マガジンのカバー画像

◼︎詩、たまに小説◼︎

168
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

増幅☆

増幅器の取り付けられた、なんか大地の俺は、来たる都の不変の摂理と札付きの『奥蘭箱』のやうやうたる賛祝事に、不思議と安心を持たせかけ、増幅する。やったー。 振れ幅と車両の困ぱいに、村人と猿人は手を組んで投げ輪をまわし、自らの言語と引き換えにそのあどけない弱色毛を線路に敷いたのだ! 俺にはわかっている。お前のその眼、その腕、その耳たぶに反映される高来の暴虐が! その増幅が! お前たちの無邪気な生活が、麗しい紺碧の張り裂けそうな鉄道が、とにかくとりあえず増幅しているのが! (

ト門

賊心なき衆人の、今来盛んな 『白役定』の彼の燦爛な流説に、 天啓たる御懇采の聞事の 愚弄ばかりが立拠する。 清家の荒行が茫の責符で 破門する百落子。 その白薄の蓄言。 虚空さえ准名できぬ吾郷の建設、 漠楽の狂言とその下手人。 我が門前の遊立する青蘭の 国家不落の常緑樹となる 芒洋の落とし物、都の外れの 訓従たる理性を一瞥した後、 微力な世相の風上に、 類する無人の責情が列を為す。 高見、光彩、春秋の詠歌、 不惑を走行せず。 傲慢、放埒、吝嗇、 御園を蹂躙す。 敢然

レ状

自滅した退廃、敗着の栄光に 足元を掬われた日常の、 太陽ばかりが幅を利かす事業、 宣言、約束が、 不労の計略あるいは花びらの、 一枚一枚が剥ぎ取られていく理解の 諸様相に、漠然とした冥利の 匙加減にうらぶれた影を 必死の問題とさらうのであった。 そこが久遠の問答に用意した 落下傘のひとくくりの命綱なら、 千“話”の鶴が物語を連れて 猿の都へ困窮する筆致の栄辱を 今更のように我が物顔で 触れて回り、その一面、 その裏側に立つ貴方は 呵責に赦された瑕疵の一雫。 不要と謳われた

鯨☆

不毛な風の諸日法、憂鬱と友愛を割愛した俺ののんきな不当罰則に、お前が増幅する。またお前か? 美よ、不思議よ、尊敬よ。俺はお前の子供じみた妄信と無知からくる奔放に、もうだいぶ前から胸焼けしている。お前は畑泥棒だ。からくりポパイ、からくりピエロだ。 お前は確かに王様だがーーお前は“前を見る方向”が間違っている。お前も早く猿に進化するんだ。陸を歩け。そして服を着ろ。服はかっこいいぞ。 俺たちの言葉が陸を歩き始めた時、俺やお前はどこにいた? 海の底であぐらをかいて文章を書いていた

仮装☆

俺は正義に対して仮装した。加速する健康、不服な平和の真実しかないこけら落としーー俺だ。俺だけがいる広場には、正義があった。奈落の楽調の、群衆にも似た沈黙の行列に、俺は裸の仮装をして紛れ込んだ。 逮捕=俺の日常、俺の通常。俺の安心であり、俺の家である。裁判=俺の祭、俺の宴。俺はなにぶん自身が世界の根本みたいな存在だからーーなにぶん、力ばかりは有り余っている。なにぶん、なにぶん。ーー俺が、真実が、いま浮世の黙歌を歌い出す。ああ、心地よい地面。 裁判官=俺の友達、俺の教師、俺の

逮捕しないでねん☆

永劫の責苦。うらぶれた蔵屋敷。デュッセルドルフの解雇番、落葉樹。それら諸々の街道と、人々の物語、情景とが、俺の光明な慰安であった。俺の沈下した地盤であった。それは、遥かなる異国の他人事のような美しい横顔の、あの奇特な階調においては、ひとつの勇気であったのだ。そう、俺の尻と尻尾とは、勇者の雷ーーじゃなくて、蕾(つぼみ)なのである。 ここで、時が変わる。思い出よ。歴史よ。放埓な無知の宴ーー、まだお前はそこに居てくれているか? 昔日の蛮行に差す柔らかい日差し、僕は自分の倉庫番を

切磋琢磨☆

大地を分かつ天文の、不断の黙視に打ちやられ、俺は今日も目を回す。手を叩く。ここは俺の神聖な空き地、ディスカリバー号の打ち上げにはちと狭いがーーディス......カバリー? ディスクカリバー? ええい、なんでも一緒だ。友達だ。ーー俺は今日もご機嫌だ。クルり、クルり。回っちゃう。俺。 空を目指してなに語ろう。お前の失敗、お前の欠点、つまるところーーお前の甘美な粗探し、世界の創造だ。重箱でも、揚げ足でもない。取ったり、突いたり、そんな遠回りなことしやしない。俺はお前を食ってやる。

