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#18 「言葉以外の手段」で子どもを動かす 【トレーニングのススメ】

保育園の時間が迫っているのに朝ごはんを食べない!着替えない!
食事中にウロウロ、なのに「ごちそうさまでいいのね」と聞くと全力のノー。どっちやねん!
「お風呂が沸いたら終わり」の約束のyoutubeをいつまでも見続ける、、

子育ては「思うようにならぬ相手(子ども)」との付き合い方修行だな、と感じる日々です。

子どもの行動を変えたい時、「声かけ」だけしか手段がないと、効果が出なくてストレスになったり、段々エスカレートして脅迫めいた声かけだらけになりがちです。

「youtube終われないなら明日から見れないよ」
「お風呂も1人で入らないといけないよ」
「1人で入ったらお化けが出るかもよ」

などなどなど。

私が働いてきた「放課後等デイサービス」という場所には様々な障がいのある子たちがやってきます。言葉の理解が遅れていたり、「聞く」というインプット方法は苦手、という特性を持っていたり。

そんな子たちと意思疎通をしながら楽しくすごすには「言葉以外の関わり方」の引き出しを増やすことが大切になってきます。

今日はそんな「言葉以外の関わり方」をトレーニングすることは、子どもと関わる全ての大人にとって良いことがたくさんあるよね、という話。


「声かけ」のメリットデメリット

相手の行動を変える手段としての「声かけ」。メリットもありますが、実はデメリットもたくさんある、と気づくことがまず一歩目です。

声かけのメリット

なんと言っても、声をかける大人側にとって最も都合が良い手段です。
自分のいる場所から「移動せず」、している作業を「中断せず」、見かけたその場で「間を置かず」働きかけることができます。

声かけのデメリット

子どもを支援する大人にとって最も大切なことは、自分から子どもへ発するメッセージの総量が「肯定的なもの」>「否定的なもの」にすることです。

ところが、これを声かけでちゃんと実践することは、実はとても難しい

四六時中動き回る好奇心モンスターの子どもたちを前にして、つい口にしがちな
「だめ」「やめて」「待って」
を上回る量の
「ありがとう」「嬉しいよ」「素敵だと思う」
を意識せず言える大人は、ほとんどいない、と言っても良いくらいだと感じています。

「声かけ」という手段には、簡単かつ即座に反応できる一方で、つい否定的なリアクションが増えがち、というデメリットがあります。 


「声かけ以外の方法」を身につけるトレーニング

では、「声かけ」以外の方法、言葉以外の手段で行動変容を促すにはどうしたら良いか。

私が放課後デイの職員指導で効果があったと感じているのは「何も言わずに、いつも通りその子と接する」練習です。

「おはよう」「靴脱いで」「トイレに行っておいで」
「おやつはどれにする?2個までね」「その遊び方は危ないよ」「あと10分で終わりね」

といった、毎回当たり前にしている声かけを全て「言葉以外の手段」に置き換えてみる。「声を出したら負けのゲーム」みたいなつもりで取り組んでみてもらいます。

ジェスチャーゲームにも近いので表情や身振り手振りをフル動員したり、タイマーやイラストカードを活用したりして、何とかして子どもたちにメッセージを伝えてみる。

「おはよう」 → 笑顔でハイタッチ
「靴脱いで」 → 靴箱を指差す
「トイレに行っておいで」 →  トイレのドアの前に立って手招き
「おやつはどれにする?2個までね」 → お皿を2つ用意して、選んだものを入れるよう指差す
「その遊び方は危ないよ」 →  手でバツを作る / 何も言わずに近づいてやめさせる / 違う遊びを見せて誘う
「あと10分で終わりね」 →  時計を指差す / タイマーをセットする。 

色々考えて試している内に、「制止」や「禁止」のメッセージも言葉以外の手段で伝えることができるようになってきます。

「声かけ以外」の方法で子どもと関わる引き出しを増やすことができれば、
「良いメッセージは言葉でしっかり伝える」
「制止や禁止と言った否定ニュアンスのメッセージは言葉以外の方法で伝える」
という使い分けができる
ようになってきます。

結果として、
その子にかける言葉の内、「肯定的なもの」>「否定的なもの」という状態を達成することができる。良い支援者に一歩近づきましたね、というトレーニングです。

声かけという「大人にとって最も手軽な手段」が、本当に「子どもの行動を変えるために最適な手段」なのかどうか、トレーニングを通じて疑問を抱き、省みることができるようになっていきます。

以上、「言葉以外の手段」で子どもを動かすことができるようになると良いことがたくさんあります。そのためのトレーニング方法を1つご紹介、という話でした。

ではでは。





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