月に一度ヨガの教室にいく。 わずか1時間半、先生の声掛けに合わせて、6〜7人が一斉に体を動かす。言われた通りにできているのかは、わからない。わからないけど、それっぽい動きしているうちに、1時間半は終わってしまう。まるで小学生の時の体育の授業のようだ。 できていても、できなくても、先生の言われた通りに動く。できないとわかっていても、言われたことをやる。わたしの動きの何がいけないのか、どうすればいいのか、考える時間も与えられぬまま、次々とわたしの順をこなしているうちに、結局何
どこにも出掛けないですむ正月休みなのをいいことに、見逃し配信で、しつこくチェリまほの12話目を見ていたら、だんだんドラマを見る目が清の母ちゃん目線になってしまった。 30歳にもなろうというのに彼女を連れて帰ってくることはおろか、誰かと付き合っている感じもしなかった一人息子(勝手にそう設定)が、突然超イケメンのパートナーと帰ってきたら、どうするだろうか? 清が黒沢の心の声を聞いて『俺‥?』と思ったように、清の母も又、『なんで、うちの子?』と思うんじゃないか。 でも、黒沢は
懲りもせず、毎晩、ドラマの最終回を見ている。見逃し配信がある世界でよかった。そして、チェリまほのハッシュタグから同志を探しに行く。 ある日、SNS上のたくさんの感想の中に『最幸』という二文字をみつけて、なんて素敵な言葉だろうと、しみじみ眺めてしまった。 何かと比較して一番良いとかではなく、自分にとって最も幸せと言っているようなこの言葉は、本当にこのドラマにふさわしいと思ったのだ。 最終回まで自分でも引くほどに何度も見たこのドラマに教えてもらったことは2つある。 俺はお
ちょっと面白そうと思って見始めたドラマだったのに、どうしてこんなにツボにはまってしまったのか。チェリまほ沼にどっぷり、だ。 11話のかの有名な台詞を今日もリピートする。 俺たち、もうここでやめておこうか 感情を爆発させ大粒の涙を流し「うん」と頷く安達。感情を圧し殺し涙を見せずに「わかった」とささやく黒沢。 大変美しいシーンで何度でも見てしまっているが、しかし私は一体何を見せられているのか‥‥。冷静に考えたら二人とも30歳を迎えたいい大人だし、付き合ってるんだし、待ち合
歌集「滑走路」拝読いたしました。 日々起こる出来事に、気持ちがジェットコースターのようにあがったり、さがったりする青春時代を31文字の連なりで追体験するような気持ちでした。 『ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる』 『頭を下げて頭を下げて牛丼を食べて頭を下げて暮れゆく』 『食べるならおいしいものが食べたいな 昼は牛丼屋でいいけれど』 何度も登場する牛丼。これほどおいしくなさそうな牛丼の2文字を見たのは初めてかもしれません。安くて早い牛丼の具材となるこ
何十年も前、入社直後の私の机の上にあったのは、保険の営業さんがくれたカレンダーだけだった。4月は毎週金曜には規模やメンバーを変えての新歓があり、毎週同じ自己紹介をすることになった。憂鬱すぎて歓迎会と書きたくなくて、しゃぶしゃぶ、とか、お寿司、とか、お店の名前から類推される料理名を書いていた。 入社して5年も過ぎると特段の言い訳もせずに新歓には行きませんと断るようになった。毎週同じ挨拶を聞く必要ある?一つ行けばそれでいいじゃんか。そう、屁理屈を自分の中でこねて。 ある時先輩
私の息子には色覚異常がある。色の見え方が私とは違う。 この遺伝があることは、小学校の検診で眼科を受診するようにというプリントを持ち帰ってきてわかった。母から「あなたもそういう遺伝子を持っているかもよ」と言われていたのでさほど驚きはしなかったが、そういえば・・・と思うことは多々あった。 たとえば、6歳くらいまで、色鉛筆やクレヨンは特定の色だけ使っていた。最初は黄色。持てなくなるくらいまで小さくなると次は緑。塗り絵の線や枠は全て無視して、一色で塗りたくる。途中で面倒になるのか
キナリ杯特別賞〜アマヤドリ賞に輝いた、のりまきさんの作品を読んでいて、私にも「竹内」がいたことを思い出した。 その人の名はキクチという。 ガラケーすらもなかった時代に、中途半端な長さの秋休みをどう過ごそうか駄弁っていた私たち姉妹は「そうだ、北海道に行こう」と思い付いてしまった。旅の情報を得る為に家から一番近くの旅行代理店に入って出会ってしまったのだ。 閉店間際、お金のなさそうな若い女子二人。私が社員なら、パンフレットだけ持って帰ってほしいと思う感じ。カウンターに近寄って
私はいまだに父の誕生日が言えない。3つあるとはぐらかされてきた。1つは祖母が言う産んだ日。もうひとつは出生届を出した曾祖父がこの日で書いたと言った日。最後は実際の戸籍に記載された日。勿論祖母が産んだと言った日が正しいはずだが、一番間違っている日が戸籍に登録されてしまっているらしい。 曾祖父は、初孫誕生が余程うれしかったのか、産まれたと聞いた途端に役所に向かって走りだしたそうだ。すぐに戻って来て 「で、男か?女か?」 と聞いたとか。再び慌てて走りだし、結局出生日を間違える