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ルーヴル美術館展と、ミニマルバッグへの憧れ

先日の休み。やっとルーヴル美術館展に行けた。行きたい行きたいと思いながら先延ばしにしていて、なんとか滑り込みセーフ。意外とわたしみたいなひとは多いのか、まあ混んでいた。雨が上がって、また明日には降るよという日の、谷間の曇り空。傘をささずにてくてく歩いた。


夕刻に近い時間に。入口までのこの場所、写真を撮っているひとも多かった。

「ルーヴルには愛がある」のだそうだ。ほうほう、"LOUVRE"の中に"LOVE"が入っている。ルーヴル美術館に所蔵されている作品のうち、どのくらいを占めているのかは知らないが、今回展示されていた作品の多くに(というか、おそらくほぼ全てが)キリスト教の愛が盛り込まれているというか、切り取られているというか、映し出されていた。イエス・キリストの愛と、聖母マリアの愛と、人間の、人間同士の愛。それぞれの象徴は違えど、グラデーションのように重なり合う部分と相違の部分が入り混じっているように見えた。

有名な、「『放蕩息子』のたとえ」を題材にしている作品もいくつかあった。作品ごとに、息子の表情も、出迎える父の表情も、取り巻く女性たちの表情も異なっているのが興味深い。

男女の奔放な愛を描くことが流行った時代の有名な作品として、フラゴナールの『かんぬき』が展示されていた。

ジャン=オノレ・フラゴナール「かんぬき」 1777-1778年頃 油彩/カンヴァス

『かんぬき』はフラゴナールが残した作品の中でも最も有名なものの1つです。慌ただしくベッドルームに入ってきた男女の様子を描いており、タイトル通り男性は部屋に人が入って来られないようかんぬきを掛けています。
一般的には恋人同士の情熱的な愛のシーンと解釈できますが、別の解釈では男性側の一方的な求愛であり、合意ではない関係の始まりとする説もあります。かんぬきは外から人を入れないためだけでなく、女性が簡単に外に出られないようにかけられたのかもしれません。

なるほど、このような男女愛の関係(を想像すること)が、当時の上流階級のあいだで盛り上がる要素としてあったらしい。おそらく当時、絵画やその他芸術はお金持ち上流階級の人々の道楽であっただろうから、庶民の実際的恋愛とは少し乖離しているかもしれない。つまり、このようにちょっとSMぽい(?)要素が入っていることにはいくらかドキドキしたのだろう。きっと当時の上流階級の人々は、宗教に敬虔の念が深く、様々な制約の中で生きていただろうから、初めてそのテの映像を見た思春期の子みたいな妄想の暴走ぶりがあったのかな。知らんけど。
それにしても、扉のかんぬきの位置、ちょっと高すぎやしないだろうか? そもそもの前提で、おんな子どもが触れることのできない高さにあるような気がする。「部屋の入出に関しての権利」が男性にしかないような時代だったのか。

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美術館へ行ったこの日、所用で表参道を通った。
緑がきれいだな。大きな通りから少し入ると一気に静かになる。あれだけひとのいる都会から急にしんとした空気になって、近くで鳥の声が聞こえる。

用事を済ませるまでのあいだに、ABC(青山ブックセンター)へ行った。…だめだ、この本屋は品ぞろえがドンピシャ過ぎて物欲が止まらない。「雨の日セール」をやっていたが、洋書の写真集が8%オフになるんだっけ? まあ、今日は写真集はいいや。
入ってすぐの平積みコーナーからしてもうだめで(褒めてる)、そこに積まれている中から、結局一冊買ってしまった。『応答、しつづけよ』。
noteの記事も見つけた。

とても丁寧に解説されているので、ぜひ。人類学、最近気になるテーマである。わたしも読了したら感想を書いてみようかな。難しそうだけれど。
あとは、かねてより欲しかった文学ムック『たべるのがおそい』のバックナンバーを購入。特集は「ミステリ狩り」。

がんばってがんばって、購入は二冊まで。昔、愛読していた小説で「本は持つものではなく読むもの」という名言を目にして以来、できるだけ本は図書館で借りて読み、どうしても気に入るものだけ、手元に置きたいと思うものだけ買うようにしているのだが、ABCに来るとその名言が頭からすっぽり抜けてしまう。
ああいつまでもいられそう、と、うっとり浸りながら、しかし時計を見て焦り会計して店を出る。にやにや、ほくほく。外は傘をささずに歩けるくらいの小雨だった。

リュックに二冊の本を入れる。ファスナーを閉めて、と持ち手部分に手を触れたら、リュックが壊れた。


リュック重すぎてちぎれた…?

marimekk…ああ、息絶えてしまった。って、ダイイングメッセージ?
たしかにその日、わたしは購入した二冊の他に持ち歩き用の本も持参していたし、飲み物も入れていたし、折りたたみ傘も入れていたから重かったけれど。いや、いつも荷物重めだからな。荷物重め女子。
わたしには結構値の張るリュックだったから、数年酷使していたとは言え皮がちぎれるなんてショックだった。わたしの使い方が荒いみたいで。丁寧に使っていたとも言い難いけれども、それでもかなしい。

荷物重め女子、卒業しろってことか。ちょっとそこまで買い物、というとき以外、飲み物は絶対いるし(500mlのペットボトルレベルの容量で)、本も持ち歩きたい。そういえば彼と暮らしていたころは、危機管理の一環として通帳等の貴重品や日記、最低限のお泊りグッズも持ち歩いていたから、毎日「旅行?」というほどの荷物だった。とりあえずいまは、そこから脱出している。
そろそろ、片手に収まるほどのバッグで出かけてみようか。今年下半期の目標「小さなバッグでお出かけできる女になる」。決めた!


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