさぐ、突然走り出す ・泣いている人がいると叩こうとしてしまう ・手作りのご飯は口にせ

【言葉の解説】 氷山モデル #9

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービス、という、障がいがある子たちの居場所作りを仕事にしてきました。 今回は子どもたちが見せる行動理解の基本「氷山モデル」について解説します。 注意してもしかっても、止めてくれない、、 人を叩く、物を壊す、トイレに物を流す、手洗い後に水道でばしゃばしゃ遊ぶ、屋外で座り込んだり走り出したり、、 少なくない放課後デイご家族から、こうした「問題行動」についての相談が寄せられます。 一般に、子どもが「悪いこと」をしたら、大人は「怒る・叱る

【言葉の解説】発達支援と定型発達 #8

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービス、という、障がいがある子たちの居場所づくりの仕事をしてきました。 今回は障がい児支援界隈でよく使われる言葉2つについてご紹介します。 発達支援 「なんの仕事してるの?」と誰かに聞かれた時、例えば介護職の方なら「介護の仕事」と答えていると思います。「障がい分野の」「入所施設の」といった言葉を足すこともあるかもしれません。 放課後デイの場合、「介護」的関わりをする場面もありますが、身体的なケアは必要としない子も多く、「介護職」

視覚ツールを取り上げないで #6

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービスという、障がいがある子たちの居場所づくりを仕事にしてきました。 子どもと関わる中で、「通じた」体験が最も重要ではないか(そうに違いない!)と考え、「子ども本人」「関わる大人」「支援者とご家族」「自閉症スペクトラム児」と視点を変えながら「通じた」瞬間は誰と誰の関わりにとっても大切な価値があるよね、と書いてきました。 今回は、発語が少し見られるようになったからといって、大人判断で視覚ツール使用をやめないで!なぜなら通じた体験を阻害

「その子あるある」が信頼関係の基本 #4

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービスという、障がいがある子どもたちの居場所づくりを仕事にしてきました。7年間で出会った子どもたちは70名以上。同じ数のご家族とも出会い、面接をし、日常のちょっとした報告や相談をお聞きしてきました。 子どもと関わる上で「通じる」瞬間が最も大切ではないか(そうに違いない!)と伝えたいシリーズ、第3回は、ご家族との間の「通じる」について。 子どもと関わる仕事に、ご家族との関わりは1セット 仕事として子どもと関わり始めた頃の私の気持ちで

#5 腹落ちした自閉症スペクトラムの捉え方

こんにちは。にわのです。 放課後デイサービス という、障がいがある子どもたちの居場所づくりに7年間携わってきました。 子どもと関わるにあたって「通じた」瞬間が最も大切ではないか(そうに違いない!)と発信したいシリーズ 今回は出会ってきた中で最も多かった、 自閉症スペクトラムの子たちにとっての「通じる」ことの価値 について取り上げ、 自閉症を理解するにあたってオススメの本2冊を紹介します。  自閉症スペクトラムの捉え方 私が出会ってきた子たちの障がい種別を体感でざっくり

'子どもと関わる大人'を育てる時に最も大切なこと #3

こんにちは。にわのです。 「放課後等デイサービス」という、障がいのある子たちの居場所づくりを7年間してきました。内6年は責任者の立場として、職員指導についてもあれこれ考えてきました。 子どもと関わる上で、「心が通じた」瞬間が最も大切にすべきことではないか(そうに違いない)と今週書いています。 今回は、職員指導・職員の成長においても「心が通じた」瞬間を出発点&目標にすることが効果的、という話。 相手のルールにあわせる 「こんにちは」に「こんにちは」が返ってこない、関係性作

コミュニケーションにおける成功体験とは #2

こんにちは、にわのです。 子どもと関わることが好き、中でも「通じ合えた」と思える瞬間が大好きです。 この最後の「へへん」顔を見るのが好きです。 さて、こんな「通じた」体験、実は子どもと関わる上で最重要のことではないか(そうに違いない)、という話を今週書いていこうと思っています。 まずは1回目、コミュニケーションの育ち、という角度から。 何度もやるから自然と身につく 「失敗は成功の母」「好きこそ物の上手なれ」「天才は99%の努力と1%の・・・」 似たようなことわざや格言