1時間45分のワープ体験
昨夜の夢の話。
何とも言えない、奇妙で不思議な体験をした気分だった。
昨夜、夢を見た時間は夜中の午前1時〜2時45分の間である。
どうしてこんなにはっきりと時間を覚えているのかというと、1時頃に眠りについて、その不思議な夢を見て2時45分に目が覚めてしまったから。
1時間と45分の不思議体験である。
…
昨夜、眠りにつくと夢を見た。
どこかの街、どこかの温泉旅館。
私はその旅館に一人で泊まりに来たようだった。
昔ながらの旅館らしく、木造建築で古き好き感じが漂う。
廊下を歩く度にミシミシと床から音が響き渡る。
部屋へと案内される。
ここが私の泊まる部屋か、そう思いながら部屋へと入る。
すると、何故だか実家のリビングへとワープする。
見慣れた景色に安心してしまう。
親と姉がテレビを見ている。
ネットフリックスか何かでアニメのハイキューを見ていた。
二人とも笑い声を上げながらテレビの画面に釘付けであった。
私はスマホを取り出してSNSの画面を見ていた。
インスタグラムの確認をして、次にフェイスブックを開いてみる。
すると、フェイスブックの動画が流れてくるページでいきなりエッチな動画が流れ出す。
何故だか分から無いが、スマホの音量設定もMAXになっており、大音量でエッチな動画の音がリビングに響き渡る。
私は「うっわぁ〜!わぁ〜!わぁ〜!わぁ〜!」と大声を発しながらリビングの奥の部屋へと走っていく。
これまた何故だか分からないが、幸いにも親や姉は気がついていなかった。
リビングの奥の部屋で私は必死にスマホの音量ボタン「ー」を押して音量を下げていた(私のスマホは側面に音量の設定が出来る「+」「ー」のボタンがついているタイプ)。
そして、「何で音量MAXになっているんだ!?てか、いきなりエロ動画なんか流れてくるなや!これやから海外からバカにされるねん!街中もスマホの中もポルノばっかりで!」とイライラしながら愚痴っていた。
そんなことを愚痴っていると、側に誰かがやって来て私に声をかける。
「何してんねん!?」
顔を上げてみると、そこには中学・高校と一緒の友人が立っていた。
数年ぶりに見た顔で懐かしく思った。
私はスマホから流れてくるエッチな動画の対処に夢中になっているあまり、全く気がついていなかったのだが、ふと我にかえり辺りを見渡してみると温泉旅館の廊下で踞っていたようだ。
今度は実家のリビングから温泉旅館の廊下へとワープしていた。
私は落ち着きを取り戻しながら友人の質問に答えていた。
「いや、何か知らんけどフェイスブックから急にエロ動画が流れてきてん!」
友人は何も言わずにただニヤニヤしている。
昔の古い温泉旅館らしく、廊下の天井からは裸電球が等間隔で吊るされている。
オレンジ色をしたその電球は、廊下の床の木目一本一本の筋が分かるほどにくっきりと照らしている。
廊下はどこまでも長く続いているように見えた。
奥の方に行くに連れて真っ暗闇で、等間隔に吊るされているオレンジ色の裸電球の明かりも徐々に小さくなっていた。
先に口を開いたのは友人だった。
「で、何でそんな格好してんねん!?」
私は自分の服装なんて全く気にして無かったが、友人からの言葉で自分を見て驚く。
改めて自分の服装を見てみると中学時代の体操服を着ていた。
自分でも何故、この懐かしい格好をしているのか分からなかった。
改めて友人を見てみると、先程までは友人のぼんやりとしたシルエットしか分からなかったのに、今度は友人の服装まで把握出来るようになっていた。
なんと、その友人も同様の格好をしていたのだ。
「いや、お前も同じ格好してるやん!」
…
ここから先のことは全てを思い出せない。
しかしながら、未だ夢の断片として所々覚えている。
…
その友人と温泉旅館にある木造の螺旋階段で立ち話をしていた。
まるでどこかの迎賓館にでもあるような立派な螺旋階段で、木造建築の古めかしい温泉旅館には似つかわしいものだった。
「いつまでおるんや?」
「明日には大阪戻るつもりや。行きたい所があるから、朝から行ってそのまま大阪に戻るわ」
友人はあと何日かその温泉旅館に滞在するみたいだった。
…
そこからはまた覚えていない。
次に思い出せるのは行きたい所に行った後、大阪に戻っている途中での出来事だった。
…
どうも鉄道に乗っていたらしい。
私は途中の駅で乗り換えをしている。
どこの駅か全く分からない。
でも、「Y」の字のように線路とホームが各方面に伸びている構造をしている駅だった。
現代の都会の駅のようにデジタルサイネージなどは一切無く、昔ながらの木造駅舎で頭上には昔から使用されていると思われるホーム案内が天井から吊るされている。
そこには「大阪方面 おおさかほうめん」と柔らかい黒文字で書かれており、案内板の端の方には蜘蛛の巣が張っていた。
私はそのホーム案内を頼りに歩いていたのだが、いつのまにか改札口へと着いてしまった。
大阪へ戻るつもりが改札口を通って外に出ようとしていた。
おそらく、地方のでこかの駅だと思われる。
それでも、ICOCA(JR西日本のIC乗車券)の読み取り機械は設置されていた。
私はその機械にICOCAをタッチする。
しかし、どうも反応がおかしい。
何度タッチしてみても赤いランプが点灯する。
すると駅員がやってきた。
その駅員はまるで俳優の高田純次さんのようにダンディーな方だった。
私がどこの駅から乗車して、どういう経路でやって来た、ということを一生懸命に伝えても、この高田純次さん似の駅員は私の言い分をまともに聞こうとはせず、はぐらかすのであった。
何故だか分からないが、スマホに残っている写真から私の言い分が嘘なのか、本当なのかを確かめると言われて、私は自分のスマホをその高田純次さん似の駅員に見せていた。
すると、他の駅員たちも奥から出て来て、私のスマホを覗き込みながら何かを話し込むのであった。
…
ここから一気に場面が飛んだように思う。
…
駅の改札口に置かれているベンチに私は座っていた。
大阪方面行きの電車は既に出発してしまった。
私はスマホで先程まで宿泊していた温泉旅館に電話をかけていた。
どうやら、この駅が最寄駅のようだった。
結局、この駅で3時間の足止めをくらってしまった上に、大阪方面行きの電車も行ってしまった後でどうしようも無く、その温泉旅館に電話をかけていた。
か細い女性の声がスマホ越しに聞こえてくる。
「はい・・・」
「すいません、先程まで宿泊していた西尾ですが、今晩も泊まれますか?部屋はどこでも良いのですが・・・実は電車に乗り遅れてしまって・・・」
部屋は空いていたのだと思う。
気が付くと温泉旅館にワープしていた。
温泉旅館の正面玄関では黒いTシャツに黒いジーンズを履いた女性の方が待っていてくれた。
電話に出てくれたか細い声の女性かどうかは分からない。
正面玄関で受付をして貰っていると、急に旅館の電気が消えて真っ暗になってしまった。
すると、どこからか仮装した子供たちがやってきては懐中電灯で自分の顔を照らしたりしていた。
そこに友人の姿は見当たらなかった。
先程の女性が子供たちに注意する。
…
ここで目が覚めた。
枕元に置いてあるスマホを確認すると時刻は午前2時45分になっていた。
何とも言えない奇妙な夢を見てしまった。
不思議な感覚で、びっしょりと汗をかいていた。
エアコンの温度を下げる。
そこから私はまた眠りについた。
次はぐっすり眠ることが出来た。