ふとーこーエッセイ【14】パンチのある通信制高校
パンチのある通信制高校
夏前からはじまったカウンセリングは
両手に納まらない数を重ねていた。
季節は、すっかり肌寒くなり
もうすぐ、冬にさしかかろうとしている。
「ずっとがんばってたんだね…(笑)」
「…いまと、全然ちがうね(笑)」
最近、息子からこんな言葉がでるようになった。
カウンセラーとの対話で、
自分の軌跡をたどり
自分の気持ちを振り返る。
過去の1つ1つのピースが
徐々に整理されて、1枚の絵が完成していくように。
そして、それを俯瞰(ふかん)で眺める。
無意識に自分を縛っていた
「ねばならない」に気づき
1つ1つほどいていく。
身の丈に合わない
「こだわりや執着」を
1つ1つ捨てていく。
ようやく「自分」を
受け入れことができたみたいだ。
ホントによかった…
これからのことは、
まだ先の話…
家族がいくら言っても全然ダメだったから。
家族でも学校でもない
息子にとって何者でもない第三者が
必要だった…
本当に良かった(泣)
頑なな息子の心を
強引にこじ開けた形だったかもしれない。
でも、引かなくてよかった!
ここだけは、譲らなくてよかった!
※ ※ ※
まだ完全ではないけれど
一皮むけた息子を連れて、
のんびりとみんなで温泉に行くことにした。
同級生はというと、これからが受験本番。
このピリピリした空気が漂う街から抜け出そう。
わが家だけが、異次元に行くみたいだった。
子どもが大きくなったって、同じだ。
誰かが転んだときは
このチームで乗り切ればいい。
温泉の帰り道、
小洒落た外観のカフェを見つけた。
休憩できるドライブインを探していたから、
思わず車を停め、吸い込まれるように店内へ入った。
外からはわからなかったが、そこは本屋だった。
お茶だけしてもいいし
買った本をカフェで読むもよし、的な。
店内を散策し、ふと目に入った書籍。
「今の学校教育に物申す」
「学校制度はもう古い!」
こんな宣伝文句が大きく帯に書かれていた。
息子が不登校こうなってからは
関連本を読み漁って、右往左往していたが、
この角度から書かれた内容の本は、初めてだった。
たぶん、このときの私は、
こんなフレーズを受信するモードになっていたのだと思う。
横並びの平均的な子を量産するだけの学校
教師に忖度しなければ高校に行けないしみ、
1度道から外れたら2度と戻れない閉塞感
学校ってトコは、違和感だらけだ、と思っていたから。
まぁ、息子が不登校にならなければ
そんな風に考えたりはしなかったんだけど。
むしろわたしは、「あっち側の人間」だったから。
それはそうと…
わりと元気になってきた息子には申し訳ないが、
進学まであと4ヶ月という時期になり
のんびり温泉に浸かっている場合でもないと…
頭の片隅では
高校をどうしたらいいのか、
真剣に考えて始めたときだった。
通信制については、
すでにネットで検索したり、
資料請求してみたりと動いてはいた。
しかし、どこも
しっくり来ない、決め手に欠ける
パンチがないと、どこかモヤモヤしていた。
躊躇なく本を手に取って
パラパラと読みすすめていくと、
「いまの学校がいかに人を教育する場として間違っていて、
それにほとんどの人が気づかずに通っている」
そのようなテーマを軸に、
根拠となる枝葉的内容がつらつらと書かれていた。
著者は、自らこの問題にメスをいれるために
【新しく高校を作った】と締めくくられていた。
(え?高校ってそんな簡単に作れるの?)
このくらいのパンチが欲しかった。
もっと熟読したい!
つか、飛ばし読みとは言え
立ち読みレベルを超えて、まぁまぁ読んでもーた。
(買うから許してー)
家に戻ってから、さっそく読破。
(うん、この学校、面白そう!!)
著者は、ホリエモンこと堀江貴文さん。
学校を立ち上げたのも堀江さんだった。
立ち上げに協力した人には
よくテレビで見かける
教育コメントテーターの名前もあった。
すぐにホームページを検索。
くまなくサイトをチェックした。
まだできたばかりの高校か…
う〜ん…?
サイトだけではザックリしかわからんな。
保護者説明会?
直近の日程が記載されている。
もう秋冬だから、来年度の募集のために
数回にわたり、関東や関西で開催が予定されていた。
丸一日、脳内で反芻(はんすう)し、申し込んだ。
わたしは、直感で動く!
トリガーとなった、あの塾の暴君には、
直感が凶とでた…(悲)
正直、あまり当てにならない「直感」だ…(笑)
息子には何かを提案するのに
とても気を遣う…
やっと整理できた脳内に
また新しい不安を入れたくはなかったが
なにせ、時は待ってはくれない。
本を見せたり、サイトで説明して
息子を誘ってみたが、
あっさり「行かない」と言われてしまった…
また頑になっている。
「学校に通うこと自体、まだ自信ない…」
言葉が出なかった…
まだどんな学校かもわからないので、
うまくプレゼンできなかったが、
親が勝手に行くのには
反対しなかった。
とりあえず、わたし達で行って、
中身をのぞいてこよう。
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