鼻水が喉の奥に落ちる後鼻漏とは?10の原因と治療法について解説
鼻水が喉におりてくる後鼻漏(こうびろう)。人間誰しも1日にある程度の量の鼻水が作られ、喉におりてきますが普段はあまり気になりませんよね。
ですが、それも程度が酷くなれば日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。
この記事では後鼻漏についてや、後鼻漏の原因や治療法などについてご紹介していきたいと思います。
後鼻漏チェックリストについてもご紹介しますので、「もしかしたら後鼻漏かな?」と感じている方もぜひ記事を参考にされてみてください。
後鼻漏とは?
後鼻漏とは、鼻水が喉に引っかかったような感じがしたり、喉におりてくる症状のことです。人間の鼻の中には粘膜があり、粘液によって常に湿った状態が保たれています。
また、粘膜の表面は繊毛と呼ばれる目に見えないほど小さな毛に覆われており、粘液でとらえたホコリ・ウイルス・細菌を鼻から喉へ、そして胃へ流すことで有害な異物から自分の身体を守っています。
この粘液が大量にできた場合に鼻水になります。鼻水は2種類に分けることができ、さらっとした鼻水とどろっとした粘度の高い鼻水が混ざって鼻水が作られます。
鼻水の分泌量が増えたり、口呼吸になっていたり、粘液性の鼻水の割合が増加すると、鼻水が喉に流れてくるという不快な後鼻漏の症状を感じることがあります。
後鼻漏が起こる原因はさまざまです。そのため、まずは原因を確かめてそれに合った治療を行う必要があります。
後鼻漏チェックリスト
下記のような症状が1〜2つ該当するという方は、後鼻漏かもしれません。気になる方はクリニックを受診してみるのがおすすめです。
鼻水が喉におりてくる
口臭がする
胃の不快感や膨張感がある
喉がごろごろしたり、痰がからむ
咳き込んだり、咳払いが多い
口の中がねばねばする
口の中に分泌液が溢れる
喉に違和感を感じる
声がかすれている
変な味がするなど、味覚障害の症状がある
仰向けで熟睡することができない、不眠の症状がある
副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻かぜの症状の一つとしても知られる後鼻漏はさまざまな不快な症状を引き起こす原因となりますので、我慢せずに気になる症状を感じた場合は早めに対処するようにするといいでしょう。
後鼻漏の10の原因と治療法
鼻水が喉に落ちてくる後鼻漏が起こる原因や疾患はさまざまです。
ここからは考えられる原因と、その治療法についてご紹介していきたいと思いますのでぜひ参考にしてみてください。
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎は、鼻の周囲にある前頭洞・篩骨洞・上顎洞・蝶形骨洞という副鼻腔や鼻の中の粘膜が炎症を起こして腫れた状態になる病気です。
鼻水や鼻づまり、頭痛、咳が出たり、匂いがわからなくなったりします。また、炎症が続くと鼻茸と呼ばれる鼻ポリープができてしまうことがあります。鼻茸は、鼻や副鼻腔の中の粘膜が炎症によって腫れて垂れ下がったもので、キノコのような形をしています。
慢性副鼻腔炎で3ヶ月以上症状が続いているという場合、10〜20%で鼻茸があると考えられており、約20万人もの人に鼻茸があるとされています。
また、治りにくい副鼻腔炎として知られる好酸球性副鼻腔炎は鼻茸が鼻の左右両側にできやすいということがわかっています。
【治療法】
鼻の洗浄や抗菌剤、ネブライザー療法などで治療しますが、手術を行うケースもあります。
鼻茸(鼻ポリープ)
前述の鼻茸は空気の通り道にできるため、鼻茸ができると鼻づまりが生じます。また、嗅裂という鼻の天井部分に鼻茸ができた場合は、匂いを感じにくくなる場合も。
これらの症状は放っておくと、日常生活に支障が出る場合もありますので早めに対処するようにしましょう。
【治療法】
ステロイドの内服薬や、生物学的製剤という注射薬を使って治療します。鼻茸が大きくなってしまっている場合や、鼻の中の炎症が強く出ている場合には内視鏡を使用した手術を行うこともあります。
手術にかかる時間が重症度によっても変わり、日帰りの場合もあれば一週間ほどの入院が必要となるケースもあります。
腫瘍
鼻の中に鼻茸(鼻ポリープ)ではなく、腫瘍ができるケースもあります。主には良性腫瘍で、この場合も鼻水が喉におりてくる後鼻漏を感じることがあります。
血が混ざった膿性の鼻水や、悪臭のある鼻水の場合、腫瘍ができていたり、腐敗菌やカビによる特殊な感染を起こしている可能性もあるため注意が必要です。
