仮装☆

俺は正義に対して仮装した。加速する健康、不服な平和の真実しかないこけら落としーー俺だ。俺だけがいる広場には、正義があった。奈落の楽調の、群衆にも似た沈黙の行列に、俺は裸の仮装をして紛れ込んだ。

逮捕=俺の日常、俺の通常。俺の安心であり、俺の家である。裁判=俺の祭、俺の宴。俺はなにぶん自身が世界の根本みたいな存在だからーーなにぶん、力ばかりは有り余っている。なにぶん、なにぶん。ーー俺が、真実が、いま浮世の黙歌を歌い出す。ああ、心地よい地面。

裁判官=俺の友達、俺の教師、俺の子供ーー。行くぞ、時だ。ぐずぐずしちゃいられない。出廷だ!

そうか、そうか。お前もここにいたか。ドブネズミの仮装をした人間ども、サイボーグ、ラ・ファイエット。さてはお前も将軍だな? 尻を見ればわかる。尻を出せ。それか、言葉でもいい。俺がお前を審議する。

飽きたーー自分の振りに。大地にはうん十万の仮装した行列が這いつくばってなにかを欲している。運動か? 栄養か? 健康食品。あれもいい。しかし、忘れるな。俺がお前の健康だ。俺がお前の繁栄だ。俺は列車だ。俺に乗れ。仮装しろ。行列。自分の振りはうんざりだ。なるんだ。自分に。なるんだ、自分に、自分にーー。ブツブツ。

(頭大丈夫か?)



***

*アルチュール・ランボーの詩に「俺は正義に対して武装した」というくだりがある。本作『仮装☆』はそのパロディ。

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