小説「ザ女帝」(6)
16 天皇即位と発病そして薨去
(天智天皇の独白は続く)翌年の天智7年(667)2月、私はようやく即位し天智天皇になった。大化元年(645)に孝徳天皇の皇太子に立って以来、早や二間る20年以上の歳月が流れていた。孝徳・斉明と2代の天皇に仕える長い皇太子時代だったが、後半の10数年、斉明天皇時代には高齢の母天皇に代って実質的にはずっと天皇の仕事をして来た。また、母の崩御後の7年間は称制ではあったが、全く天皇の気持ちで政に取り組んで来たから、即位したからと言って仕事や気持は何ら変