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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2023年8月の記事一覧

【8/29,30中日戦●●】ヤクルトの連敗というか終わらない息子の宿題というか

8月31日である。夏休みも終わりである。ヤクルトは連敗中である。いつもの夏である。 8月31日。私は決して宿題を7月中に終わらせるタイプではなかった。というか、ドリル系は張り切って数日で終わらせるのだけれど、読書感想文とか工作みたいな大物を、最後までとっておいてしまうタイプだった。 だから、31日現在、読書感想文も社会のレポートも英語のレポートも終わったと言っていたはずの英語と数学のドリルもあと二日前に急に出してきた全く手付かずの書写のノートも終わっていない息子の気持ちが

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【8/26広島戦●】夏は、続く。マツダで一勝するまで。

毎年恒例、むすめの保育園の時のお友達一家との花火大会。手持ち花火を買ってきて、大人はビール、子どもたちはラムネを飲みながら、花火をする。というだけのことなのだけれど、だいたいいつも夏の終わりあたりの週末にやるので、なんとなく夏の総仕上げみたいな感じで、子どもたちも大人たちも、毎年なんだかとっても楽しみにしている。 週末に開催されるので、毎年もちろんヤクルトの試合がある。いつだったかは、途中までライアンがノーノーの投球をしていて、「いやあでもそのうち打たれると思うよ!」なんて

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【8/25広島戦●】私にできることはトランプくらいなのである。

かわいい仕事仲間と15時から浅草でおいしいワインを飲む約束をしていた。人生相談に乗ってくるわ!と言うと、子どもたちは「・・・・・え?????相談???????ママに??????それは、それだけは、やめた方がいいんじゃない???????」と、言っていた。わかる。 18時くらいには帰ってくるかなーと、言っていたはずが、ワインを飲んでいたら気づけば18時なんてすっかりすぎており、お店で速報を開いて確認する。

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【8/24巨人戦●】上がったり下がったり、そういうものだ。

「強かったヤクルトの面影は、すっかり影を潜めている。」 と、始まるコラムを、起きがけのぼおっとした頭で読む。ちくりと感じる痛みがある。いやいや、強かったヤクルトの前は弱かったヤクルトじゃないか、と、自分に言い聞かせるように思うけれど、まあでもやっぱり、上がって下がってのジェットコースターは、それなりにへこむものである。「いやわかってたけどね」と、また強がりみたいにつぶやく。 野球は結果論だ、みたいなことをよく耳にする。まあ、そうなのかもしれない。そんなことを言えばこの世の

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【8/23巨人戦●】あれもしなきゃこれもしなきゃ…と、焦るときは

なんでこういうことが起こるのかと思うけれども、なんでこういうことが起こるのかということが起こるのが野球なのでもうどうすることもできない。…ああなんでこういうことが起きるんだろう。 ここで阪口くんが抑えてくれたら、本人の自信にもなるだろうな、だからなんとか抑えてほしいね・・・と、息子と話す。阪口くんは、しっかり2アウトまでとっていた。あと少し…あと少し…と、私は思った。だけどあと少しから、あっというまに、勝負はついてしまう。ほんとうに、あっ、と、口にするまに。 「なにが起こ

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【8/20中日戦○】 木澤くんはブルペンの前で、背筋を伸ばして立っていた

「見て、木澤くんがめっちゃ姿勢よく立ってる。」と、息子が言った。ブルペン前で、木澤くんはまっすぐ前をみてぴしっと立ち、ブルペンをボールから守っていた。(神宮という球場は、選手が自ら投球練習中の投手をボールから守るのである。) 出てきづらいところもあっただろうに、とにかくそこにいる木澤くんを見られたことで少し、私はほっとした。 今年はヤクルトが死球を与える側になってしまう試合が、いつもよりも多い。当てられた痛みを何度も感じてきたからこそ、その事実に胸が痛む。相手の野手や、フ

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【8/18,19中日戦○○】誰かの、夢をのせて

8/18中日戦○ アトラクションから出て、速報を開いた私と息子は、思わず顔を見合わせる。なにがあった!!と、二人で騒ぎながら詳細を見ると、武岡くんが勝ち越しのタイムリーを打ち、長岡くんが3ランを打っていた。「ながたけコンビ!!!」と、私と息子は夢の国ディズニーシーで、思わず叫ぶ。 ここのところ、ショートを守ることが増えてきた武岡くんと、ベンチにいる長岡くんの姿を見ては、「ながぴも色々さ、思うところがあるよねきっとね」と、子どもたちと話していた。浦添のサブグラウンドで、一緒

