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友人宅にて、「noteの効果」を実感した件

先日、会社員時代の同僚宅にお邪魔することになった。

数年ほど休職中の彼女。
平日だったので旦那さんは仕事でおらず、家には、3歳のメス猫ちゃんが一匹いるとのこと。

普段会うときは、たいがい外で会うのだが、今回は家にお呼ばれしたため、ネコちゃんとも遊べることに気づいたわたしは、より一層ウキウキしていた。

自慢じゃないが、イヤはっきりと自慢するが、わたしはネコに好かれるタイプなのだ。


わたしは犬しか飼ったことはないのだが、小さな頃より、意外と野良猫でも「どうもこんにちは」とわたしのところに近寄ってきた。

そして大人になってからも、
別の友人宅に遊びに行ったとき、ネコが初対面にも関わらず、わたしがリビングの床にひざをつけ正座したとたんに、ひざに乗っかってきて、カラダをのばして首に抱きついてきたことがあった。


それを見た友人が「そんな姿見たことがないっ!!」とやきもちを焼いたので、わたしは気をよくして、ネコの背中を存分に撫でまわし、脳内でオキシトシンを出しまくりながら、

わたしは案外ネコに好かれるタイプかもしれん


わたしの数少ない「自慢の箱」の中に、
「人たらし」ならぬ「ネコたらし」を入れておいた。


そして、今回は、3歳のネコである。
まだまだ子供じゃないのっ♡


こりゃ遊んでやらにゃ あかん、
イヤむしろ私が遊んでもらわなくてはならん


もともとは、ネコカフェにいた保護ネコが生んだ赤ちゃんだそうで、生まれて半年ほどは ネコカフェでたくさんのお客さんに可愛がられまくられたネコちゃんらしい。

人に慣れまくりのネコちゃん♡

くぅ~

なにやら「かまってちゃんの甘ったれ」の性格だそうだから、こりゃー遊びがいがあるぞ……友達としゃべっている場合じゃなくなるかもしれん……。

体力使いそうだなぁ♡


そんな気持ちで、彼女の家に「おじゃましまーす」とリビングにとことこ歩いてゆくと、

ネコはわたしの姿を見て、3秒ほど値踏みしたあと、目にも止まらぬスピードで私の横を通り抜け、姿を消した。





あ………





…………





イヤ、別に、友人とおしゃべりにしにきただけですし。

むしろ、これが普通のネコの態度ですし。

逆に友人とのおしゃべりに集中できますし。


前々回の記事で書いた「すっぱいブドウの合理化」を即座に発動させ、自分を守るわたし。

傷心の気持ちを覆い隠し、こたつの中に脚を突っ込んで、友人が淹れてくれた、なぐさめの紅茶をすすった。


***


それから怒涛のおしゃべりがはじまった。


彼女の実母が去年亡くなったことはLineなどで知っていたのだが、お母さんの闘病生活や、死後の話を皮切りに、

親の病気、親の介護、親の死、親の葬儀、親のお墓、実家の片づけ、親の親族の問題……


親の親の親の……


これで、もしも私たちに子供がいたなら、「子供のあれこれ」が付加されていたことだろう。

とにかく話の中心は、何もかもが中年のそれである。


実家と、義実家と、兄弟姉妹と、
さらに派生して、やっかいなタイプの親戚の話


要するに、親類中のあちこちで小さなボヤが起きていて、それらAとBとが、あるいはBとCとDがつながりあっていて、ところどころで大火事になっている。
愛と憎しみがボウボウと燃え盛り、火消ししようにも、どこからどう水を撒けばいいのか、もはやお手上げ状態なのである(笑)

人が二人以上集まれば、悲しいかな、問題ごとは勃発し続けるのみ。距離が近く 愛情がある分、反転したときの憎しみも尋常ではない。

血のつながりなんて、むしろディスアドバンテージなのかもしれない……ふたりで神妙にうなずきあう。


そうして 話の行き着く先は、とどのつまり「お金」と「死」であった(笑)


