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経営者たちの哲学

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「成長」の哲学、江副浩正を中心に(1/3)

「成長」の哲学、江副浩正を中心に(1/3)

江副浩正は、リクルートの創業者であり、同社を日本初の包括的人材サービス会社に育て上げた経営者だ。2020年度の経済産業省の調査によると、大学発ベンチャーの数は過去最高の2,905社に達している。しかし、リクルートが創業された1960年代には、大学発ベンチャーはほとんど存在していなかった。そんな時代に江副が生み出したリクルートは、昭和最大のベンチャー企業に成長を遂げた。江副の哲学の核心には、「成長」

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「努力」の哲学、松下幸之助を中心に(1/4)

「努力」の哲学、松下幸之助を中心に(1/4)

松下幸之助は、自らの人生において「努力」を何よりも大切にしていた経営者だ。彼は、厳しい環境下でも決して諦めることなく前進し、卓越した実力と謙虚さを兼ね備えた人物として知られている。

松下は、自身の成功の秘訣について次のように語っている。

「私は天からの3つの恵みを受けて生まれた。家が貧しかったこと、体が弱かったこと、小学校までしか進学出来なかったこと」

一見すると不利な条件ばかりに思えるが、

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支えあい ー「仲間」の哲学、本田宗一郎を中心に(2/4)

支えあい ー「仲間」の哲学、本田宗一郎を中心に(2/4)

本田宗一郎は、仲間との支え合いを何よりも大切にしていた。彼にとって、仲間は単なる同僚ではなく、互いの長所を活かし、短所を補い合う存在だった。本田はこう語っている。

本田は、一人一人が自分の強みを最大限に発揮し、仲間と協力することが、成功への鍵だと考えていた。自分の力の足りないところを自覚し、他人の知恵や力を借りることの大切さを説いている。

本田にとって、仲間との信頼関係は何物にも代えがたい財産

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理念 -「努力」の哲学、松下幸之助を中心に(4/4)

理念 -「努力」の哲学、松下幸之助を中心に(4/4)

企業は営利追求だけを目的とするのではないと言えばきれいごとに聞こえるだろうか。松下幸之助は、事業というものは社会に貢献し人々の生活を向上させる存在であるべきだと考えていた。また、企業は公明正大に運営され、私利私欲を追求すべきではないと考えていた。

松下は、企業の目的についてこう語っている。

「一般に、企業の目的は利益の追求にあると言われる。たしかに利益は健全な事業経営を行う上で欠かすことができ

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「人の心に棲んでみよ」 思いやり-「仲間」の哲学、本田宗一郎を中心に(3/4)

「人の心に棲んでみよ」

本田宗一郎は、仲間への思いやりを何よりも大切にしていた。彼は常に、相手の立場に立って考えることを心がけ、それを社員にも求めた。

本田は「人の心に棲んでみよ」という言葉をよく口にしていた。これは、お客様の立場に立ち、どんな商品を本当に望んでいるのかを深く考えることを研究者たちに求めたものだ。本田は、市場調査によって製品を決めることを嫌い、顧客の声を無批判に受け入れることを

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「社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号に過ぎない。」平等-「仲間」の哲学、本田宗一郎を中心に

本田宗一郎は、社内における平等を何よりも大切にしていた。彼は、社長であっても、一般の従業員と同じ技術者の一人に過ぎないと考えていた。

本田は、社長という地位を偉いものだとは考えていなかった。彼はこう語っている。

「社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号に過ぎない。」

社長という役職は、組織における序列を明確にするための単なる記号に過ぎ

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国籍なんちゅうのはただの紙きれだー「夢」の哲学、孫正義を中心に(1/3)

国籍なんちゅうのはただの紙きれだー「夢」の哲学、孫正義を中心に(1/3)

「今まで自分が悩んできた国籍だとか人種だとか同じように悩んでいる人達がいっぱいおる。俺は立派な事業家になってみせて孫正義の名前で、みんな人間は一緒だと証明してみせる。」

孫正義はソフトバンクグループの創業者である。彼が何よりも大切にしてきたのは「夢」だった。常に大きな夢を抱き、その実現に向けて果敢にチャレンジし続けることを説いた。

孫氏の「夢」重視の姿勢は、苦しい生い立ちの中から育まれていった

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「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」-高い山に登るー「夢」の哲学、孫正義を中心に(2/3)

「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」-高い山に登るー「夢」の哲学、孫正義を中心に(2/3)