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【8/16横浜戦○】古巣を相手に、投げること。

久々の神宮があまりにも楽しかったらしいむすめが(雨だったというのに)今日も行きたい、というのでチケットを見てみたら、どこの大人気球団だというくらいほぼ満席で、息子と合わせて3席を取るのは難しそうだったので、おとなしく家で見ることにした。 終わらない仕事をなんとか片付けて(いつものごとく終わってはいないけれど)、大急ぎでごはんの準備をする。夏休みのこの、仕事とごはん作りが延々と地続きの感じ、ほんとうに心が休まらない。ぶつぶつ。 そんなわけで、今日はベトナムで買ってきた生春巻

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【8/15横浜戦●】雨の神宮、小さな男の子は応援歌を完璧に歌っていた

とんでもなく負け込んでいる試合で、しかも雨に打たれて、なんだ滝行か?みたいに思えてくる中で。 でもそんな中で、ここでしか、見えない景色がある。 雨上がりの神宮に響く、爆風スランプのランナーがやたら泣けることとか、今日だって神宮花火大会は美しいこととか、雨に打たれたむすめがやけにきれいに見えたこととか、並木くんの足が笑っちゃうくらい速いこととか、8点も差がついてるのに、横浜倒せ!ってごきげんに歌っちゃうライトスタンドとか、そしてバウアーからプロ初ホームランを打っちゃう武岡く

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【8/13阪神戦●】「歩道の隙間から顔をのぞかせる雑草も美しい野生の花となる」

ポール・ペンジャミン(実はポール・オースターのブレーク前の別名義)の『スクイズ・プレー』という小説を読んでいる。チャンドラーのマーローリーズがとにかくとにかくとにかく好きな私にとっては本当にたまらん楽しい小説なのですが、ここにこんな一節がある。 と、いうわけで私は今、雑草とひび割れた舗道と醜さに取り囲まれている。仕方がない、これはもう、日本でもアメリカでも今も昔も変わらない事実なのである。諦めるしかない。 そんなわけで私はまた、解説ぐっちの声に耳をすます。そう、ボロ負けの

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【8/8-12広島戦○○○阪神戦●●】 離島ではないビーチで、見えないものを思う

夏休みで、ベトナムはダナンに行ってきた。ビーチ沿いのレジデンスに三泊、これを書いている時は最初に泊まったレジデンスから移動して、THEリゾートホテルで2泊、猿に囲まれて過ごしていた。朝5時半、南シナ海から少しずつ太陽が昇り、聞こえるのは鳥と猿たちと海の音だけ。「断崖絶壁」という言葉がぴったりな場所に立つこの宿は、「バリのウブドからヌサドゥアの海が見える」みたいな、森と海が一体化したホテルだ。 ダナンは比較的最近人気が出てきたリゾートのようで、でもボホールよりはおそらく長く人

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【8/2,3巨人戦●●8/4中日戦●】うまくいかない時は、俯瞰してみる

かわいい顔をしていっつもスリーベースを打っているのは岡林である。私が中日戦を見るたびにずっと岡林に打たれている気がする。岡林、ああ岡林、岡林。 とにかく打たれまくる試合というのは、打たれるごとに何かを達観していく。8点も9点も10点も11点もさして変わらないわな。と、いう気持ちになっていく。 …いやならない。11点というのはなかなか大きな数字である。でもどうやって取られたかはもう覚えていない。岡林、ああ岡林、岡林。 山野くんのあの感動的な一勝の日から、どんどん日が過ぎて

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【8/1巨人戦○】そこには想像もつかないドラマがきっと、あふれている

考えてみれば、スターの苦悩はよく目にする。よくも悪くも彼らはとにかく目立つから、調子が良くても悪くても、メディアに取り上げられるし、一ファンである私はそれをよく目にする。だいたい、それがメディアに取り上げられようといまいと、スターはいつもそこにいるわけで、そのプレーの一つ一つを、シーズン通して知ることになるのだ。当たり前のことだけれど。 ここしばらく調子が悪いなとか、今シーズンはなんかうまくいかないなとか、はたまたここのところ調子が上がってきたなとか。その浮き沈みと共に、シ

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【7/30横浜戦◯】台風と、ヤクルトと

台風で、31日の帰りの便が欠航になった。と、メールが来ていた。なんだかんだで毎年、最終日に台風が近づき、帰りの便をあらかじめ早めておく…と、いうことは毎度していたのだけれど、前日のうちに翌日午後の欠航が決まる。と、いうのは初めてである。(ちなみに、1ヶ月宮古島に滞在している間に三回台風が来た、ということは、ある。) 翌日1日の直行便に振り替えてもらうも、それもまた欠航が決まり、まあとりあえず31日のうちに那覇に行き、2日の那覇ー羽田の便で東京に戻る、ということにした。 何

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