文明☆

俺は文明だ。深紅と深緑、深層心理に溶け込む裸の郵便物ーーそれが文明、つまり俺だ。 俺だけが孤独だった。俺だけが苦悩した。結果ーー無残な光の残渣と無念の債務に励まされーー俺だけが発情した。勝利。 いまにも崩れ落ちそうな葉問、不略の歩兵。ミレーの『日陰』に登場しそうな竜宮殿と殿様方。それらが手紙の奥底に脈打つ叱責の横断となり、はや3000年の勝利を築き上げた。俺の頭と尻。 滅びる前に言っておく。俺は速い。なによりも速い。そこの痛恨の大陸移動速度ーー爪の伸びる速さと同じくらい

鼓動☆

牛乳食べたいな〜。大空の鼓動、大地の鼓動、咲き乱れる稀代の波瀾する蛮族の鼓動がーーとりあえず全部鼓動ーー、明日のしたたかな眼差しにーー、 鼓動する。 拝呈された黙字には、不断の恩給が茫漠として辞されながらも、上記のような壮麗な、ハンブルの祭壇画のような、不問の文事が問題を起こした。つまり、鼓動。 詰問する陽炎、その流然たる砂漠の不満なき遺恨の最中、俺はお前からの手紙を大小縦横に破り捨てた。俺は灰だけを欲している。鼓動。 天翔ける白金のワープ・ループの鉄道を俺は尻に敷い

反乱軍☆

ここは飛行場。俺の家。あどけない車輪のボンバスが、崩れ落ちる大空とともに跋扈(ばっこ)した。躍動した。今日は海に行こう。 目前の祝蘭、花束を欠いた木曜日、木漏れ日の中の伝説の悪魔。海に着いた。 反乱軍が海を泳いでいる。天空の反逆と、落下する堤防だか絵画だかの尻餅矢尻に、お前が噛み付いた。それは食い物じゃないだろう? お前はいつも世話を焼かす。 俺は大都市に埋没し、今日も没入の最中を粛々と仰いで自粛した。こんな痴態の風雲が。俺には全てが物足りない。さぁ、家に帰るか。ここに

なぜ数字の絵は人なのか

猿は算数が得意。ゴリラは数学。人は絵しか描けない。車輪のついた日曜日を、欠けた歯の矢印でせっせと右から左へ証明する。水平線にある街は、どうせ証明できなかった蜃気楼だから、猿は雲の数を数え、明日の都市の行き先をあなた伝で知るしかない。 不可解なエレベーターはここから中央の街へ伸びているが、運ばれる我々論理たちは、未だに天使の微笑みを知らず、妖精のいたずらも知らず、知っているのはただ証明された悪魔ばかりだから、だから人は絵しか描けない。 ナミニンの描く文字の絵は、黒い甲羅と青

今日も僕は

さて。今日も僕は、詩を書こうだなどと試みているわけだけど。というか、さっき書いた。いまは、もう寝る前。フライングして言っておこう、おやすみ。おやすみ、ハイ・ポグニフ(君の名前)。 ここ何日か、僕は少し無理して自分の詩の書き方を変えていってみてる。noteに投稿しても、その詩がどういう詩なのか、良いのか悪いのか、好きなのか嫌いなのか、ちっともわからないからだ。別に誰のせいでもないけど。 これは難しい問題だ。鏡を見ないで自画像を描くようなものではないか。僕は自分が何を書いてい

アントワネス-アントワユーィ1010

大地を動かす群雄の、歴史の途絶えた文言集、諸手で抱えた大空の落し物、宝石の欠けた指輪。俺の手に入れたそれら所望されない宝たちは、今、こうして、幻よりも不確かな、海よりも黒い不快な微笑みとなり、お前の偏屈な視界を占有する。“美しい”という言葉の使い道、見つけられないでいるな? お前はすでに半身埋まっているが、まだ歩けているじゃないか。だからお前は醜いんだ。まん丸い、子供のように無邪気な目、常に何かを持っている両の手。 ただ森に帰ろうとする野蛮人の腕の『車輪』。俺が探していたも

ミレ073

ゆるやかな朝日の残忍な砂漠、夢の足跡を辿ってミレの像、平原、柱の居間へ出た。私の影が見える。この忌々しい相対者、さまざまな崖の切り立つ風の国のひりひりと伝わる呵責の震動、まごうことなき求聞の瞳。 血と肉と、岩と風、音楽と知識、それらを切り分けた永遠の不服に、花束に、建国者の証を携えて、分かつ『下民』が大地を割った。 破られた贖宥状と放埓な詩歌の悪戯書きが、草原の、砂漠の、透明の海原に浮上する。一文字たりとも真実を語らぬあれら黒い朝日ーー。 073。ハチモはポグトジットと共