***


「ねえねえ、合コンあるってさ」
「えーーー行くの?」
「人数足らんから、参加してってさ」


とある会社で、私と彼女が出会ったのは、二十代前半の頃であった。

「これ、女子のみんなからでぇす♡」

バレンタインデーともなると、男性社員の席に、キャアキャアご挨拶しながら、ひとつずつチョコを渡して歩いた。

若いってことに気づかずに、若さを当たり前に享受して、永遠に歳なんてとるはずがない、そんな風に錯覚していた頃。


自分たちが社の売り上げにロクに貢献できていないお荷物であることにも気づけずに、「給料が安い」とぼやきながら、お給料を自分のためだけに使っていた。

それが今や、これから死ぬまでの間に、いったいどれほど面倒くさいことが待ち受けていて、それらに、どれほど金がかかるのか。

世界の国際会議よりも、重たい話を顔をつき合わせて 真剣に話し合っていた。

乙女の時代はとうの昔に過ぎ去り、あちこちの火事のけむりを吸わないようにと、下を向き、鼻と口をおさえながら、足早に歩いている……


ゴホゴホ

***


淹れてもらった紅茶のお代わりをいただきながら、お茶菓子をつまむ。

「わぁ、これおいしいね……てか、そういえば、音がまったくしないけど、ネコちゃん、大丈夫だよね?」


あまりの怒涛の会話の応酬によりすっかり忘れていたが、私はネコちゃんにフラれたことをハッと思い出した。

ネコちゃんよ、無理やり触ったりしないから、出てきてくれんかのぅ……

おばちゃんは、乙女の時代を失って、金と死のはなしをすることに、切なくなってしまったのじゃよ


トイレを借りる際、廊下をそれとなく見るが、ネコちゃんは気配を消したまま、あたりはシンと静まり返っているのだった。

***


おしゃべりは、第2ラウンドに入った。

こんどは私のはなしになって、母のガンの状況や、脳梗塞の話をする。

そして、以前noteにも書いた、夫とのすったもんだを順を追って彼女に聞かせると、彼女が腹を抱えて笑い転げた。


私の記事の、一番人気の3部作⤵⤵


簡単に説明すると、この3部作は、夫のお母さん&妹さんが東京観光にいらっしゃる際に「息子の暮らす家も見たい」とお母さんが言い出したことからの勃発した、夫婦の大ゲンカの模様を綴った記事なのだが、

このマガジン『若い頃に知りたかった』のテーマから、完全に逸脱した記事にも関わらず、人気を博した(笑)


そんな3部作を、彼女に説明しているときのことだ。


緩急つけて、おもしろおかしく流暢に話せる自分に気づいて、わたしは内心で「あっ!!」と思った。


普段から「話下手」「説明下手」を自覚していた私が、noteに順序立ててストーリーをご紹介していたおかげで、まるでカンペを読み上げるようにして、流れに乗ってペラペラとスムーズに話せたのである。


実は、他にもnoteの下書きとして書いて、「イヤ、これはさすがに公に出せない」と泣く泣く削除した記事があるのだが、その内容も順を追って話すと、彼女が腹をよじらせて笑った。

目の前で、自分の話をききながら大爆笑してくれる姿を見るのは、嬉しいものですね。


noteに書いたおかげで、頭の中がきれいに整理されている。事態の流れや、時間軸に沿ったわたしの心の動きの変化、そして「結局こうなった」という結論を、こんなにも気持ちよく伝えられるとは……

noteにアウトプットしたことの効果を、まさかこんなところで実感するとは思わなかった。


そして思った。

これは、日常会話以外でも使えるのではないかと。


例えば、仕事などで、何かのプレゼンやスピーチをしたり、誰かを説得したり、深刻な状況を打開せねばならないとき。
もしくは私生活で「自分の気持ちを冷静に伝えたいとき」「重大な話を打ち明けなければならないとき」。

一度すべての話すべき言葉を文字として書き起こし、最初から最後まで、ストーリー化しておくのはどうだろう? 

よくプレゼンなどでは、話すべきポイントを、事前に箇条書きにしたりして頭の整理をするが、わたしのような話下手は、箇条書き程度では、本番で人を説得するまでの言葉の流れをつくれない(笑)

だからこその、noteでの「全部まるごと、ストーリー化」。
とっ散らかったパズルのピースを、キレイに組み直しておくのだ。

もちろん、すべてにおいてこんなことをするのはムリなので、「ここぞ」という場面のときに。


……というか、そんなことは、皆すでにやっていることなのだろうか?
というか、普通は、頭の中だけでできるものなのだろうか?(笑)


***

西日が降り注ぎ、彼女の顔をまぶしく照らし始めた頃、わたしは再びハッとする。

わたしをフッたネコちゃんよ、そろそろもう一度くらい、顔を見せてくれてもよかろうもんよ。


友人が、ネコちゃんの名前を呼びながら、部屋をまわって探している。

ネコちゃんは、寝室のベッド下の奥の方に潜りこんで出てこないという。

ごめんよ、ネコちゃん……調子乗ってしゃべり続けちゃって。

あんたのご主人様を、あんたの城を、奪ってごめんよ。


私が機関銃のようにしゃべって、そしてげらげら笑い転げているのを、「うるせーにゃ、邪魔だにゃ」と絶対に思っている。
それは、もう間違いのないことである。ネコじゃなくてもわかる。


私は「帰ります!」と立ち上がり、彼女の「もう少しいいじゃない」という気遣いの言葉を振り切って、彼女宅を後にした。


***

帰りの電車に乗りながら、お礼のLineを送っていると、彼女からネコちゃんの画像が添付されてきた。

しゃべりまくりの邪魔者が消えた後の、超絶リラックスの姿である。







「これがいつもの姿ですけど、なにか?」

女の子なのに、こんなにおまたをおっぴろげて くつろいじゃって……


画面越しに、

「あたしに触ろうなんて、100年早いのよ!」


とあざ笑っているかのようであった。

***

「ネコに好かれる」というひそかな自負はあっけなく砕け散った。

しかしその代わりに家の中で二人きり、人目も気にせず ぶっちゃけ話に集中できた。noteの記事をそのまま発表するようなしゃべりは、わたしの話下手・説明下手の苦手意識をすこし和らげてくれた。

前回の記事では、noteを皮肉ったが、今回は、note様に頭を下げ、「いろいろ書いてすみませんでした」と伝えたい。

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