【治療法】
腫瘍の性質に合わせた手術を行い、治療します。
急性鼻炎・慢性鼻炎
急性鼻炎・慢性鼻炎とはいわゆる風邪のことを指します。鼻の中に細菌やウイルスが入ってくると、それらを排出するために鼻水が増加します。
最初はさらさらの鼻水ですが、白血球が細菌やウイルスと戦うことでどろどろした黄色や緑の粘度の高い鼻水になり、喉におりてくる量も増えていきます。
【治療法】
数日で自然に治ることが多いです。一週間ほど症状が続く場合や、粘性の鼻水が増えてきた場合は抗菌剤を使うこともあります。
アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜は異物が入ってくるとそれを排除しようとしますが、この時に過剰な反応が起こるのがアレルギー性鼻炎です。
鼻水や鼻づまり、くしゃみなど鼻炎の症状が出ます。症状は風邪と似ているものの、風邪とは異なりウイルスや細菌ではなくハウスダストや花粉などが原因となっています。
【治療法】
アレルギー性鼻炎には薬物治療と免疫治療、そして手術による治療があります。どの方法にもメリットとデメリットがあるため、一人ひとりの症状を診断した上で最適な治療法が選択されます。
上咽頭炎
上咽頭とは、鼻の奥と喉のつながった部分のことです。上咽頭に違和感や痛みを感じることが続いているという場合、もしかしたら上咽頭炎になっているかもしれません。
後鼻漏のほか、副鼻腔炎と症状が似ているため、X線検査や内視鏡による検査を行います。頭痛やめまい、肩凝りや首のこりに関連していることもあるとされています。
【治療法】
上咽頭擦過療法(Bスポット療法)といい、医療用の細長い綿棒を鼻か喉から差し入れ、炎症を起こしている上咽頭の患部に抗炎症薬を塗って治療します。また、鼻洗浄や抗菌剤による治療などもあります。
逆流性食道炎・咽喉頭酸逆流症
逆流性食道炎とは、胃で消化途中の食べ物が食道に逆流してしまい、食道が胃酸によって炎症を起こすことでさまざまな症状を引き起こす病気のことです。
胸焼けや胸の痛みなどの症状があり、日本人には少ない病気とされていましたが、食生活の変化などにより近年患者数が増えてきたと言われています。
胃酸が上咽頭や喉にまで逆流した場合は咽喉頭酸逆流症と呼ばれ、後鼻漏のほか、声がかすれる、耳が痛くなる、咳が出るなどの症状があります。
【治療法】
生活習慣の改善や、胃酸の逆流を抑制する薬で治療します。
トーンワルト病
嚢胞と呼ばれる袋が上咽頭にできる疾患で、大人の4%以下に見られるとも言われています。炎症を起こしてかさぶたがくっつくタイプと、貯留嚢胞と言って中に液体を貯めるタイプの2つがあり、どちらの場合も後鼻漏の症状があります。
【治療法】
上咽頭炎と同じく上咽頭擦過療法(Bスポット療法)により患部に抗炎症薬を塗布する治療や鼻洗浄、抗菌剤による治療のほか、嚢胞となっている場合は手術を行うこともあります。
加齢
鼻や喉の繊毛運動は、加齢とともに低下していきます。また、身体全体が乾燥していくため粘液性のどろどろした鼻水の割合が増え、それによって後鼻漏が起こることがあります。
【治療法】
加齢によるもののため症状をなくすことは困難であり、緩和治療を行います。
粘膜にうるおいを与える漢方、去痰剤などを使用します。
感覚障害
後鼻漏の原因を確かめるため、内視鏡検査やレントゲン検査、CT検査などさまざまな手段で詳細な検査を行っても、原因がわからないというケースも中には存在します。
これはどろどろした粘液性の鼻水が増えたことや、鼻の中の繊毛運動が検査ではわからない程度に機能低下したということが考えられますが、原因がわからないというケースでは、感覚障害が起こっているかもしれません。
鼻から喉へ正常に流れていく鼻水を感覚としてとらえてしまうことで後鼻漏となります。
【治療法】
鼻水は誰でも毎日ある程度の量は分泌されるものであり、正常な鼻水の分泌を止めることはできません。
感覚障害の場合は、抗うつ剤や安定剤を使用することで症状をやわらげる場合があります。
まとめ
後鼻漏が起こる原因とその原因に対するそれぞれの治療法についてご紹介させていただきましたが参考になりましたか?
鼻水が喉におりてくる後鼻漏は、さまざまな原因によって引き起こされます。どのような原因で後鼻漏が起きているかは、内視鏡検査や画像検査などによって診断できることも多いですが、中には原因がわからないケースもあります。
後鼻漏の症状が続いて不快感を感じているという場合には、早めに耳鼻科専門医による検査を受けるようにするのがおすすめです。