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私立夜宵★図書館【2024/9】

夜宵★の読書は図書館の本と決まってる。

貧乏だったから、本が読みたかったら図書館で借りなさい、って母に言われて育って、図書館は行きつけだった。

だけどこのところ読書量が激減。

今年は意識的に読もうと決意した。

図書館で借りて、夜宵★の心の図書館に入った本をいざご紹介!!



✦『錠剤F』井上荒野

ひとは、「独り」から逃れられない。
著者史上最もグロテスクで怖い10の物語から成る、最高精度の短編小説集。

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不協和音のような、ノイズのような、そんな不穏な感性がおもしろい。

読んでて快ではないんだけど、入り込んでしまう。

✦『るん(笑)』酉島伝法

結婚式場に勤める土屋は、38度の熱が続いていた。解熱剤を飲もうとすると妻の真弓に「免疫力の気持ち、なぜ考えてあげない」と責められる(「三十八度通り」)。真弓の母は、全身が末期の「蟠り」で病院のベッドに横になっていた。すぐに退院させられ、今後はその病気を「るん(笑)」と呼ぶ治療法を始めることになる(「千羽びらき」)。真弓の甥の真は、近くの山が昔の地図にはないと知り、登りはじめた。山頂付近で、かわいい新生物を発見する。それは、いまは存在しないネコかもしれなかった(「猫の舌と宇宙耳」)

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科学に否定的で、迷信やスピリチュアルが常識になっている世界の物語。

「38℃を平熱にする」とか、死病を「るん(笑)と呼ぶことにしよう」とか、核心から人の目を逸らす為政者の目くらましに気分が悪くなる。

ばかばかしい、病んだ世界観を、直視するのがきつかった。


✦『もっと悪い妻』桐生夏生

さらっと読める短編集。

最初の『悪い妻』と最後の『もっと悪い妻』が気になった。

どっちの妻も悪い妻だと思わなかった。

悪い妻って何だろう。

女は世間様にいつも評価されて生きている。


✦『男ともだち』千早茜

「ただ話を聞いて優しくしてもらいたい時があるよね。でも、女友だちじゃなくて、そこはやっぱり男友だちじゃなきゃ埋められない。弱ってる時は心の女の部分を慰めてもらいたい。」
「それって永遠じゃない。求めるものが何もなくても離れないなんて。すごい信頼関係だわ。」
「ただの友人だったら、離れるかどうかなんて悩まない。いい?あの坊やはあんたの幻想。そんなもの、さっさとやっちゃって壊してしまいなさい。特別なんかじゃないわ」

本文より

男ともだちについて女ともだち達が語っていて、おもしろい。

どれも合っていて、でもどれも最適解といえないような、「男ともだち」とは個々それぞれな関係性。

分類できないのが「男ともだち」かもしれない。

分類できないものを描き出す、著者の筆力である。




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