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「出る杭は打たれる」かつ「出る杭を打つ」日本人

【本論の要点】
・日本人は「出る杭は打たれる」「出る杭を打つ」に分かれている
・「出る杭を打つ」側は「同調圧力」を利用してイノベーションをつぶそうとする。それによりイノベーションの「デフレスパイラル」が起こり、会社や組織を衰退に向かわせる
・そこから脱却するには「お互いを尊重すること」「意識改革」が必要である

先日、大阪大学の研究チームが『日本経済の低迷の根本的原因は日本人のメンタル部分にあるのではないか』という研究結果を発表した。

研究結果によると、日本人は海外の人に比べて「他人の足を引っ張る」傾向にあり、簡単にまとめると「意地悪な」人が多いというのだ。

この研究結果は日本の「経済とメンタル」の関係性を表しているが、筆者はこれらに加えて、「日本人特有の『同調圧力』の強さ」もここから分析できるのではないかと考える。

今回は、2つの研究結果を踏まえた意見とともに、タイトルにもある、日本人どうしの「出る杭は打たれる・出る杭を打つ」関係性についても述べていきたい。

「出る杭は打たれる」日本人

まずは「出る杭は打たれる」側についてだ。日本人のカテゴリーでいうと「マイノリティー(少数派)」に属する方である。

そもそも「出る杭は打たれる」ということわざは、英語に直しても直訳でしかならない(Google検索では「The stakes that come out are struck」と出る)。つまり「出る杭は打たれる」というのは日本社会特有の風潮なのである。

「マジョリティー(多数派)がすべて」
「マジョリティーに属しておけば何の危害もなく生きていける」

といわんばかりに、マジョリティー側に属したがる日本社会において、マイノリティーからすればとても生きづらい世の中である。特に最近のこのご時世では、さらにそれが加速し、マイノリティーに対して”差別的”な言動も見られるようになってきた。

筆者はもちろんそのような動きに対して断固反対である。それは上記のようなことだけではなく、「マイノリティーに対する尊重がない」ことへの反発でもある。

昨今日本における生産性向上のために、イノベーションを起こす運動が盛んに行われている。その運動を起こす分には全く問題ないのだが、そもそも運動を起こす前に「イノベーションを起こすための環境は整っているのか?」ということを問わねばならない。

イノベーションというのは簡単には起こせるものではない。かといって大人数集めてできるものかといわれると、意見の対立などで時間だけが過ぎていくので、できる可能性は低い。

そういった時に、マイノリティーの意見というのはイノベーションにとってとても貴重なものとなる。大多数の人が持つ考えであふれている中ではありえない視点からの意見によって、思いがけないところから視野が広がり、物事が進む可能性がある。

マイノリティーの意見に対して頭ごなしに否定するのではなく、「何かヒントがあるのでは」と前向きな受け止め方をすると、「出る杭は打たれる」ということはなくなるのではないかと思う。


「出る杭を打つ」日本人

続いて「出る杭を打つ」側である。上記でも述べたようにここでは「マジョリティー(多数派)」を指す。

マジョリティーにとっての最大の武器は「同調圧力」である。日本社会特有の「強い同調圧力」を利用して、マイノリティーに対して批判を繰り返している。

最初に紹介した記事の中にも、「何か新しいことをすると声高な批判が起き、事業がスムーズに進まない」とあるが、筆者もこれに同意した意見を持っている。

何かイノベーションを起こそうとすると、必ずといっていいくらい、それを阻止する勢力が表れ、批判の大合唱が起こる。しかし、それの殆どは「自分が」不利益を被りたくないことからくるものに過ぎない。
また、批判をする人が会社の中で割と立場の高い人で占めている(経営層ではなく、一部署の部長&課長クラス)状況が多い。彼らこそ「同調圧力」を利用して、自分たちの部下も味方につけることができ”出る杭を打とう”とすることで、自分たちの利権を守ったり責任転嫁を図ろうとする。

当然こういった状況では、イノベーションを起こすたびに失敗となり、最終的には誰も新しいことをしたくなくなる「何の特長もないただの”会社”組織」になってしまうのだ。

こういった状態を筆者はイノベーションの「デフレスパイラル」と呼ぶことにした。

「デフレスパイラル」とは本来経済学用語で、『物価が下落し、それに合わせて企業の収益が悪化し、家計の賃金が下がることで、消費が減少する。それによってさらに物価が下落する状態』のことを指す。

ここでいうイノベーションの「デフレスパイラル」とは、

①業績拡大・回復のためにイノベーションを起こそうと計画を立てる
②それに対して「変化を嫌う勢力」から批判が噴出する
③同調圧力も加わり、協力相手がいなくなる
④最終的にそのイノベーションに失敗する(行ったとしても出来損ない)
⑤しかしその間にも世の中の情勢変化により会社の業績は悪化を続ける
⑥会社からイノベーションを起こすよう全体指示が飛んでくる

①業績回復のためにイノベーションを起こそうと計画を立てる
(以下②~⑥の繰り返し)

という状態を指す。

こうしてイノベーションが起こらない「何の特長もないただの”会社”組織」というのはいずれ淘汰されるのである。

「出る杭を打つ」ことは、相手(「出る杭は打たれる」側)にとっても自分にとっても何らメリットはない。


イノベーションの「デフレスパイラル」から脱却するためには・・・

ここまで「出る杭は打たれる」「出る杭を打つ」双方について述べてきた。

その上でイノベーションの「デフレスパイラル」は会社や組織をつぶすことに繋がると述べてきた。

では、そこから脱却するためにはどうすればよいのだろうか?

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