「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」

孫正義は、「夢」を追求する上で、高い目標を持つことの重要性を常に説いてきた。彼はそれを「高い山に登る」と表現している。

「皆さんにこれだけは伝えたい。志高く。坂本竜馬いわく、『世に生を得るは事を成すにあり。』人生一回きりしかないのだから、この時期に自分が登りたい山を決めてほしい。自分の人生を何に懸けたいのか自問してほしい」

孫正義は、人生にお

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「髪の毛が後退しているのではない、私が前進しているのである」-前を向くー「夢」の哲学、孫正義を中心に3/3

「髪の毛が後退しているのではない、私が前進しているのである」-前を向くー「夢」の哲学、孫正義を中心に3/3

孫正義は、自分の持つ夢の大きさが、人生の結果を大きく左右すると考えている。だからこそ、大きな夢を持つことが大切なのだ。しかし、夢を心の中にとどめておくだけでは、その実現は難しい。夢を言葉にして語ることで、初めて具体的な目標となり、行動へと結びつくのである。

「目標は明確に口に出した方が良い。周りにコミットする事で自分を追い込んで行けるから」

孫正義は、目標を口に出して語ることの効果を強調してい

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経営者たちの哲学(フィロソフィ)―まとめ

経営者たちの哲学(フィロソフィ)―まとめ

我々の生きる現代社会は、目まぐるしい変化と予測不能な未来に満ちている。AI、IoT、ビッグデータ、グローバル化など、かつてない大きな潮流が、私たちの生活や仕事のあり方を根底から覆そうとしている。そうした中で、企業経営のあり方も大きく問われている。単に利益を追求するだけでは立ち行かなくなりつつある。では、これからの時代を生き抜くために、経営者たちは何を大切にし、どのような指針を持つべきなのだろうか。

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最大のリスクは、「人生を後悔すること」;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(1/4)

最大のリスクは、「人生を後悔すること」;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(1/4)

「現代社会において最大のリスクは、「人生を後悔すること」だと思うんです。金銭的なリスクなんて、ある意味、大したことはない。」

三木谷浩史は、楽天グループの創業者である。彼が人生で何より大切にしてきたのは「後悔しないこと」だった。常に全力を尽くし、将来を後悔しないよう生きることを説いてきた。

三木谷の「後悔しない」という哲学は、もともと強い出世志向を持っていた彼が、ハーバード留学と阪神大震災を経

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考えるために行動する;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(2/4)

考えるために行動する;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(2/4)

三木谷浩史は、「後悔しないこと」を何よりも大切にしていた。そのためには、全力で努力し、汗をかくことが不可欠だと考えていた。

「高級スーツに身を包み、気取って話をするより、汗をかきながらでも一生懸命に話をした方が相手がよく聞いてくれることを、僕は経験から学んだ」

楽天市場を立ち上げた当初、三木谷はデモ版を作ってみて、ネット上でモノを買う面白さが表現できると確信した。しかし、当時はまだネットが普及

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ゲームの本質とは何か。それは目標の設定とその達成だ;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(3/4)

ゲームの本質とは何か。それは目標の設定とその達成だ;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(3/4)

「ゲームの本質とは何か。それは目標の設定とその達成だ」

三木谷自身、幼い頃から目標達成への強い意識を持っていた。小学校の授業参観で「つるかめ算」の演習をした際、彼は公式を使わず"手計算"で板書した。正解したものの、教師から無視されたというエピソードがある。しかし、彼の親はこれをみて安心したのだという。この子は物事の本質を見抜ける子であると。つるかめ算の公式はあくまで手段であり、ゴールは答えを導く

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世の中にはスローガンがたくさんある。そのスローガンを具体的な行動目標に落とし込まない限り、それはただの掛け声に終わってしまう。;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(4/4)

世の中にはスローガンがたくさんある。そのスローガンを具体的な行動目標に落とし込まない限り、それはただの掛け声に終わってしまう。;「後悔」の哲学、三木谷浩史を中心に(4/4)

「世の中には、スローガンがたくさんある。スローガンの内容そのものは間違っていなくても、そのスローガンを具体的な行動目標に落し込まない限り、それはただの掛け声に終わってしまう。」

「夢を抱くだけでは意味がないのだ。夢を具体的な目標に組み立て直し、その目標を達成するには具体的に何をしなければならないかを考え抜き、そしてその考え抜いたことを実際にひとつずつ成し遂げていく。自分の持っているすべての能力、

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