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#日記
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 .03.1
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
一番初めはこちらから。
このお話は、こちらの続きです。
第三話『ドラマツルギーの表舞台』
店先の石畳の上で、確かに狭くなっていく空を晏理は見つめていた。不気味に笑う雲が、二羽のカラスを吸い込んでいくところが目に映った。
(晴れるといいけどな......。)
openの看板をかけ、店の扉を開けて中に入ると、入れ替わるようにサキが中から出てく
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 02'
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
一番初めはこちらから。
このお話は、こちらの続きです。
第二話『白雪姫の遺言』After Story
老紳士は家路に着いた。
「おかえり父さん。箱は開いた?」
老紳士は、帽子を取り、ジャケットをハンガーにかけ、椅子に座った。
「開いたよ。有能な鍵屋さんでねえ。なんでも、中身は有名な学者の論文の下書きらしい。アラン・チューリングって知ってる
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 02.3
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
一番初めはこちらから。
このお話はこちらの続きです。
第二話『白雪姫の遺言』
「え...。本当に?......見せて。」
いつの間にかベッドの上でサキと遊んでいた虎史がその言葉を聞いて、驚いたように飛び起きて、その書物を見にきた。
「何か知ってるの?」
「fish...zebra...すごい。こんなことがこの時代に?」
「これはすごいも
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 02.2
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
一番初めはこちらから。
このお話は、こちらの続きです。
第二話『白雪姫の遺言』
奥で作業していた虎史が、ノートパソコンと紙とペンを持って表れた。
「晏理、大丈夫?開きそう?......あ。こんにちは。虎史と申します。」
老紳士に向き直った虎史は丁寧に挨拶した後、木箱の鍵の方を向いた。
「虎史、ありがとう。とりあえず、今この文字列を平文に
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 .02.1
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
最初はこちらから
第二話『白雪姫の遺言』
朝に、窓に付いていた露はもうほとんどが消えて無くなっていた。
窓枠についた最後の一雫の露が外の世界を映していた。その露が映し出す世界はある場所ばかりが大きく強調されて見えて、窓から見えるそれとは性質を異にしているように思われた。
「僕らが見ている世界も、きっとこんな風に変な部分が強調された世界なん
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 .01'
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
***第一話の続きです***
初めはこちら
第一話『オセロの行末』~After Story~
〜花言葉:移り気〜
清楚な女性は、店の外に出た。
「よかった。彼は、浮気なんてしてなかった。あの女に微笑みかけているように見えても、私だけを好いてくれるんだわ。
早く帰って、彼の部屋にスマホを戻さないと。」
ヴヴヴ...ヴヴヴ...
「
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 .01
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
***prologueの続きです***
第一話『浮気オセロの行末』
あれだけ降っていた雨は止み、ひばりが鳴くような穏やかな朝だった。
一通りの支度を終えた晏理は店の看板をclosedからopenに変えるため、外に出た。昨晩の雨で濡れた石畳風の道と重い空気、匂い。それに不釣り合いな透明感のある空の青さに気持ちが不安定になる。(きっとこの空に
『どこにでもある鍵屋...UNLOCK』 .00
開かなくなったもの、なんでも開けます。 by 鍵屋
〜prologue〜
稲光が聞こえる。その大きな音によって静寂が強調されるような真夜中のことだった。
決して明るくはない暖かい色の電気の下で、木材の香りが高い湿度によって鼻に運ばれてくる。
雷の音に反応し、一人の男が突っ伏していた机から徐に頭をもたげた。数回まばたきをした後、朧げな灯の中で、ベッドに眠るもう一人の男とその隣で丸まっている三毛
『春霞』 part.3
フィクションです。
『春霞』、『春霞』part.2の続編となっております。
キッチンタイマーが90分にセットされた。
「さて。90分ほど時間がありますが。何をしましょうか。」
時を刻み始めたそのタイマーはこの木の香り漂うダイニングに、唯一そぐわないのデジタルなものと言っても過言ではなかった。
「90分後に何かあるのですか?」
私は単純に気になったことを聞いた。
「90分後には健介をこちらの世界
『春霞』Part.2
『春霞』のつづきとなっております。
短編小説です。
「おはようございます。」
昨晩は、意識がまどろんでいる状態で眠りについたらしく、起きたときに状況を理解するのに多少の時間がかかった。カーテンから漏れる光を見て、体をなんとか起こし、寝室らしき部屋を出るとダイニングテーブルに拓哉さんと見知らぬ青年が座っていた。体型は細身でいて、その乱れた髪と服装のイメージから、高身長と認識するのはもう少し後にな
『花火と夜のあつい夏』
短編小説です。
「花火見に行きませんか?」
「花火...苦手なんですよね。音が。」
「音ですか?」
「ええ。あの、空気を裂いた音がそのまま胸に突き刺さる感じが...苦手です。」
「なるほど。では、手持ち花火はどうです。浴衣を着て、そこの河原で、二人で。」
「...それなら。少しなら。」
「決まりですね。」
「浴衣お似合いですね。きれいです。」
「ありがとうございます。久々に浴衣なんて着ましたよ