氷山モデルの具体例 【見通し不安】 #11
こんにちは。にわのです。
障がいのある子どもたちの支援について発信するシリーズ、今回は「見通し不安」から出てくる行動と対応について、です、
氷山の一角として、こんな行動
こうした行動が見られた場合「見通しが持てていない」ことからくる不安や混乱が背景として考えられます。
「見通しのつかない状況」は発達の遅れがあったり、自閉症を伴う人たちの最も苦手なことの1つと言われています。
先のことが予測できない「くらいのことで」叩いたりあんなに暴れるなんて、と思われてしまうことがありますが、「叩いたり暴れたりしてしまうくらい不安になることなんだ」と理解できるかどうかがポイントです。
氷山の下側にあるもの
初めての場所で働いた日。次に何が起こるのか予測が持てず、身体の疲労とは別に「あー疲れた」と感じた。という経験は誰しもあると思います。
それでも私たちは「18時になれば勤務終わりだからあと〇時間頑張ろう」と逆算できますが、時計が読めない子どもたちの場合はどうでしょう。終わりの見えない中で予測のつかないことが次々起きる状況、、「疲れた」感じや不安な気持ちがぐっと高まる、とイメージできないでしょうか。
更に、自閉症を伴う場合、いくつかの特性から、(時計が読めたとしても)「見通しのつかない状況」での不安は非常に高まりやすいと言われています。
想像することの苦手さ
「多分こうなってこうなるだろう」と先の展開を想像することが苦手なため、予定が示されていない状況は不安を高めます。
聞いて理解することの苦手さ
「視覚優位」という言い方をされたりもしますが、「見て理解する」ことに対して「聞いて理解する」ことは圧倒的に苦手、という人が多いです。口頭での予定説明しかない場合、十分に理解ができておらず、「思っていたことと違う」事態になって混乱してしまう場合があります。
本人たちの感じているこうした不安や混乱を少しでも取り除くため、発達支援の現場では様々な工夫が行われています。
予定の見通し、のための工夫
「事前に、視覚的に、シンプルに」予定を示すことが原則です。
文字が読める場合はメモ書き程度で良いので紙に予定を書いて示すことで、急な変更の場合でも落ち着き具合が変わってきます。また、識字スキルに関わらず予定を確認できるよう、ほとんどの放課後デイでは、イラストつきの「今日の予定表」を目立つ所に掲示しています。
活動間の切り替えが苦手な子に対しては、予定が1つ終わるごとに「その予定の絵カード」を「おしまいボックスに入れる」という視覚的な手続きで切り替えがスムーズになったりする場合があります。
構造化
このように、「簡単に理解できるようにする」しかけのことを「構造化」と呼びます。予定表は「時間の構造化」のためのツールです。
「わかりづらさ」から来る不安や混乱が「問題行動」として表出されているなら、ベストな対応策は「わかりやすくする」ことですよね。
発達支援の現場では、様々な「構造化」によって誰にとってもわかりやすい形に環境を整えることで、ご利用者の安心を生み出す工夫をしています。
以上、見通しが持てない状況が生み出す不安と、解決するための対応の基本、でした。
ではでは。