【長編小説】(1)別れを告げた半身を探して
オイル缶の中で燃えるゴミ屑の焚き火で、兄のヒレ肉が焼かれている。死体から無造作に切り出された肉片はそこらで拾ってきたような木の枝に刺さっていて、炎が撫でた部分から鮮やかな赤を白く変色させていく。子供の肋骨の内側の肉は小さい。切り出された時は大人の手のひらほどの大きさだったそれは、こんがりと焼ける頃には半分程度まで縮んだ。
薄暗い路地裏のスラムで身を寄せ合って生きてきた実の兄が殺され、バラされ、ヒレ肉を取った残りが腐臭漂う埃っぽい道に放り出されているというのに、アレックス・