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個別最適な学びについて考える(70)ー井上智義(1999)視聴覚メディアと教育方法―認知心理学とコンピュータ科学の応用実践のためにーから

いつもであれば表紙を変えるのですが今回は間に合わずこのまま行かせてもらいます.
また、時間の余裕のある時に差し替えておきます.
気づけば、70記事目です.教育の偉人について考えると合わせれば80以上になります.
以前紹介したアウトプット大全では、100、300、1000の法則があるといいます.まだ100にも達成してません.笑
頑張ります.

本日は、「井上智義(1999)視聴覚メディアと教育方法―認知心理学とコンピュータ科学の応用実践のために.北大路書房,京都」です.では,早速読んでいきましょう!

(3)人間に理解されやすい情報とは
一般にコミュニケーションにとって大切なことは,送り手の意図が正確に受け手に伝わることである。人間は、同じことばを使っていても,それぞれ異なる意味として理解している場合も少なくないので,受け手がわかったと思っても,情報が歪められていたり,大きな誤解が生じる可能性もある。
伝えられるメッセージが複雑になればなるほど,その可能性も大きくなっていく。できるだけコミュニケーションを正確なものにするためには、ひとつには,メッセージとして用いる情報をある程度冗長にしておくことが考えらる。たとえば,ひとつの表現だけでなく,異なる表現で同じことを表わしてみる。
あるいは,ことばで表現するだけでなく絵を併用するというのも,情報を冗長するひとつの例である。さらに,誤解が生じないように,このようなことを言っているのではないということを断っておく必要があるときもある。

井上智義(1999)視聴覚メディアと教育方法―認知心理学とコンピュータ科学の応用実践のために.北大路書房,京都

教師の指示にも言える事だと思って読んでいました.
指示が明瞭でわかりやすいものでないと相手にも伝わりません.
当然,協働で学ぶ時にも意識すべきことでもあると思います.
いろんな示し方で指示も出せると,相手には伝わりやすい可能性もあります.
ここには,子どもたちにも選択の余地があるかなと思います.

(4)画像情報と音声情報が理解に与える影響
文字情報だけではうまく伝わらないものでも、視覚イメージ情報を適切に活用すると理解が促進されることは、これまでみてきたとおりである。次に、画像情報と音声情報を組み合わせた場合の人間の情報の理解は、どのような特徴をもっているのかをみていくことにする。情報が多ければ多いほど、人間の理解は促進されるといえるのであろうか。ここでその答えを述べるとすると、それは状況や活動の目的によるということになる。

図1-6に示す「経験の円錐形」から読み取ることができる。それによると,学習者が教育メディアを通して得ることのできる経験は、抽象的なものから具体的なものまで11段階あり、かなり具体的な映像といえども、学習者にとってはそれほど身近に感じることができないものであり、円錐形の一番下に位置している「直接的な目的的体験」には及ばないことになる。

実際には、実験やさまざまな演示がむずかしい場合に、コンピュータで実験のシミュレーションを行なったり、ビデオやマルチメディア型のコンピュータなどで、音や映像を視聴することになる。このときに、単に学習者が映像や音楽を受け身的に視聴しているとすると、それは、デールの円錐形では、上のほうに示されたより抽象的な段階の経験ということになる。しかし、コンピュータ上のシミュレーションやデモンストレーション時において、学習者が各変数を操作したり、自ら選択肢を選んで、能動的にかかわったとすると、より具体的な経験をしたものと考えることができる。

井上智義(1999)視聴覚メディアと教育方法―認知心理学とコンピュータ科学の応用実践のために.北大路書房,京都

当然,個別最適な学びでも動画や映像が有効的に活用される場面は多くなると思います.
一方でただ視聴するだけであれば,それは言語テキストを見ていることと大差ないものとなる可能性があります.

映像を見る事にも目的が必要であるし,なぜ動くものを見る必要があるのかということは考えておかなければいけませんね.

本日はここまで!また次回の記事でお会いしましょう!


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nanjolno
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